【NFT Weekly】4月から暗号資産トラベルルールが適用/DAZNとミクシィがスポーツNFTマケプレ/BAYCのYuga Labsが545億円調達

2022/03/27
金融庁からのトラベルルールに関するJVCEAへの要請(https://www.fsa.go.jp/news/r2/sonota/20210331.pdf)

NFT Weeklyでは、過去1週間のNFTに関するニュースの紹介と、注目トピックの解説を行う。今週は、スポーツ配信サービスのDAZNがスポーツ特化NFTマーケットプレイス開設、人気NFT「BAYC」 のYuga Labsが約545億円調達double jump.tokyoがNFT世界展開に向けAstar Networkと提携といったニュースがあった。

注目トピックでは、4月からの暗号資産トラベルルール適用内容と背景について解説する。

【目次】

  1. 今週の注目トピック:4月からの暗号資産トラベルルール適用で何が変わる?
    4月からの変更点:送金時に受取先の情報が求められる
    FATFとは:国際的なAML/CFT組織
    FATFの定めるトラベルルールとは?
    今後規制強化の可能性も
  2. 今週のNFTニュース
    スポーツ配信サービスのDAZN スポーツ特化NFTマーケットプレイス開設
    人気NFT「BAYC」 のYuga Labsが約545億円調達、メタバース計画も
    double jump.tokyo、NFT世界展開に向けAstar Networkと提携

1.今週の注目トピック:4月からの暗号資産トラベルルール適用で何が変わる?

2022年4月1日より、日本の暗号資産(仮想通貨)交換所では、暗号資産の移転の際に出金先の情報が求められるようになる。これは、「FATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)」というマネーロンダリング・テロ資金供与防止のための国際組織が定める「トラベルルール」に則った対応だ。

トラベルルールでは、犯罪で得られた資金を洗浄したり、テロ組織に資金提供されることのないよう、暗号資産の送金の際に送り手と受け手の情報を暗号資産交換業者が記録する必要がある。テロリストや犯罪者が自由にインターネットを利用して資金移動することを防ぎ、不正利用があった場合にその追跡を可能とすることが目的だ。

4月からの変更点:送金時に受取先の情報が求められる

22年4月からの大きな変更点は、暗号資産を国内の取引所から送金する際に、受取先についての情報が求められるようになることだ。 トラベルルールに関連する日本の自主規制団体JVCEA (一般社団法人日本暗号資産取引業協会) が発表している取引所向けの文書によれば、必要な情報は、

  • 受取人の氏名
  • 受取側の暗号資産交換の有無
  • 受取側の暗号資産交換業者が有る場合はその名称

の3つとなる。一方で国内取引所への暗号資産の入金については、4月時点では大きな変更がない取引所が多いと見られる。

2022年10月からは、上記に追加して受取人の住所や取引目的に関する情報も求められるようになる予定だが、詳細は現時点では未定となっている。

また、各取引所は、下記の条件を満たす取引の場合にユーザーの情報を取引所間で通知し保存する必要がある。

  • 受取人が送付を依頼する利用者と同一
  • 国内の暗号資産交換業者が受取側の暗号資産交換業者となる
  • 送付する暗号資産が BTCまたは ETHである
  • 送付する暗号資産の邦貨換算額が10万円を超える額である

※詳細については各取引所が発表している内容を確認する必要がある。

FATFとは:国際的なAML/CFT組織

FATFとは、マネーロンダリングやテロリストへの資金供給を防ぐため1989年に設立された国際組織だ。2022年3月時点で、OECD加盟国を中心に39の国と地域が加盟しており、日本も設立当初から加盟している。マネーロンダリングやテロリストへの資金供給防止(AML/CFT)のための国際基準である「FATF基準」を策定し、加盟国間で取り組みを相互審査するのが主な活動内容となっている。

FATFは実質的な強制力を持っており、FATF基準や審査結果は各国の金融規制に大きな影響を与える。

暗号資産については、2018年10月のFATF勧告の改訂で初めてルールが定められた。FATF勧告15「新技術」の中で、暗号資産関連のサービス業者(Virtual Asset Service Provider:VASP)はマネーロンダリング・テロ資金供与対策を講じなければならないと規定された。

FATFの定めるトラベルルールとは?

トラベルルールは、AML/CFTの一環として設置されている規定だ。トラベルルールによれば各国の金融機関は、送金に際して送金人情報及び受取人情報を通知する必要があり、日本では犯罪収益移転防止法10条の通知義務として定められている。

2019 年6月のFATF勧告の改訂で、暗号資産についても上記のトラベルルールを適用し、暗号資産交換業者に対して暗号資産送金の際、送り手と受け手それぞれの情報を記録する必要があるとされた。

日本の金融庁は、このFATF勧告の改訂をうけて、2021年3月に日本の自主規制団体JVCEA(一般社団法人日本暗号資産取引業協会)宛に「暗号資産の移転に際しての移転元・移転先情報の通知等(トラベルルール)について(要請)」を提出。日本の暗号資産取引所に対して、トラベルルールの徹底を促した。

JVCEAは2022年3月に、トラベルルールに関する会員向けの文書を発表し、4月以降の具体的な取引所の対応を定めた。

今後規制強化の可能性も

アドレスさえあれば送金が可能な暗号資産については、既存金融と同じトラベルルールの適用は現実的ではないといった意見もあり、今後FATFでもより具体的な基準や対応について議論しつつ定めていくと見られる。また日本では、4月からの変更は業界団体の自主的規制によるものだが、今後トラベルルールに関する法令が金融庁によって定められる可能性もある。

今後日本の取引所からの暗号資産の送金がより厳しく規制され、送金に審査時間がかかるようになるといったことも考えられる。

2.今週のNFTニュース

スポーツ配信サービスのDAZN スポーツ特化NFTマーケットプレイス開設

スポーツ配信サービスのDAZN(ダゾーン)は3月24日、ミクシィと共同で、スポーツ特化型NFTマーケットプレイス「DAZN MOMENTS」の提供を始めた。アスリートのスーパープレーやメモリアルシーンなどの映像を、シリアルナンバー付きNFTとして販売する。

提供するNFTはすべて動画コンテンツ。それぞれ30秒前後の試合映像クリップとクラブロゴ、当該試合のスコア情報のほか、ゴールやドリブルなど、どのようなシーンを切り取ったものかを表す情報が盛り込まれている。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/5613

人気NFT「BAYC」 のYuga Labsが約545億円調達、メタバース計画も

人気NFTプロジェクト「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」などを展開するYuga Labsは3月22日、4億5000万ドル(約545億円)を資金調達したと発表した。企業評価額は40億ドル(約4847億円)。調達した資金はチームの規模拡大や、クリエーティブやエンジニアなどの人材獲得、ジョイントベンチャーなどのために活用するという。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/5578

double jump.tokyo、NFT世界展開に向けAstar Networkと提携

ブロックチェーン技術を⽤いたNFT事業⽀援を⾏うdouble jump.tokyoは3月23日、⽇本発のパブリックブロックチェーンAstar Networkとパートナーシップを締結。⽇本のコンテンツを⽇本発のチェーンにのせてグローバルに展開させるNFTビジネス展開を目指すために協業すると発表した。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/5582