【NFT Weekly】金融機関のメタバース参入状況/BAYC所有者にApeCoin配布/「LAWSON TICKET NFT」提供/InstagramにNFT導入予定

2022/03/21

NFT Weeklyでは、今週注目のトピックの解説と、過去1週間のNFTに関するニュースを紹介する。今週は、Bored Ape Yacht Club(BAYC)関連のNFT所有者に独自通貨「ApeCoin」が配布、SBINFTとローチケが電子チケットを記念NFT化する「LAWSON TICKET NFT」提供、米MetaザッカーバーグCEO、InstagramにNFT導入予定と発表といったニュースがあった。

注目トピックでは、金融機関のメタバース参入状況について解説する。

【目次】

  1. 今週の注目トピック:金融機関のメタバース参入状況
    海外:JPモルガン、HSBC、サイアム商業銀行がメタバースに参加
    国内:三菱UFJ銀行がNFT事業参入、大手地銀や信用金庫は出資
    NFTについては投機リスクやマネーロンダリングの懸念も
  2. 今週のNFTニュース
    BAYC所有者に「Apecoin」配布、FTXやCoinbaseにも上場
    SBINFTとローチケ、電子チケットが記念NFT化する「LAWSON TICKET NFT」提供
    米MetaザッカーバーグCEO、InstagramにNFT導入「数か月のうちに」

1.今週の注目トピック:金融機関のメタバース参入状況

今週、世界的なメガバンクの英HSBCがイーサリアムブロックチェーン基盤のメタバースプラットフォーム「The Sandbox(ザ・サンドボックス)と提携したことが分かった。2021年2月には、米JPモルガン・チェースが同じくイーサリアムブロックチェーン基盤の「Decentraland(ディセントラランド)」に拠点を設置するなど、伝統的な金融機関もメタバース関連の取り組みを始めつつある。

今回は、大手金融機関のメタバース関連取り組みについて見ていく。

海外:JPモルガン、HSBC、サイアム商業銀行がメタバースに参加

海外では、世界的な金融機関がメタバース領域への参加を発表している。

22年1月、JPモルガン・チェースは「Opportunities in the metaverse」と題した仮想空間についての報告書を発表した。報告書の中で、同社はメタバースにおいて下記3つに注力すると述べている。

  • 銀行レベルの製品とデジタル資産プラットフォームへのアクセスを提供し、ゲームプラットフォームを産業化する
  • ゲームやコンテンツの制作者がより簡単に自分の作品の商品化できるようにする
  • 複数の通貨・支払手段での決済を提供することで、メタバース産業をワールドワイドに規模拡大する

決済領域の強化によって世界中で企業や個人がメタバースに参入しやすくなることで、メタバースの機能拡張、規模拡大につながると期待できる。

同社は、22年2月にイーサリアムブロックチェーンを利用したメタバースプラットフォーム「Decentraland」にラウンジも開設した。ラウンジでは、暗号資産(仮想通貨)などに関する情報が得られるとのことだ。

また英金融大手HSBCは、22年3月16日に香港のブロックチェーン企業Animoca Brands傘下のNFTゲーム「The Sandbox」と提携をすることがわかった。The Sandbox内の土地「LAND」を取得し、スポーツやゲームファンとのつながりを深めるために活用する予定。具体的な内容については今後発表するという。

他にもタイのサイアム商業銀行が、22年3月The Sandbox内に仮想本社設立を発表し、同11日に仮想本社でのメタバースに関するライブセッションを開催している。

国内:三菱UFJ銀行がNFT事業参入、大手地銀や信用金庫は出資

三菱UFJ銀行は3月3日、邦銀で初めてNFT事業への参入を発表した。Animoca Brandsの戦略的子会社、Animoca Brands株式会社とNFT関連事業で協業し、年内にもサービスを始めるという。

子会社の三菱UFJ信託銀行は、メタバースプラットフォーム「cluster」にて新卒採用イベントを行ったり、また法定通貨と同等の価値を持つブロックチェーン上のコイン「ステーブルコイン」を発行・管理する基盤となる「Progmat Coin(プログマコイン)」の提供を予定している

また、ANA傘下でメタバース事業を手がけるANA NEOは、3月16日、メタバース旅行サービス「SKY WHALE(仮)」に向けて、45億円の資金調達を行った。三井住友銀行、京都中央信用金庫、南都銀行、京都信用金庫、トマト銀行、佐賀銀行、大分銀行、琉球銀行、大地みらい信用金庫が資金を拠出している。

NFTについては投機リスクやマネーロンダリングの懸念も

こうした動きがある一方で、メタバースやNFTに慎重な態度を取る金融機関も多い。仏大手金融機関BNPパリバの子会社L’Atelier BNP ParibasのCEO、John Egan氏は、カナダBNN Bloombergのインタビューにて「ギャンブルで、非常にリスキーな資産カテゴリだ」と述べている。

また、暗号資産やNFTを利用するプラットフォームでは、マネーロンダリング(資金洗浄)の懸念も叫ばれる。22年2月、米国財務省はアートの取引に関する資金洗浄について報告書を発表した。同報告書で米国財務省は、NFTをはじめとする新興のオンライン・アート市場は、新たな資金洗浄リスクをもたらす可能性があると述べている。

世界的な金融機関の多くは、まだメタバースについては静観している。新興技術の採用にあたってリスクとのバランスをどう取るかが、大手金融機関のメタバース参画のポイントとなりそうだ。

2.今週のNFTニュース

BAYC所有者に「Apecoin」配布、FTXやCoinbaseにも上場

17日、世界的な人気を誇るNFTプロジェクト「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」関連のNFT保有者に、独自の仮想通貨「ApeCoin($APE)」のエアドロップ(無料配布)が行われた。ApeCoinは即日Coinbase、FTX、Binance、Geminiなど、主要暗号資産取引所に上場し、3月19日現在約1599円を付けている。コインマーケットキャップによれば、時価総額は全暗号資産中36位で、The Sandboxの独自通貨「SAND」の37位を上回っている。

BAYCのNFT保有者には1つにつき1万APEが配布されたため、現在価格で約1,500万円という高額の無料配布となった。ApeCoinの運営母体は、BAYCの制作企業Yuga Labsではなく、「ApeCoin DAO」と称する自律分散型組織(DAO)となる。

また日本時間3月11日、Yuga LabsはApeCoinチームによるショートムービーを公開した。ムービーには、BAYCだけでなく人気NFTコレクションの「Cool Cats」や「Nouns」と思われるキャラクターも登場し、SNSでは今後のコラボについての期待も寄せられている。

SBINFTとローチケ、電子チケットが記念NFT化する「LAWSON TICKET NFT」提供

SBIグループのSBINFTとチケット事業「ローソンチケット(ローチケ)」を運営するローソンエンタテインメントは3月17日、ブロックチェーン技術を活用したNFTサービス「LAWSON TICKET NFT」を始めると発表した。2022年春から提供する。

ローソンチケットで扱っているコンサートやスポーツ、演劇などのイベントチケットを、デジタルデータとして保管できる記念チケットNFTとして販売する。

詳細:https://www.metaverse-style.com/art/5521

米MetaザッカーバーグCEO、InstagramにNFT導入「数か月のうちに」

旧Facebookの米Meta最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏は3月15日、米テキサスで開かれた大規模イベント「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」の基調講演で、傘下の画像共有SNS「Instagram(インスタグラム)」に数か月のうちにNFT導入をする予定だと述べた。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/5502