【NFT Weekly】NFTの知的財産権トレンドCC0/BAYCのYuga LabsがCryptoPunks買収/内村航平選手の引退記念NFT販売

2022/03/13
オークションで販売されているCC0のNFT「Nouns」(出典:https://nouns.wtf/

NFT Weeklyでは、過去1週間のNFTに関するニュースの紹介と、注目トピックの解説を行う。今週は、Bored Ape Yacht Club(BAYC)のYuga LabsがCryptoPunksとMeebitsの知的財産権を買収、体操の内村航平選手の引退記念NFT販売、米オンライン決済大手Stripeが暗号資産対応といったニュースがあった。

注目トピックでは、NFTの知的財産権トレンドについて解説する。

【目次】

  1. 今週の注目トピック:NFTの知的財産権トレンド なぜCC0プロジェクトが増えているのか?
    CC0を採用したNFTコレクションの先駆け:Blitmap
    高額なCC0のNFTも登場
    中間的なライセンスなどやり方は様々
  2. 今週のNFTニュース
    BAYCのYuga LabsがCryptoPunksとMeebitsの知的財産権を買収 商業利用権を付与
    体操の内村航平選手の引退記念NFT販売
    米オンライン決済大手Stripeが暗号資産対応、法定通貨の取引可能に
    著作権侵害で休止の米LimeWire、NFTマーケットプレイスで再始動

1.今週の注目トピック:NFTの知的財産権トレンド なぜCC0プロジェクトが増えているのか?

今週は、人気NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」を運営するYuga Labsが、「CryptoPunks」と「Meebits」の知的財産権を買収したとのニュースがあった。Yuga Labsは、まずはCryptoPunksとMeebitsのNFT所有者に、BAYCと同様にNFTの商業利用権を付与するとのことだ。

Yuga LabsはBAYCの保有者に個々のイラストの商業利用権を付与しており、NFTのイラストを商品やマーケティングに活用することが可能となっている。

BAYCでは、米大手レーベルのユニバーサル・ミュージックからメタバースバンド「KINGSHIP」がデビューしたり、BAYCのキャラクターをモチーフとしたゲームが開発されるなど、商業利用権を活かしたプロジェクトが登場している。BAYCの成功以降、著作権や知的財産権について広く認めるプロジェクトも出てきており、1作品3,000万円程度の価格が付いている「Nouns」コレクションなどもそのひとつだ。

NFTは作品の来歴を表すトークンであり、NFTを所有しているからといって、プロジェクトの著作権や知的財産権を所有していることにはならない。NFTの著作権について、増田雅史弁護士は「現状では、権利関係は基本的に契約の形で表現するしかありません。そして、権利が全く伴わないものもあります」と述べている

NFTの知的財産権をどのように認めるかについての決まった標準は今のところなく、プロジェクトによってスタンスが異なっている。主として下記4種類が見られる。

  1. ①個人利用のみ認める
    例:アート作品NFTなど
  2. ②一部商業利用を認める
    CrytoKitties、Doodles、Cool Catsなど
  3. ②商業利用を完全に認める
    例:BAYCなど
  4. ③完全に著作権を放棄する(CC0)
    例:Blitmap、Nounsなど

2021年以降、②や③のプロジェクトも増えてきている。一見知的財産ビジネスのチャンスを逃すリスクもあるように見えるが、なぜそうしたプロジェクトが出てきているのだろうか。

CC0を採用したNFTコレクションの先駆け:Blitmap

2021年8月、人気NFTコレクションの「Blitmap」はCC0(クリエイティブ・コモンズ)への登録とパブリックドメイン化を発表した

クリエイティブ・コモンズとは、非営利団体クリエイティブ・コモンズが提供するライセンスであり、作品の著作権を望まない人が、法的に可能な限りの権利を放棄するための方法だ。CC0の作品は、方法・目的にかかわらず、誰もがどんな形であっても使用できる公共財の状態となり、二次創作や商業利用も可能だ。

Blitmapは、ショート動画サービスの「Vine」の共同創業者であるDom Hofman氏がスタートしたNFTプロジェクトだ。17人のアーティストが参加した100個のピクセルアート作品を組み合わせ、新しくNFTを生成することができるといった特徴を持つ。

OpenSeaで販売されているBlitmap

Blitmapチームは、パブリックドメイン化にあたって下記のように述べている。

分散型台帳とそれが可能にする履歴の証明、そしてそこから生まれる信頼不要のコンポーザビリティにNFTの価値があるのです。同時に、これらの新しい理想は、歴史的なゲートキーパー(「堀」)が増殖や長寿の主要な推進力ではない、よりオープンな作品のエコシステムを促進します。

https://blitmap.mirror.xyz/b-ANHRCj78z9Qy6Dk-kgjOsFtIqoVsQAS5DNNygU10U

つまり、知的財産権の利用料などの収益を得るために、権利関係を厳しく見張ることはプロジェクトの長寿にはつながらない。むしろブロックチェーンで来歴やデータが公開されていることを利用して誰でも派生作品やプロジェクトのネットワークを広げられるようにし、経済圏を拡大していくことに価値があるということだ。

CC0になったBlitmapには、派生プロジェクトが次々と生まれている。たとえば、Blitmapを3Dボクセルで表現する「3DBlitmap」や、Dom Hofman氏のもうひとつの有名なプロジェクト「Loot」の派生プロジェクトでBlitmapを組み込んだ「HyperLoot」などがある

運営が想像もしなかった新しい派生作品を、ユーザが創っていくことでオリジナル作品の重要性や価値が高まっていく。コミュニティの創造を促進する仕組みを意図的に作り出すことができるのがCC0の大きなメリットと言える。

高額なCC0のNFTも登場

CC0でありながら、高額で販売されるNFTも登場している。

「Nouns」は、1つ約100ETH(3,000万円)で取引されるCC0のNFTだ。32×32ピクセルのドット絵のキャラクターをモチーフにしたNFTで、毎日1つの「Noun」が生成され、自動的にオークションに掛けられるというシステムになっている。 2022年のスーパーボウルのCMで、世界大手のビールブランド「Bud Light」とコラボでも注目を集めた。

このほかにも、クオン社による日本発のNFTプロジェクト「CryptoCrystal」などもCC0の採用を発表している。

中間的なライセンスなどやり方は様々

とはいえ、すべてのプロジェクトがCC0になる必要はない。たとえば、初期のNFTコレクタブル「Cryptokitties」の生みの親Dapper Labsは、クリエイターの努力と創意工夫を守りつつ、同時にユーザーにNFTを完全に楽しむための自由と柔軟性を与えるためのNFTライセンスを2019年に発表した。このNFTライセンスでは、NFTの著作権は企業やプロジェクトが保有しているが、NFTの所有者は収益が年間10万ドル(約1170万円)を超えない範囲で自分の商品にNFTを商業利用することができる。アートの改変や二次創作の販売は許可されていない。

このNFTライセンスは従来のCryptoPunksでも採用されていた他、人気コレクタブルNFTの「Doodles」や「Cool Cats」といったプロジェクトでも類似ライセンスが採用されている。

NFTの著作権については様々なプロジェクトが実験を重ねている段階だが、NFTは、所有と著作権についての新しい道や考え方を示唆している。

2.今週のNFTニュース

BAYCのYuga LabsがCryptoPunksとMeebitsの知的財産権を買収 商業利用権を付与

アディダスとのコラボ等で知られる人気NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club」を運営するYuga Labsは、12日、Larva LabsによるNFTコレクション「CryptoPunks」と「Meebits」の知的財産権を買収したと発表した。また同時に、423のCryptoPunksと1711のMeebitsのNFTを買い取ったとのことだ。

https://www.larvalabs.com/cryptopunks より

今回の買収は、Larva Labs自体ではなく、コレクションのブランド、アートの著作権、およびその他の知的財産権の所有の譲渡になる。Yuga Labsは、まずはCryptoPunksとMeebitsのNFT所有者に、BAYCと同様にNFTの商業利用権を付与するとのことだ。

Larva Labsは、買収に際して「私たちの専門は常に、テクノロジーの初期段階で物を作ることです。したがって、『プロフィール画像プロジェクト』(PFP)業界自体が成長するにつれて、自分たちがこれらのプロジェクトの運営に適していないことに気づきました。……多くの点で、Yugaは現代のPFPプロジェクトモデルの革新者であり、これらのプロジェクトと周辺のコミュニティを運営および成長させる上で世界で最も優れた人々です」と述べている。

体操の内村航平選手の引退記念NFT販売

体操でオリンピック金メダリストの内村航平選手が、引退記念にNFTを販売する予定だと11日に分かった。NBA公認イラストレーターを務めるアーティスト田村大氏とのコラボレーションアートと、内村航平選手のサイン入り現役最後の演技動画の2種類が販売される。

田村氏とのコラボアートNFT「Memorial Art of Gymnastics Legend – KOHEI UCHIMURA × DAI TAMURA -」は、世界最大手のNFTマーケットプレイス「OpenSea」で、3月17日(木)日本時間 21時から、オークション形式で販売開始予定。

演技動画のNFT「「内村航平NFT名誉会員証 with LIVE Sign.」は、3月12日開催の「KOHEI UCHIMURA THE FINAL」での内村航平の現役最後の体操6種目の演技動画と、直筆映像、メッセージ動画一式をデジタルフォトフレームにセットにしたもので、名誉会員証として、3月下旬から300点限定で販売開始する。予定価格は8万円。

米オンライン決済大手Stripeが暗号資産対応、法定通貨の取引可能に

オンライン決済大手の米Stripeが3月10日、暗号資産への対応を始めたことがわかった。暗号資産取引所やNFTマーケットプレイスで、法定通貨の入出金が可能になる。

Stripeは2011年に提供が開始されたオンライン決済サービスで、GoogleやAmazon、Uberなど大手企業からスタートアップ企業まで、100万社を超える企業で導入されている。銀行や金融機関、デジタルウォレットなどと連携し決済時の複雑な業務の排除が可能で、130種類以上の通貨に対応。また、本人確認システム「Stripe Identity」や詐欺防止サービスなども手掛けている。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/5416

著作権侵害で休止の米LimeWire、NFTマーケットプレイスで再始動

2000年代はじめに人気を博したP2Pファイル共有サービスを手がけていた米LimeWireが、5月からマーケットプレイス運営会社として再スタートすることがわかった。LimeWireは音楽や映画などのファイルを無料でオンライン共有でき、数多くの利用者がいたが、著作権侵害を意図的に助長しているとして 10年に米連邦裁判所から差し止め命令を受けサービスを停止していた。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/5423