デジタル庁、Web3.0推進へDAO設立方針

2022/11/04

デジタル庁は11月2日、Web3.0推進へ向け検討する「Web3.0研究会」の第5回を開催。社会課題解決や価値創造へ、分散型自律組織(DAO)を設立する方針を明らかにした。

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DAO の活用による新たな形態の人的・経済的な結び付きで得られる利益とともに、リスクも見定めながら、必要な事業環境の整備や利用者保護に向けた施策を取りまとめる。このための対応として、技術面・経済面・ガバナンス面などからDAO の実態を多角的に分析し、利益と課題を整理するとともに、Web3.0 研究会 DAO の利用体験の共有や、標準的な基盤・ツールの提供を行う。

国内でどのような DAO が好事例になり得るか、DAO が活動しやすくするためにはどのような環境整備をすべきかなどで、必要な施策を検討する。特に、DAOを通じて小口でも資金調達が容易なスタートアップ起業環境や、NFTの 発行やDAOによるコンテンツ産業と地域の活性化などが具体的な施策としてあげられた。

DAO の法的位置付けについては、法人格の付与など法制上の措置を講じることの利益と課題を検討する。国内での経済活動に対す適切に課税される環境整備についても同時に検討するという。

また、今後は暗号資産などのデジタル資産の特性やリスクを踏まえた対応に向けた整理や、マイナンバーカードのカギと分散型アイデンティティを組み合わせた新しいトラストモデル構築に向けた課題の整理、安全な利用環境を整備した利用者保護などを重点的に検討する方向性も提示された。

Web3.0研究会は9月、設置を発表。6月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」で盛り込まれた、ブロックチェーン技術を基盤とした NFT 利用などWeb3.0 の推進に向けた環境整備を踏まえて実施する。デジタル相が指名する有識者により構成。座長は慶応大学総合政策学部教授の国領二郎氏、座長代理は東京大学総長特任補佐・先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏が務める。構成員には、中央大学国際情報学部教授の石井夏生利氏、デジタルガレージ取締役チーフアーキテクトなどの伊藤穣一氏、三菱UFJフィナンシャル・グループ経営企画部部長などの河合祐子氏、長島・大野・常松法律事務所の弁護士、殿村桂司氏、経営共創基盤 IGPIグループ会長の冨山和彦氏、小説家の藤井太洋氏、ジョージタウン大学研究教授の松尾真一郎氏、東京大学大学院経済学研究科教授の柳川範之氏が名を連ねている。