【NFTトレンディ】ステーブルコインとは?種類と規制を解説

2022/11/08

NFTトレンディでは、NFTやブロックチェーンに関連する注目トピックを取り上げて解説する。今週は、円やドルといった通貨や金などの資産と連動する「ステーブルコイン」の種類や規制について解説する。

【目次】

  1. ステーブルコインとは?
  2. ステーブルコインの種類
  3. 日本におけるステーブルコインの規制
  4. ステーブルコインを利用する際の注意点

1.ステーブルコインとは?

ステーブルコインとは仮想通貨(暗号資産)の一種で、価格が仮想通貨以外の通貨や資産と連動して動くものを指す。

ステーブルコインは元々、価格が安定している仮想通貨として生まれた。ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨は価格変動が激しく、送金や決済に向かないケースがあるという課題を抱えており、これを解決しようとしたのがステーブルコインだ。

たとえば、時価総額が22年10月現在最も高いステーブルコイン「USDT」は、米ドルと価格が連動しており、ほぼ1ドルと同等の価値があるとみなすことができる。

現在、ステーブルコインは送金や決済はもちろん、一時的な仮想通貨の利益確定やレンディングなどの目的で広く利用されている。

現在CoinMarketCapには134種類のステーブルコインが掲載されている。米ドルと連動するステーブルコインが最も多く、その他にもユーロや日本円、金価格などと連動する様々なコインがある。

2.ステーブルコインの種類

ステーブルコインは、価格を連動させる仕組みによって4種類に大別できる。

①法定通貨担保型

法定通貨(ドル、ユーロ、円)などを担保としてコインを発行することで、コインと法定通貨の価格を連動させるステーブルコイン。

<例>

  • USDT:テザー社が2014年より発行する、米ドルに連動する最初期のステーブルコイン。2019年4月にはニューヨーク司法当局が「十分な担保資産なしにUSDTを発行している」とテザー社を訴追したが、2021年2月に和解している。
  • USDC:仮想通貨決済企業のサークルと大手取引所の米コインベースによって2018年より発行されている、米ドル連動型のステーブルコイン。
  • JPYC:JPYC社が2021年より発行する、日本円に連動するステーブルコイン。USDTやUSDCとは異なり、JPYCから日本円には直接換金できないプリペイド式のステーブルコインとなっている。

関連:松屋銀座も導入、日本円ステーブルコイン「JPYC」の魅力と展望 岡部典孝CEOに聞く

②仮想通貨(暗号資産)担保型

ETHなどの仮想通貨を担保として発行することで、価格を安定させる仕組みを持つステーブルコイン。

<例>

  • DAI:Maker DAOが2019年より発行する、米ドルと連動するステーブルコイン。ETHやBATをはじめとした仮想通貨を担保にして発行できる。「過剰担保」制を採用しており、1DAIを発行するためには1.5ドル以上の担保資産が必要となる。イーサリアムのスマートコントラクトで管理されており、担保となる仮想通貨の価値が一定の水準を下回った場合、自動的に強制清算される仕組みになっている。

③コモディティ型

金や原油など現物の商品を担保にして発行されるステーブルコイン。

<例>

  • PAXG:2019年よりPaxosによって発行されている金と連動するステーブルコイン。金1オンスが1PAXGと同価格で、実物の金を裏付け担保として発行されている。

④アルゴリズム(無担保)型

裏付けとなる担保なく、独自の価格アルゴリズムによって価格を安定させる方法を採るステーブルコイン。コインの価格が高いときには供給量を増やし、価格が低いときには供給量を絞るといった調整方法などがある。

<例>

  • UST(Terra):Terraform Labsが2019年より発行していた、米ドルに連動するステーブルコイン。2022年5月に価格調整アルゴリズムがうまく機能せず暴落した。

関連:LUNA/UST暴落はなぜ起きたか?

3.日本におけるステーブルコインの規制

日本ではステーブルコインに関して法制度上の定義や取り扱いが曖昧であったが、22年6月に改正資金決済法が成立し、はじめてステーブルコインについての法的な枠組みが作られた。

改正資金決済法では、「ステーブルコイン」と一般に呼ばれているものを3種類に分けて扱っている。

①ステーブルコイン

「①法定通貨担保型」のUSDT、USDCのような「法定通貨の価値と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行価格と同額で償還を約束するもの」を「ステーブルコイン」と定義し、その発行や流通に制限を設けた。発行できるのは、銀行預金業者や資金移動業者、信託会社などに限られることとなった。

②暗号資産

DAIやUSTのような「②仮想通貨(暗号資産)担保型」や「④アルゴリズム(無担保型)」は「暗号資産」として定義され、日本の仮想通貨取引所(暗号資産交換業者)が通常の暗号資産と同様に仲介することが可能だ。

③前払い式決済手段

JPYCのような前払い式決済手段についても規制が強化された。高額のチャージや移転が可能なものはマネーロンダリングのリスクが高いとして、10万円を超える取引や月の取引累計額が30万円を超える場合には、業者に対して業務実施計画の届け出や本人確認を求める。

4.ステーブルコインを利用する際の注意点

ステーブルコインはNFTや商品を仮想通貨で購入したり、仮想通貨の一時的な利確・損切をする際などに非常に便利だ。しかし暴落したUSTのように、ある日突然価値がなくなるリスクもあるため、特にアルゴリズム(無担保)型のものを利用する際は十分気を付けたい。

1日にして暴落したUSTの価格推移(CoinMarketCap調べ

また担保があるステーブルコインでも、大きな市場の動きや企業の信用低下、倒産などで価値が変動する場合がある。実際、時価総額1位のUSDTも2017年に一時的に0.92ドルへの下落を記録している。

USDTの価格推移(CoinMarketCap調べ

価値が変動するリスクを踏まえて利用したい。