K・カーダシアン氏に約1億8000万円制裁金、暗号資産の宣伝めぐりSECが提訴

2022/10/05

米証券取引委員会(SEC)は10月3日、米タレントで実業家のキム・カーダシアン氏を暗号資産の宣伝行為をめぐって提訴したと発表した。カーダシアン氏は制裁金126万ドル(約1億8000万円)の支払いに合意している。

SECによると、カーダシアン氏は暗号資産のイーサリアムマックスを自身のInstagramで宣伝した際、同社から25万ドル(約3600万円)の報酬を受け取っていることを明らかにしていなかった。これは米証券法に違反するとSECは指摘。カーダシアン氏は100万ドル(約1億5000万円)のペナルティーを含む制裁金の支払いとともに、今後3年間いかなる暗号資産の宣伝行為にもかかわらないことを科せられている。カーダシアン氏は進行中のSECの調査への協力も同意しているが、指摘内容を否認も肯定もしていない。

SEC委員長長のGary Gensler氏は提訴に対し「有名人やインフルエンサーが暗号資産を含む投資を宣伝する場合、その内容がすべての投資家に適しているとは限らない」とツイート。著名人の薦めのみに基づいて投資判断を行わないよう呼び掛ける動画を公開している。

米政府は6月、NFTによる収益は2030年までに1300億ドル(約18兆7000億円)を超える可能性があり、デジタル経済の発展に貢献する可能性があると報告している一方で、注目度や有名人たちの支持にもかかわらず一般ユーザーのNFTへの理解は不十分で、現在のNFT市場は過剰な投機熱や詐欺行為の危険にさらされていると表明。NFTへの投資はリスクがあるため、一部の著名人はNFTを投資と呼ばないように警告していた。

それを受け8月には、虚偽広告に関する啓発活動を行っている米非営利団体のTINA.orgが、俳優のグウィネス・パルトロウ氏、エヴァ・ロンゴリア氏、元プロボクサーのフロイド・メイウェザー氏、アメフトのトム・ブレイディ選手など、自身のSNSでNFTについて投稿している著名人十数人へ、当該NFTの発売元との関係を明確にするよう通達したと発表。エンドーサーがブランドや企業と重要なつながりを持っている場合、米連邦取引委員会法(FTC法)に基づいて明確に開示されなければならないと触れ、NFTの場合には、投機的商品への投資に関連するリスクや、生じる可能性のある金銭的損害の開示も含まれると述べている。SNSでNFTを薦めている著名人も、発売元と利害関係がある場合はFTC法に則って、開示する必要があると呼びかけている。