App StoreでNFT販売アプリ配信へ 手数料高額でMagic Edenは拒否

2022/09/27
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米Appleは、アプリ配信サービス「App Store」にNFTを販売できるアプリの配信を決定した。米メディア「The Information」が報じた。

暗号資産市場の大幅な下落が続く「冬の時代」を受けて、NFTの取引量も低迷している。2022年第1四半期に世界で86億ダウンロードされているApp Store の利用は、NFT関連のスタートアップなどにとってサービス販売の追い風になると考えられる。

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しかしOpenSeaやMagic Edenなどの大手NFTマーケットプレイスの一般的な手数料が5パーセント以下に対し、App Storeの手数料は最大30パーセント。アプリ開発者は手数料の徴収を避けるため、機能をしぼることを余儀なくされているという。またアプリ内の課金は、暗号資産には対応せず円などの法定通貨を使用する必要がある。暗号資産は変動性の高さから法定通貨で価格を設定することは難しく、NFTクリエーターやスタートアップはApp Store配信は考えていないようだ。

Magic Edenの共同創業者で最高技術責任者(CTO)のSidney Zhang氏はThe Informationに対し「App Storeの手数料の高さが理由で、スタートアップがアプリで売買機能を提供しようとしたことはない」とコメントしている。実際にMagic EdenはApp Storeに配信せず、Appleへ15パーセントの手数料を提案した後に、再度断ったという。

一方でApp Storeでの配信を歓迎する声もあがっている。NFTコレクション「DigiDaigaku」などを手がけるLimit Breakの最高経営責任者(CEO)のGabriel Leydon氏は、ポジティブな面もあると表明。Twitterで「(配信により)10 億人以上のプレーヤーがいるすべてのモバイルゲームへ、イーサウォレットを備えられることに気付いていない」とコメントし「30パーセントの手数料を喜んでAppleに提供する」とも述べている。

Appleは従来、デバイスには暗号資産ウォレットや暗号資産取引所のアプリを搭載してきたが、NFTや暗号資産は導入してこなかった。6月にはNFTトレーディングカードのリリースがうわさされたこともあったが、実現してない。今後も、NFTや暗号資産、メタバース分野へ参入する可能性は、低いとみられているという。