【NY発】アーティストにロイヤルティーの基準を

2022/09/02
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NFTのクリエーターはこれまで、作品のセカンダリーマーケット販売で報酬を得ていた。しかし、新たにWeb3のスペースに参入した起業家は、コレクターが購入するお金をディスカウントするために、クリエーターへの報酬を減らす傾向がある。米人気ニュースサイト「Axios」が9月1日、報じた。

Axiosは、米政治ニュースに集中したニュースサイトで、NFTについての報道は珍しい。Axiosによると、NFT経済の宣伝文句は、常にアーティストにとってより良い取引を提供することとされてきた。NFTは、クリエーターが自分の作品の二次販売からも利益を得る方法を提供するとしてきた。

クリエーターにとっては、利点がいくつかあった。まず、作品を単発に発表するだけでなく、より価値のある作品を作るためのコミュニティーを形成するプロジェクトを発表できた。イベントやショーを開催し、自分の作品に関連した製品を作ることで、ファンを増やすことができた。

問題は、NFTのロイヤルティー支払いがあると思うのは、普遍的に正しいとはいえないことだ。

NFTは技術的には、アーティストが二次販売のためのロイヤルティーをNFT自体に計上することができて、ブロックチェーン上に永遠に残るとされる。しかし、そのロイヤルティーは、業界やマーケット、人々などマーケットプレイスがそれを尊重する限りにおいてのみ有効だという。

NFT市場は今年に入ってから急落したが、人気は衰えず「NonFungible.com」によると、8月のNFT売上高は8億5500万ドル(約1兆2000億円)もあった。多くの関連ベンチャーを維持するには十分な資金が出回っている。問題は新たにできたマーケットプレイスが、アーティストらを尊重しないというところにある。

アーティストの Hackatao氏は、Axiosに「ロイヤルティーは、雨が降るように自然なものだ。クリエーティブな動きを維持してくれる」と語っている。

Hackatao氏の言い分はこうだ。
「NFTは絵画とは違う。売れたからといって進化が止まるわけではない。それぞれのコレクションがプロジェクトとして動いている」
「多くのNFTプロジェクトは、セカンダリーマーケットからのロイヤルティーでチームの資金を調達している。この資金源が奪われれば、プロジェクトはもはや持続不可能になるだろう」

Axiosが注目する点は、ロイヤルティーは、オーダーメイドではなく、より標準化され、法律というよりコンセンサスに近いものになる可能性があるというところだ。

CoinFundのCEOであるJake Brukhman氏は、Axiosにメールで、「ロイヤルティーは100パーセント技術的に強制力を持つことはできないと思う」とコメントした。「より良い解決策としては、すべての当事者が、取引する場所に関係なく機能するオンチェーンのロイヤルティーの基準を設けることだろう」と彼は加えた。

津山 恵子(つやま・けいこ)プロフィール
ニューヨーク在住ジャーナリスト。
東京外国語大学卒、1988年共同通信社入社。福岡支社、長崎支局、東京経済部、ニューヨーク経済担当特派員を経て2007年に独立。Facebook(現Meta)のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)、Instagram 創業者ケビン・シストロム氏、ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイ氏、YouTube共同創業者スティーブ・チェン氏、作曲家の坂本龍一氏、ジョン・ボルトン元米大統領補佐官、ジャシュ・ジェームズ米DOMO創業者などの著名経営者を単独インタビューしてきた。著書に「モバイルシフト」(アスキーメディアワークス)、「よくわかる通信業界」(日本実業出版社)など。日本外国人特派員協会(FCCJ)正会員。