【NY発】NFT詐欺多発 過去1年で1億ドルのNFTが盗まれる

2022/08/25

英紙ガーディアンは24日、今年7月までの過去1年間に約1億ドル(約135億円)のNFTが盗まれたと報じた。犯罪者は、一回当たりの詐欺で平均30万ドル(約4050万円)を入手しているという。

データは暗号通貨アナリストEllipticのレポートによる。犯罪者は、多くの場合ビジュアル・アートの形態をとっている貴重な NFTを、さまざまな方法で盗んでいる。

Ellipticによると、これまでに盗まれた最も価値がある NFT は CryptoPunk #4324 で、犯罪者は2021年11月 13日に盗難した直後、 490,000 ドルで売却したという。また、1個人が被った最大の被害は21年12 月 28日に起きた。盗まれた優良 なNFT 16 個は210万ドル相当だった。

最も一般的なNFT窃盗は、フィッシング詐欺によるもの。ユーザーが間違って仮想通貨のウォレットに認証情報を渡すように仕向けた上、詐欺師が元に戻すことができない取引を開始できるようにする。

この手口は大体、ハッキングされたソーシャルメディアのアカウントを通して行われる。300万ドル相当のBored Ape Yacht ClubのNFTコレクションが盗まれた際は、Instagramのアカウントがハックされた結果だった。ドメインスクワッティングやなりすましによって窃盗されることもある。

Ellipticによると、詐欺師は、検索エンジンで自らのサイトを宣伝するため資金を投入していることでも知られる。

しかし、その他の詐欺は NFT スペースでの特殊な技術が使われる。たとえば、「トロイの木馬 NFT 」は、仕掛け爆弾のような機能があるトークンを作成する。ユーザーがそれを受け入れると、すぐにアカウント情報が流出してしまう。

被害総額 1 億ドルには、これまでで最大の NFT 関連の盗難だったNFT ベースのビデオゲーム Axie Infinity から 5 億ドルのデジタル通貨の被害は含まれていない。北朝鮮の国家が関わるとされるハッカーが、ポケモンのような NFT を放ち、ゲーマーがゲーム内で使うための預金を盗んだ。

ハッカーらは、Elliptic が追跡した52% のNFT 詐欺師と同様に、ロンダリングのためにTornado Cash というサービスに注目している。

このサービスは今月、米財務省外国資産管理局(OFAC)の制裁リストに追加された。Ellipticは、Tornado Cashについて「NFT マーケットプレイスで処理された 1 億 3,760 万ドルの暗号資産のソースであり、OFAC によって制裁を​​受ける前は、それまでに起きたNFT 詐欺案件のうち52%の処理プロセスで選ばれたロンダリングツールだった」と報告している。