【NFTトレンディ】新型NFTマーケット「sudoswap」の概要と仕組み

今週のNFTトレンディでは、NFTやブロックチェーンに関連する注目トピックを取り上げて解説する。今週は新しい形のNFTマーケットプレイスとして注目されている「sudoswap」について概要と仕組みを紹介する。
【目次】
- sudoswapとは:新しい形の分散型NFTマーケットプレイス
- sudoswapの仕組み:分散型取引所(DEX)の仕組みをNFTに利用
AMM(自動マーケットメイカー)とは
AMMをNFTに適用したsudoswap - まとめ:sudoswapの将来性
1.sudoswapとは:新しい形の分散型NFTマーケットプレイス
sudoswapは、ユーザー同士がNFTを売買できる分散型のマーケットプレイスだ。2022年7月9日に、「0xmons」という匿名の開発者グループによって立ち上げられた。OpenSea(オープンシー)やLooksRare(ルックスレア)といった従来型のNFTマーケットプレイスとは異なり、「AMM(自動マーケットメイカー)」というモデルを採用している。
Dune Analyticsのデータによれば、ローンチから8月20日現在までの1ヶ月半でsudoswapでのNFTの取引総額は既に2000万ドル(約27億円)を超え、好調に成長を続けている。7月末には、分散型取引所(DEX)の最大手Uniswap(ユニスワップ)がsudoswapで取引できるUIの構築を予定していることが明らかになった。
sudoswapは、AMMの仕組みを利用しているため従来よりも効率の良いNFT取引が可能になる。
たとえばOpenSeaと比較すると
- 手数料が安い
- まとめ買い/まとめ売りができる
- 即時売却が可能
- 自動的な販売価格設定が可能
- どの暗号資産とNFTを交換するかをユーザー間で決められる
といったメリットがある。下記に詳細な比較表をまとめた。
sudoswap | OpenSea | |
プラットフォーム手数料 | 0.5% | 2.5% |
二次流通の際のロイヤリティ手数料 | なし | NFTの作成者が0~10%の間で自由に設定できる |
NFTのまとめ買い/まとめ売りが可能か | 可能 | 不可能 |
即時購入/売却が可能か | 流動性があれば、即時購入・即時売却が可能 | 即時購入は可能。即時売却はオファーを受けたときのみ可能 |
販売価格の設定方法 | 手動設定・自動調整の両方が可能 | 1点1点手動で決める必要がある |
NFTと交換できる暗号資産の種類 | ETHまたはERC-20トークンからユーザー間の合意で自由に決められる | OpenSeaが決めたトークンのみ |
対応するブロックチェーン | イーサリアムのみ | イーサリアム、Polygon、Klaytn、Solana |
次に、こうした特徴がどのような仕組みから生まれるものなのかを見ていく。
2.sudoswapの仕組み:分散型取引所(DEX)の仕組みをNFTに利用
AMM(自動マーケットメイカー)とは
sudoswapの仕組みを理解するためには、まず「AMMとは何か」を理解する必要がある。AMMはUniswapやPancake Swap(パンケーキスワップ)など現在主要な分散型取引所(DEX)で現在スタンダードとして採用されている、取引自動化の仕組みである。
通常、コインチェックやBinance(バイナンス)などの取引所では、ユーザーが希望する価格で取引ができるように取引所が売買希望者の注文を整理してオーダーブックを作成している。
一方、分散型取引所ではそのような企業の仲介なしで取引を成立させるためAMMの仕組みを用いる。AMMは、ユーザー同士で作り上げる自動販売機のようなシステムだ。2種類の暗号資産ペアがたくさん入った流動性プールを事前に用意しておき、売買希望者はそのプールと暗号資産を交換する。
たとえば、USDCでETHを買う場合、下記のような流れで取引が行われる。
- 流動性を提供するユーザーは、事前に自分の保有するETHとUSDCを流動性プールに預ける
- USDCでETHを買いたいユーザーは、流動性プールにUSDCを送金し、代わりに流動性プールからETHを受け取る
- このときETHとUSDCの交換レートは、プール内にあるETHとUSDCの量によって自動的に決まる
- 売買を行うユーザーは一定の手数料を支払う必要がある。徴収された手数料は流動性提供者に自動で分配される
つまり、「事前に自動販売機に暗号資産ペアを入れてくれる人々」と「自動販売機を利用して暗号資産を買っていく人々」が存在する。そうして、後者は前者にお礼として手数料を支払うような仕組みになっている。
また交換レートは、x*y=kという方程式で決まる。xとyは上記の例におけるプール内のETHとUSDCの量、kは定数を表す。つまり、プール内のETHとUSDCの数量をかけると一定の数値を保つように、暗号資産同士の交換レートが決められる。
この数式についてさらに詳細に理解したい方は、Uniswapのドキュメントを参考にしてほしい。
AMMをNFTに適用したsudoswap
このAMMの仕組みをNFT取引に採用したのがsudoswapだ。sudoswapでは、ユーザーは
- 流動性プールの提供
- 流動性プールを利用したNFTの購入
- 流動性プールを利用したNFTの売却
の3つが可能だ。
流動性プールの提供
流動性プールの提供者は、下記3つから好きな方法を選ぶことができる。
- NFTを売却する:所有するNFTを流動性プールに提供する
- NFTの購入オファーを出す:所有する暗号資産を流動性プールに提供する
- NFTと暗号資産の両方を預け、手数料収入を得る
1つのNFTコレクション内であってもいくつでもプールを作成できる。
たとえば自分が10個の「Clone X」NFTを持っているとき、1つずつ別のプールにして10個のプールを作ってもいいし、1つのプールで10個のNFTを預けてもいい。後者の場合10個のNFTのうちどれでも交換していいという意思表示になるため、同じClone Xコレクションの中でもレアなどの理由で価格を分けたいNFTは別のプールを作成する方が良い。
また、価格決定の方式は「x*y=k」方式ではない。下記3つの価格カーブから選択が可能だ。
- 固定価格:常に同じ価格ですべてのNFTを売買する
- 線形カーブ:NFTが1つ売買されるごとに、ユーザーが事前に決めた数量ずつ価格が変化する
- 指数関数カーブ:NFTが1つ売買されるごとに、ユーザーが事前に決めたパーセンテージずつ価格が変化する
流動性プールを利用したNFTの購入
既に提供されている流動性プールを利用して、NFTを購入することができる。複数のNFTをまとめて購入でき、その分ガス代が安く済む点が特徴だ。

流動性プールを利用したNFTの売却
自分の保有するNFTコレクションに暗号資産を流動性提供している人がいる場合は、流動性プールを利用して即時にNFTを売却することも可能だ。
3.まとめ:sudoswapの将来性
ここまでsudoswapの概要と仕組みを見てきた。sudoswapは完全にオンチェーンでユーザーにとって便利なNFTマーケットメイキングシステムという点で新しい発明だと言える。
ただし、sudoswapにも向き不向きがあり1つ1つのNFTに細かく価格設定をして売却したいときにはあまり向かない。プールを複数に分ければ可能であるが、プール1つを作成する度にガス代がかかるため、こうしたケースではOpenSeaを利用する方が良いだろう。一方で、フロア価格で複数のNFTを売買をしたいときには手数料が安く取引できるため非常に向いている。
また、ロイヤリティ手数料が0という点については物議を醸している。ロイヤリティ手数料とは、二次/流通の際にクリエイターに入る手数料のことで、OpenSeaではコレクションを作成する際に10%までの間で設定ができる。クリエイターの中には、NFTを低価格で販売しロイヤリティ手数料で収益を上げようとしている人も多いため、そうした人々に手数料が入らないことを問題視する声もある。
現在のところsudoswapは順調な成長を遂げている。今後、NFTプラットフォームの王者OpenSeaを打倒する日もくるのだろうか。
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