虚偽広告の啓発団体、NFT薦める著名人へ発行元との関係の開示要求

2022/08/15
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虚偽広告に関する啓発活動を行っている米非営利団体のTINA.orgは8月8日、人気俳優のグウィネス・パルトロウ、エヴァ・ロンゴリア、元プロボクサーのフロイド・メイウェザー、アメフト選手のトム・ブレイディなど、自身のSNSでNFTについて投稿している著名人十数人へ、当該NFTの発売元との関係を明確にするよう通達したと明らかにした。NFTの発行元として、人気NFTプロジェクト「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」、女性クリエーターのWeb3.0での活躍を支援するNFTコレクション「World of Women(WoW)」NFTプラットフォームの「Autograph」などを名指ししている。

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TINA.orgは、米政府が6月に、NFTによる収益は2030年までに1300億ドル(約17兆3000億円)を超える可能性があり、デジタル経済の発展に貢献する可能性があると報告している一方で、注目度や有名人たちの支持にもかかわらず、一般ユーザーのNFTへの理解は不十分で、現在のNFT市場は過剰な投機熱や詐欺行為の危険にさらされていると表明していると言及。NFTへの投資はリスクがあるため、一部の著名人はNFTを投資と呼ばないように注意している。

TINA.orgは、エンドーサーがブランドや企業と重要なつながりを持っている場合、米国連邦取引委員会法(FTC法)に基づき、そのつながりは明確に開示されなければならないと触れ、NFTの場合には、投機的商品への投資に関連するリスクや、生じる可能性のある金銭的損害の開示も含まれると説明。SNSでNFTを薦めている著名人も、発売元と利害関係がある場合はFTC法に則って、開示する必要があると呼びかけている。

TINA.orgは2カ月前にも、NFTブランド「inBetweeners」とパートナー関係を結んでいる人気歌手のジャスティン・ビーバーと、運営するメディア企業HELLO SUNSHINEがWoWと提携している俳優のリース・ウィザースプーンへ、同様の通告を送っているとのこと。どちらもウェブサイトでは提携を発表しているが、SNSでの投稿ではその関係を公表していないと指摘している。それぞれの弁護士は、不正行為は否定しているという。ウィザースプーンの弁護士はWoWとの関係によってウィザースプーンやHELLO SUNSHINEへの金銭的な見返りは一切ないとも表明しているが、TINA.orgは、両者ともNFTの購入に伴う金銭的リスクや、彼らが宣伝しているNFTの消費者需要が増加した場合に得られる利益は開示していないと主張している。

TINA.orgは、NFTを推進する有名人は、ファンやフォロワーの金融リテラシーの向上には役立っていないともコメント。NFTにまつわる広告には誇大広告も多く、真偽を見極めることは困難であると注意喚起し、リスクの高いデジタル資産の購入を検討している場合、自ら調査を行うことが極めて重要であると呼びかけている。