OpenSeaが盗難NFT取り扱い規約を改定 警察への申告拡大

2022/08/12
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大手NFTマーケットプレイスのOpenSeaは8月11日、盗難品のNFTの取り扱いポリシーを変更したと発表した。警察への盗難届が一定期間ないNFTや、盗難され返却されたNFTの売買再開を容易にするという。

OpenSeaの従来のポリシーでは、盗品だと報告のあったNFTは取引を凍結される。盗まれたものだと知らずにNFTを購入してしまった場合、盗難には関与していないにもかかわらず資産をロックされることになり、ユーザーの間では不満の対象になっていた。米報道によると、そうして凍結された資産の総額は、数十億円規模になるという。

OpenSea はTwitterで「盗品に関するポリシーについて、より明確かつ透明性を提供したい」と言及。盗品の販売にプラットフォームを使用されることで盗難を助長しないためのポリシーだったが、盗まれたNFTだと知らずに購入したユーザーが自分の責任ではない過失で不利益になることは「私たちが直面している最も困難な問題の一つ」と認めた。

改定により、警察機関への申告範囲を拡大する。従来は盗難問題がエスカレートした場合に警察へ報告していたが、今後は虚偽の報告を防ぐためすべての被害を報告。7 日以内に警察の報告がない場合は、盗まれたと申告されたアイテムの売買を再度有効する。

NFTが盗まれたと報告したユーザーが、作品を取り戻したり、NFTの盗難申告を撤回したりした際の売買の再開も容易にするとのこと。また、盗難問題の根本的な解決のため、疑わしい URL の早期検出やブロックなどの自動化も進めているという。

OpenSeaの盗品NFTの取り扱いを巡っては、8月上旬に米弁護士のJesse Halfon氏が、ポリシー改定を要求する訴訟を起こしている。同意するユーザーは多く、集団訴訟になる可能性も指摘されていた。

サイバーセキュリティー情報サイト「Comparitech」が8月5日に発表したリポートによると、NFTのNFTの盗難被害事例が最初に確認されたのは2020年で、その後大幅に増加。現在までに8600万ドル(約114億5700万円)以上が盗まれているという。

被害額が数億円を達する事例も10件以上発生しており、これまでで最も被害額が大きかったNFTのハッキング事例は、22年1月に発生した香港のブロックチェーン企業Animoca Brands(アニモカブランズ)の子会社のスポーツ系NFT「Lympo」。ホットウォレットがハッキングされ、約1870万ドル(約25億円)に相当する1億6520万LMTトークンが盗まれている。