コインチェックの23年3月期、純利益95%減 市場下落の影響大きく

2022/08/04

マネックスグループ傘下で暗号資産取引サービス「Coincheck」を運営するコインチェックは8月3日、2023年3月期の純利益が前年同期比95.4パーセント減の4億1500万円と発表した。営業収益は31億9100万円で、前年同期の127億3900万円から75パーセント減だった。

取引所暗号資産の売買代金は8602億円で、前年同期比で52.6パーセント減少。販売所暗号資産売買代金は640 億円で、同76.5パーセント減だった。送金手数料の減少などにより、受け入れ手数料は2億5700万円で同45.3パーセント減、ビットコインおよびアルトコインの販売所取引の減少によるトレーディング損益は23億4300万円で、同80.7パーセント減だった。

ロシアによるウクライナ侵攻や中国の新型コロナウイルスの感染封じ込めを目指す「ゼロコロナ政策」などの影響による世界的なインフレ、各国の金融引き締め加速により、暗号資産市場が著しく下落している。米国では数十年ぶりの大幅利上げに踏み切り、暗号資産はリスクアセットとして大きく売られた。5月には無担保型ステーブルコイン「テラUSD」のドルとの価値連動が崩れ、約7兆円規模の価値が分散型金融(DeFi)市場を中心に失われている。

一部の暗号資産レンディング企業やファンドの経営状況が悪化し、市場では過度なレバレッジポジションの清算が相次いでいた。また、人気NFTコレクションを狙ったフィッシング詐欺などの頻発も、市場の悪化に影響を与えている。

コインチェックはNFT事業の収益拡大を目指し、NFTマーケットプレイスの「Coincheck NFT(β版)」なども運営。NFTゲーム「The Sandbox」やVRプラットフォーム「Decentraland(ディセントラランド)」、人気NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」などを手掛けるYuga Labsと香港のブロックチェーン企業Animoca Brands(アニモカブランズ)による新しいメタバースプロジェクト「Otherside」上で、仮想の都市開発を行っている。3月には、22年中をめどにした米ナスダック上場を発表していた

コインチェックは12年に創業し、14年から暗号資産交換業に参入。18年1月に約580億円相当の暗号資産の流出が発覚し、金融庁から2度にわたる業務改善命令を受け、同年4月にマネックスグループ傘下に入っている。口座数は150万口座以上で国内市場で3割弱を占め、預かり資産は38億ドル(約5079億円)に達している。