イーサリアム共同創設者、メタバースは実現するが「Metaは失敗する」

2022/08/02

イーサリアムの共同創設者であるビタリック・ブテリン氏は7月31日、自身のTwitterで「意図的にメタバースを作ろうとする既存の企業の試みは、どれも成功しないと思う」と述べた。メタバースにおける企業の試みは「人々が実際に何を望んでいるかを知るには、あまりにも時期尚早」であり、「失敗するだろう」とも言及した。

ブテリン氏は、メタバースがどのように見えるかを議論するTwitterのスレッドで、現在進行中の企業プロジェクトは有望に見えないと指摘している。特に米Metaを、旧社名のFecebookで名指しして批判。「メタバースの定義がまだ本当にわかっていない。人々が実際に何を望んでいるかを知るには、あまりにも早すぎる」と述べ「だから、Facebookが作るものはすべて誤爆する」とまで批判した。

ブテリン氏は、メタバースの確立は今日の技術の進歩において、ある程度必然的なステップであ、「メタバースは実現する」と述べている。しかし、メタバースを意図的に構築しようとする既存のプロジェクトの成功の確率は低いと見ていることも明かした。

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メタバースがどのように形成されるかをめぐっては、企業の中央集権的な権威とブロックチェーン技術が可能にする分散型形態とで、緊張関係が存在している。昨今、米マイクロソフトやMeta、ソニーなどの企業が個別に提携を発表。メタバースの標準を確立するため、Web3の企業が協力を表明している。Meta最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏はかねて「メタバースはインターネットの次の章だと信じている」を述べ「現在MetaはSNS企業だとみなされているが、人々をつなぐための技術を構築する会社であり、メタバースは次のフロンティアだ」と表明している。

一方で、7月末には米連邦取引委員会(FTC)が、MetaによるVRアプリ開発企業の米Within買収差し止めを求めて提訴。メタバース市場でのMetaの独占を警戒する風潮が高まっている。また、Metaの2022年4~6月期決算は、売上高が前年同期比1パーセント減の288億2200万ドル(約4兆円)、純利益が同36パーセント減の66億8700万ドル(約8733億円)で、12年の上場以来初の減収になった。ザッカーバーグ氏は「楽観的すぎた」とコメントしており、事業計画の見通しの甘さを認めている。