「BAYC に不適切な勧誘」米法律事務所がYuga Labsを集団訴訟へ

2022/07/26

米法律事務所のScott+Scottは7月21日、人気NFTプロジェクト「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」などを展開するYuga Labsに対する集団訴訟の準備を行っていると明らかにした。NFTやYuga Labsの発行する暗号資産「ApeCoin」の購入で不適切な勧誘を行われており、損失の返還を求めるという。

Scott+Scottによると、Yuga Labsは、著名なプロモーターやPRを利用してBAYC などのNFTの価格を不当につり上げ、購入すれば巨額のリターンがある投資になると宣伝。高騰させたNFTの販売後は「さらに金を巻き上げるために」ApeCoinを立ち上げたという。BAYCなどのNFTの価値がプロモーションによるもので実用性などとの間に齟齬(そご)があると判明し、価格はピーク時の2022年4月28日から87パーセント以上下落したとScott+Scottは主張している。

Scott+Scottが提起した集団訴訟には、NFTの購入により生じた損失の返還を求めるYuga Labsのユーザーが集結しているとのこと。また、22年4~6月の間にNFTやトークンを購入して損失を被ったユーザーへ、法的権利についての詳細の確認とScott+Scottへの連絡を募っている。

BAYCは「Bored Ape(退屈した猿)」をモチーフとした全1万点のNFTコレクションで、21年4月から販売。9月にはオークションハウス大手サザビーズで、101点のNFTコレクションが2440万ドル(約33億円)で落札されるなど、最も人気のあるNFTプロジェクトの一つといわれており、米スポーツメーカー大手のadidasなどともコラボレーションしている。NFTの保有者へ商業的な活用も認めており、Bored Apeを用いたプロダクトなどを自由に行うことができる。

BAYCの高騰については、イーサリアムの共同創設者であるビタリック・ブテリン氏が6月、米TIME誌で、BAYCを名指しし「300万ドル(約4億円)のサルが取引されていると、それは別のギャンブル性を持つ危険がある」と警鐘を鳴らしていた。またブテリン氏は暗号資産は「使い方を誤るとディストピアに陥る可能性もある」との危惧を明かしている。