ウクライナ、NFTミュージアムの売り上げで文化施設修復へ

2022/07/25

ウクライナ政府は7月22日、ロシアによる侵攻の出来事をまとめたNFTミュージアム「META HISTORY MUSEUM OF WAR」の売上金を活用した文化施設の修復計画を発表した。ロシアのミサイル攻撃によって損傷、破壊された宗教施設や博物館、歴史的建造物、文化活動施設などが対象。

META HISTORY MUSEUM OF WARは、軍や民間人への援助金を募る目的で3月に設立。2月24日のロシアのウクライナ軍事侵攻開始からの経過を、国内外のデジタルアーティストらが個人的な考察を添えて制作したNFT作品が時系列で展示されている。ウクライナの副首相兼デジタル改革担当相のMykhailo Fedorov氏は「戦争の記憶を残す場所」「ウクライナのアイデンティティーと自由を祝う場所」だと述べていた

現時点のNFT作品の売上金は803.28ETH(約130万ドル<1億7730万円>相当)。収益を、ロシアによるミサイル攻撃で損傷、破壊された文化施設の修復に充てる。ウクライナ政府によると、被害を受けた文化遺産や国家遺産などの損害は約60億ユーロ(約8340億円)という。

ウクライナでは、首都キーウの聖ソフィア大聖堂と関連する修道院群やペチェルスカヤ大修道院、西部の都市リビウの歴史地区などの7つが、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録。ユネスコは「あらゆる文化遺産は、いかなる状況下でも標的とされるべきではない。ウクライナの文化遺産に対する攻撃は止めなければならない」と声明を発表しているが、キーウにあるナチス・ドイツよるホロコーストの追悼施設「バビ・ヤール・ホロコースト・メモリアル・センター」などの被害が確認されている。

デジタル改革担当副大臣のAlex Bornyakov氏は「NFTがロシアのミサイルを止めることはない。しかしブロックチェーン技術は、ウクライナの復興を支援する」と述べている。ウクライナ政府は2月末、暗号資産などでの寄付の受け付けを表明しており、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ポルカドット(DOT)のアドレスを公開。主にイーサリアムやビットコインなどで受け取っているが、NFTでの寄付もあるという。人気NFTプロジェクト「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」は3月9日、1億円相当のイーサリアムをウクライナ政府の公式ウォレットに寄付したと発表している。