NFT市場は2030年には約32兆円に 米調査会社予測

米調査会社Verified Market Research(VMR)が、業界や地域別のNFT市場リポートを公開した。NFT市場は2022~30年に年平均33.7%で成長し、30年には2319億8000万ドル(約32兆387億円)に達するとの予測を発表した。

リポートでは、21年のNFT市場は113億2000万ドル(約1兆5636億円)と報告している。NFTの需要が急激に増加している主な理由の一つとして、音楽や映画、スポーツなどジャンルの枠を超えて、メタバースやゲームなど他のストリームを含むようになったと説明。ブロックチェーン関連企業のEnjinを例に挙げ、ブロックチェーンゲーム用に開発されたプラットフォーム「Enjin Platform」ではゲーム内暗号資産をNFTにかえて収益を得ることができると解説した。

Enjinは、ブロックチェーンテクノロジーとインフラを組み合わせて、日本でも17年から使用されている暗号資産「エンジンコイン(ENJ)」を発行。Enjin Platformのユーザー数は2000万人をこえており「NFT関連銘柄」として注目されている

また、NFTゲームトレンドを形成したパイオニアの一つであるNFTゲーム「Axie Infinity(アクシーインフィニティ)」の例にも言及。Axie Infinityは「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」形式のモンスター対戦型ゲームで、プレーを始めるために必要なキャラクターは、ゲーム人気から価格が高騰している。そのため、複数のキャラクターを保有しているユーザーが新規ユーザーにキャラを貸し出す「スカラー」機能を提供している。

新型コロナウイルス感染拡大防止のための自粛生活期間中、フィリピンではAxie Infinityのユーザー数が急増。海外からの送金に国内総生産(GDP)の10パーセント以上を依存するフィリピンでは、ゲームから得る報酬がライフラインにもなっている。こうした事例は、ブロックチェーンゲームモデルにとって大きな成長の見込みになっているという。

一方で、権利関係をクリアしていない違法なNFTの複製の存在が、市場のベースラインの抑制になっている点も指摘。またAxie Infinityのケースでは、3月に17万3600 イーサリアム(約6億2500万ドル<約863億6000万円>)相当の暗号資産の不正流出も起きている。

NFTの市場予測では、米銀行大手のCiti(シティ)グループが4月、「メタバースとマネー」と題したリポートを発表。メタバース市場は30年までに8兆~13兆ドル(約1105兆~1796兆円)、ユーザー数は約50人億に達する可能性があると予測している。