【NFTトレンディ】NFTの標準規格「ERC721」「ERC1155」とは何か?
NFTトレンディでは、NFTやブロックチェーンに関連する注目トピックを取り上げて解説する。今週はイーサリアムで用いられている「ERC721」「ERC1155」「ERC4907」といったNFTの標準規格について取り上げる。
【目次】
1.NFT(非代替性トークン)は何のために作られたか
まず、そもそもNFTとは何のために作られたのかを復習しよう。
NFTは「Non-Fungible Token」の略で、日本語では「非代替性トークン」と訳される。「非代替性」は「替えがきかない」ということだ。
「替えがきく」とは、区別不要で同じ価値を持つことを指す。たとえばもともと自分が持っていた1000円札と、先ほどコンビニでおつりとしてもらった1000円札はどちらも同じ1000円という価値を持つ。普段の生活の中で2つを区別し、どちらがおつりとしてもらった1000円札かを見分けるケースは稀である。
一方で、同じ1000円札でも「製造番号が連番になっている」「好きなアイドルから手渡された」のように、とある1枚の1000円札を特別なものとして大事にするようなこともあるだろう。この場合は、特別な1枚の1000円札は本人にとっては他の1000円札よりも高い価値を持ち、替えがきかない。このように同じ通貨であっても1つ1つが他とは異なる価値を持ち、区別して扱う必要があるといったユースケースのために作られたのがNFTだ。
2010年に誕生した最初の暗号資産(仮想通貨)であつこるビットコインは、通常のお金と同様に「替えがきく」ものとして設計された。これら仮想通貨は 「代替性トークン」なので、NFTに対して「FT(Fungible Token)」である。
ちなみにNFTは、2016年に本格始動したイーサリアムブロックチェーンで初めて登場する。
イーサリアムではトークンがどのように動作するかを決めるスマートコントラクトの標準規格が定められている。標準規格に従うトークンであれば、取引所やウォレットが共通のインターフェースを利用して容易に扱うことができる。
NFTではなく一般的な暗号資産を発行する場合に利用されるのは、「ERC20」という規格だ。ERC20は、たとえば「DOGE」や「USDC」「UNI」といった多くの暗号資産で利用されている。2018年に、1つ1つのトークンを区別し替えがきかないものとして発行し扱うための規格「ERC721」が採択された。この「ERC721」規格を利用して発行されたトークンが「NFT」と呼ばれるようになり、イーサリアムだけでなく他のブロックチェーンにも広がっていった。ERC-721の仕様はイーサリアムのウェブサイトで公開されている。
2.主要なERC規格:ERC721、ERC1155、ERC4907
現在、イーサリアムのNFT標準規格には大きく「ERC721」と「ERC1155」の2つがあり、「ERC721」の拡張版として「ERC4907」なども直近承認されている。
ERC721
世界初のNFT標準規格。「CryptoPunks」や「Bored Ape Yacht Club」「CryptoKitties」など多くの著名なNFTが採用している規格となる。
ERC721では、ひとつひとつのトークンに「トークンID」を割り振ることで、容易にトークン同士の区別が付けられるようになっている。また、NFTのタイプ情報(たとえばCryptoPunksでは「男性」「宇宙人」「女性」「猿」「ゾンビ」といった区分がある)や名前、画像のURLなどのメタデータをNFTに付与することができる。メタデータは外部サーバーに保存されるケースが多く、保存先からデータを呼び出す方法などが定義されている。
ERC4907
ERC4907は2022年6月に、NFTレンタルサービスを展開するDoubleProtocol(ダブルプロトコル)の提案で、ERC721の拡張版として承認された規格。NFTをレンタルしやすいように、一定期間NFTを利用できる「user」とその期間の制限「expires」を設定することができる。設定した期間の制限が過ぎれば、自動でuserの権利は失効する。
またNFTを借りる側はNFTの転送やuser設定ができないため、レンタルに出しても勝手にNFTを売却されるなどの心配がない。こうした特徴により、ゲームアイテムのNFTをレンタルして遊んだり、メタバースにおけるアバターを一定期間借りるといったことが安全にできるようになる。
ERC4907は現在メタバースプラットフォームの「Player One」などのサービスで採用されているとのことだ。
ERC1155
ERC1155は、2019年6月に採択された比較的新しい標準規格である。村上隆氏の「Murakami.Flowers」やadidasの「Into The Metaverse」といったNFTコレクションで採用されている。
ERC1155は、ゲーム・分散型アプリのプラットフォームを展開するenjin社のCTO、Witek Radomski氏により提案された。通常の暗号資産とNFTのハイブリッドのような規格で、ゲームアイテムの取引などを想定している。
ERC1155は、ERC20やERC721と異なり、1つのコントラクトから複数のNFTや通貨を発行できるという特徴がある。これにより、①1回の取引(トランザクション)で複数のアイテムを送付できる②1回の取引(トランザクション)で複数の相手にNFTや通貨を送付できるという2つのメリットがある。従来のERC20やERC721では何回にもわたって送付を行う必要のあった取引がたった1度の送付で済むため、手数料(ガス代)の削減になる。また従来であれば複数のトークンを発行するために複数コントラクトを扱う必要があったが、ERC1155であれば1つのコントラクトで済むため開発コストも削減される。

また、本記事では取り上げないがこのほかにも「ERC721A」「ERC721E」といったERC721の拡張版も複数存在する。NFTを発行する際には、目的ややりたいことに合わせてどのNFT規格を選ぶのかを考える必要がある。
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