独Siemensと米NVIDIAが提携、企業用メタバースサービス提供へ

2022/07/05

ドイツの重電大手Siemens(シーメンス)は6月29日、米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)と提携し、メタバースの企業向けサービスを提供すると発表した。製造ラインや発電設備をメタバース上で再現する、Siemensの「デジタルツイン」技術の拡充を目指す。

Siemensが同日に立ち上げを発表した、デジタル技術を統合した新プラットフォーム「Xcelerator(アクセルレーター)」と、NVIDIAの 3D設計の開発プラットフォーム「Omniverse(オムニバース)」を統合。Siemensの物理ベースの設計と、NVIDIAのリアルタイムAI処理により、膨大なデータ解析作業などが可能になり、製品の設計や性能試験などがメタバースで再現、実施できるようになるという。

デジタルツインは物理ベースの数値モデルに基づくため、実際に設備を動かす際の最適な稼働条件の試算などに活用できる。生産性の向上だけでなく、温暖化ガスの排出量削減効果なども期待できるという。

Siemensの社長兼最高経営責任者(CEO)であるRoland Busch氏は提携に際し「あらゆる規模の企業にとっての産業用メタバースを現実のものとする」と言及。「Siemensのデジタルツイン技術は、10年以上にわたりあらゆる業界の顧客の生産性向上に貢献してきた。XceleratorとOmniverseを組み合わせで、ハードウエアとソフトウエアをつなぐ、リアルタイムで没入型のメタバースが実現する」と述べた。

またNVIDIAの創業者兼CEOであるJensen Huang氏は「NVIDIAのOmniverseとAIエコシステムは、Siemensの機械や電気、ソフトウエアやソリューションを使用して、産業オートメーションの新しい世界を開く」コメントしている。