【NFTトレンディ】2022年参院選 各政党はWeb3をどう取り上げているのか?

2022/07/03

今週のNFTトレンディでは、NFTやブロックチェーンに関連する注目トピックを取り上げて解説する。今週は7月10日に行われる参議院選挙に向けて、各政党の公約でWeb3やブロックチェーン、NFTがどのように取り上げられているのかを見ていく。

【目次】

  1. 各党公約におけるWeb3/ブロックチェーンに関する論点まとめ
  2. 自民党:Web3.0対応のデジタル経済圏確立のため環境整備 具体策は述べず
  3. 立憲民主党:税制改革、デジタル通貨、DAOの法人化なども検討
  4. 公明党:技術活用、地方創生目指す 具体的な政策については言及なし
  5. 日本維新の会:NFTを活かしたコンテンツ・アート産業発展を目指す
  6. 国民民主党:暗号資産の申告分離課税化、法人発行トークンへの課税見直しを明記

1.各党公約におけるWeb3/ブロックチェーンに関する論点まとめ

岸田政権が日本の成長戦略の柱に据えているWeb3だが、他党の動きはどうだろうか。各党の公約・政策提言に、Web3やブロックチェーン、NFTに関するトピックについて言及があったかどうかを表にまとめた。

ブロックチェーンやNFTといった技術の発展や、業界の成長を目指す方針は、半数以上となる5つの政党で言及されていた。

その中でも、特に暗号資産税制の改革が注目ポイントだろう。現在、暗号資産の売却で得た利益は個人では雑所得扱いで、給与所得などと合算する総合課税方式となっている。所得総額に応じて税率が計算され最大税率55%となっており、株やFXといった申告分離課税方式が適用される金融商品の税率約20%と比較すると税負担が重いケースが多いことや、確定申告が煩雑になる計算方法がデメリットとして指摘されている。

暗号資産税制の改革・検討については、立憲民主党や日本維新の会、国民民主党などが言及している。

また、日本円デジタル通貨の発行についても、立憲民主党・国民民主党が取り上げている。立憲民主党はさらにDAO(分散型自立組織)の法人化についても検討を進めるなど踏み込んだ内容となっていた。

Web3/NFT/ブロックチェーン推進方針暗号資産税制変革デジタル通貨推進DAOの法整備
自民党×××
立憲民主党
日本維新の会××
国民民主党×
公明党×××
日本共産党××××
れいわ新選組××××
社会民主党××××
NHK党××××
各党の公約におけるWeb3関連のトピック(〇:言及あり ×:言及なし)

日本共産党、れいわ新選組、社会民主党、NHK党に関しては、公約や選挙特設サイトを見る限り、Web3や暗号資産、メタバースに関するトピックは見当たらないようだ。

2.自民党:Web3.0対応のデジタル経済圏確立のため環境整備 具体策は述べず

自民党のマニフェストでは「『新しい資本主義』で、“強い経済”と“豊かさを実感できる社会”を創る」テーマの中の、「思い切ったデジタル化で、成長力を強化する」という項目の中でWEB3への挑戦が取り上げられた。

次世代インターネット(Web3.0) 時代を先導し、デジタルの徹底的な活用により、「課題を価値」に、「コストをバリュー」に転換する「新しい資本主義」に挑戦していきます。

ブロックチェーン・NFT(非代替性トークン)・メタバースなどの新技術を活用し、「Web3.0」に対応した新しいデジタル経済圏を確立するため、人材育成も含めた環境を整備し、国際社会でも主導的な役割を果たします。

一方で、具体的な政策や暗号資産の税制には触れていない。

3.立憲民主党:税制改革、デジタル通貨、DAOの法人化なども検討

立憲民主党は、公約が記された「生活安全保障パンフレット」内ではメタバースやWEB3といったテーマは取り上げていない。しかしより具体的な政策に踏み込んだ「政策集 2022」の中で暗号資産税制改革やデジタル通貨推進、DAOの法人化といった政策を提言している。

暗号資産税制については、

国際競争⼒確保の観点から、Web3.0の発展に⼤きく関係する暗号資産税制を⾒直します。

クラウドファンディングや暗号資産への課税のあり⽅について、さらに検討を進めます。

と見直しを進めることが述べられている。具体的な数値や改革方針については言及はなかった。

また、デジタル通貨の実証実験やデジタル証券の法制度整備も検討するとのことだ。

デジタル証券の流通市場の整備に向けた適切な法制度を検討します。

決済⼿段の多様化と低コスト化を図るため、世界に後れを取ることがないように、⽇銀が⾏っている中央銀⾏デジタル通貨(CDBC)の実証実験や研究などの検討を促進します。

さらに、分散型⾃律組織(DAO)についても政党の中で唯一触れており、法人化を認める法律を整備していくとしている。

法律上の位置づけ、構成員・参加者の法的な権利義務関係等を明確にするよう、ブロックチェーンの応⽤の⼀つである分散型⾃律組織(DAO)の法⼈化を認める法制度の整備を⽬指します。

4.公明党:技術活用、地方創生目指す 具体的な政策については言及なし

公明党の公約では、具体的な政策提言には踏み込まず、NFTやブロックチェーン技術の活用推進について検討するとの言及にとどまった。

Web3.0時代を見据え、わが国のNFT(非代替性トークン)を含むブロックチェーン技術の活用に向けた新たなビジョンや方策を検討するとともに、同技術を活用した地方創生を推進します。

5.日本維新の会:NFTを活かしたコンテンツ・アート産業発展を目指す

日本維新の会の公約では、WEB3やメタバースの推進や、NFTのルール整備によるマンガ・アニメ・ゲーム等のコンテンツ産業・アート市場の発展について述べられた。

WEB3 (ブロックチェーン技術などを基盤とした非中央集権的なインターネット)事業、メタバース(インターネット上に作られた3次元の仮想空間)産業について、日本の成長戦略・文化振興施策として位置づけ支援拡充を図るとともに、国や地方公共団体など公的機関での導入・活用を推進します。

文化的コンテンツ等をデジタルデータとしてブロックチェーン上に記録したいわゆる NFT (非代替性トークン)に ついて、イノベーションを阻害しないルール作りによる市場の拡大支援を行い、日本の強みであるマンガ・アニメ・ゲーム等のコンテンツ産業・アート市場のさらなる発展を後押しします。

また国際競争力向上の観点から、暗号資産税制については、雑所得ではなく株等と同様のキャピタルゲイン課税方式に改正をするとのことだ。

国際金融市場における競争力の確保の観点から、暗号資産税制の改正を行い、雑所得としての課税方式からキャピタルゲイン課税に改めます。また、暗号資産を利用した資金決済分野の革新を後押しするとともに、ブロックチェーン技術の研究開発を進め、暗号資産の分野で世界をリードする先進国の立場を取り戻します。

6.国民民主党:暗号資産の申告分離課税化、法人発行トークンへの課税見直しを明記

国民民主党の政策パンフレットでは、暗号資産の税制改正について明確に「20%の申告分離課税とする」と述べている。

さらに、しばしばWEB3・暗号資産関係のスタートアップが海外に流出してしまう理由として指摘されている、法人のトークン発行における税制の課税方式を変更する旨も記載があった。

WEB3など非代替性トークン(NFT)を活かした経済を推進するため、暗号資産(仮想通貨)を雑所得として課税するのではなく、20%の申告分離課税とします。

発行法人が保有するトークンは、期末時価評価の対象から除外し、実際に収益が発生した時点で課税します。

デジタル通貨についても、中央銀行の発行するデジタル通貨(Central Bank Digital Currency:CBDC)とデジタル地域通貨両方に触れるなど、意欲的な姿勢がうかがえる。

また、法定通貨である円を電子通貨化するとともに(CBDC)、地方自治体による、地域経済活性化に資する暗号資産「デジタル地域通貨」(仮称)の発行を推進します。

参院選の投票日は7月10日(日)だ。Web3や暗号資産に関する政策も、投票の参考にしてみてほしい。