高級ブランドはNFTで若年層にもアピール可能に【NFT.NYC】

2022/06/27

米ニューヨークで開催されたNFTに関する世界最大規模のイベント「NFT.NYC 2022」内で「Redefining brand identities with NFTs」と題したフォーラムが開かれた。Web3.0事業などを手がけるBentley Blockchain Associationの共同設立者兼代表のAlex Kim氏らが登壇し、グッチやプラダ、ルイ・ヴィトンなどの高級ブランドは、NFTとWeb3.0を活用してブランドイメージを刷新し、既存顧客のロイヤリティー強化とともに若年層の新規客にもアピールすることができると述べた。

Kim氏は、高級ファッションブランドはNFTのデジタルファッション発行で「この1年で一歩前進し、新しい市場を作り出した」と指摘。例として、ルイ・ヴィトンがブランド創業者ルイ・ヴィトンの生誕200周年を祝って2021年8月に制作、リリースした独自のブロックチェーンゲーム「Louis: The Game」をあげ、「NFTはフェミニンな人たちだけのものではない。Louis: The Gameは、多くのゲーム内NFTを生み出している」と説明した。

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バーバリーが21年に人気ブロックチェーンゲーム「Blankos Block Party」とコラボレーションして発売した限定NFTコレクション「Sharky B」についても言及。「ブランドロイヤリティーがいかに重要であるか、誰もが気づき始めている。多くの企業にとって長期的な戦略ではないにせよ、伝統的なスタイルを貫くだけではないと示すことが重要だ」と述べた。またKim氏は米ベントレー大学で経済学と哲学を専攻しており、サプライチェーンが物理的な製品に比べてはるかに小さいデジタルアイテムは、環境保護と持続可能性にも貢献するとも説明した。

Microsoftでブロックチェーン関連プロジェクトに取り組んできたシニアプログラムマネージャーのTaylor O’Malley氏は「NFTの有用性はファッションやエンターテインメントなど一部の業界にとっては非常に明白だが、その他の業界にとっては、現段階ではそれほどでもない」と述べた。米国とカナダで事業を展開するブランディングエージェンシー、Verb Factoryの成長担当ディレクターのCorey Herscu氏は「一般消費者のブランドロイヤリティーの低下は明らか」と断言した。

一方でHerscu氏は、消費者の支持を失ったブランドは、デジタルスフィアやメタバースに機会を見出すことができるとも解説した。米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーによる、過去2年間に75%の消費者が新しいブランドに移行し、今後もその傾向は続くと予想されるという調査結果を引用し「新型コロナウイルスの感染拡大により、消費者は高級な服やかばんを持つ理由がなくなり、代わりにメタバースでくつろぐ傾向にある」とコメント。Web3.0やNFTは、デジタルオーナーシップの概念からWeb3.0以外のメタバース環境とは全く異なるため、ファッションブランドと親和性があるとも述べた。