【NFTトレンディ】goblinが火付け役「フリーミント(無料配布)NFT」とは?

今週のNFTトピックでは、NFTやブロックチェーンに関連する注目トピックを取り上げて解説する。今週は無料で配布される「フリーミントNFT」について解説する。
【目次】
- 流行のきっかけとなった「goblintown.wtf」の成功
- フリーミントのメリットは自由度の高さ
- 主要なフリーミントプロジェクト:既存NFTへの対抗文化が流行か
We Are All Going to Die
ill poop it nft・ShitBeast - フリーミントNFTに参加するときの注意点
5月から「フリーミントNFT」が注目を集めている。フリーミントNFTとは、無料で配布されるNFTのことで、誰でもイーサリアムネットワークに支払うガス代(手数料)のみでNFTを入手できる。
5月下旬に配布され、現在最低価格4.1ETH(約90万円)程度で取引される「goblintown.wtf」をはじめとして、「We Are All Going to Die」「ill poop it nft」など無料でミント(発行)できるNFTがOpenSeaの取引高上位にランクインしているのだ。
なぜフリーミントNFTが流行しているのだろうか?
1.流行のきっかけとなった「goblintown.wtf」の成功
今回のフリーミントの流行は「goblintown.wtf」に始まっている。
「goblintown.wtf」は、日本時間5月22日に何の前触れもなくローンチした、「ロードマップなし、Discordなし、利用用途なし」を掲げる異色のNFTだ。
参考:【NFTトレンディ】連日OpenSea取引高1位の人気NFT「goblintown.wtf」とは?
通常、NFTプロジェクトはNFTの売り上げを資金にしてサービスの開発や採用、マーケティング等を行うことが多い。無料で配布をしてしまうと元手となる資金が得られないため、フリーミントというやり方は取らないことがほとんどだ。
一方、フリーミントNFTは「クリエイター手数料」を主な収入源としている。「クリエイター手数料」とは、二次流通の際にクリエイターに支払われる手数料のことで、OpenSeaでは0%~10%の間で任意に設定することが可能だ。
goblintown.wtfは無料でNFTを配布しているが、このロイヤリティ手数料を7.5%と比較的高めにすることで大きな収入を得ている。
6月11日現在、goblintown.wtfはOpenSeaで累計3.3万ETH(約72.6億円)の取引高があり、このうち7.5%が手数料として運営チームに支払われている。つまり、ローンチからわずか3週間程度で、運営チームは無料で配布したNFTから5.4億円もの収入を得ている。
加えて、運営チームはもともと1000個のgoblintown.wtfのNFTを確保しているため、仮にそれらを売らずにすべて保有し続けていれば、現在9億円相当のNFTを保有していることになる。
goblintown.wtfの成功によって、人気が出て取引高が増えればフリーミントNFTでも十分に収入を得られることが示されたため、フリーミントNFTプロジェクトが続々と登場しているのだ。
2.フリーミントのメリットは自由度の高さ
またフリーミントNFTのもうひとつの特徴として、自由度の高さが挙げられる。NFTが無料であるため、運営チームはユーザーに忖度せずにやりたいようにプロジェクトの方向性や発展を決められる。そのためgoblintown.wtfのように「ロードマップなし、Discordなし、利用用途なし」といった尖ったプロジェクトのあり方が可能となっている。
goblintown.wtfは他にも「ただそうしたいから」という理由で1万個中1000個のNFTを配布せずに手元に保管しているが、無料なので誰も文句を言わない。仮にこれが有料のNFTであったならば、購入者から「運営チームが理由も言わずに1000個も確保するのはおかしい」「Discordなしはありえない」といった不満も出るだろう。
しかしフリーミントにすることで、運営チームが好きなようにプロジェクトを設計することができる。これが、フリーミントの大きなメリットと言えるだろう。
3.主要なフリーミントプロジェクト:既存NFTへの対抗文化が流行か
goblintown.wtfについては前回のNFTトレンディで解説したので、それ以外のフリーミントNFTを紹介したい。
We Are All Going to Die
6月11日現在、OpenSeaの24時間取引高ランキングで5位にランクインしているNFTコレクション「We Are All Going to Die」。goblintown.wtfに次いで人気のフリーミントNFTだ。
「We Are All Going to Die」は「ロードマップなし、Discordなし、ウェブサイトなし、CC0」を掲げており、TwitterとNFTのコントラクト(コードのこと)のみによって成立しているプロジェクトだ。6月4日に、6,666体の死神を模したNFTがフリーミントによって発行された。

現在最低価格は0.69ETH(約15万円)、OpenSeaにおける総取引高は1.4万ETH(約30.8億円)だ。クリエイター手数料は5.7%で、運営チームには少なくとも1.75億円程度の手数料収入が入っていると見られる。
We Are All Going to Dieの特徴は、独特の退廃的な世界観だ。運営チームは、6月7日にTwitterのスペースで開かれた集会で、21ETH(約462万円)で購入した高額NFTである「Mutant Ape Yacht Club(MAYC)」をBurn(焼却:NFTを取り出すことのできないアドレスに送り、今後一切の取引・利用不能にすること)した。NFTが焼却される際、スペースでは火が燃える音や豚の鳴き声が聞こえる中呪文と讃美歌が流れ、NFT界に現れた死神の集会とでもいうべき様相だった。また「あなたも魂の調和に参加するか?彼女を讃えるか?おそらく、この見捨てられた世界の論理に抗うのか?循環が真に始まる前に、眠りに就こう…」といった内容が公式アカウントからツイートされた。
NFT焼却の後、価格は急上昇し一時1.6ETHにまで上がったという。
ill poop it nft・ShitBeast
「ill poop it nft」は6月11日現在OpenSeaの24時間取引高ランキング18位、最低価格は1ETH(約22万円)の「うんこ」を模したNFTコレクションだ。同じ運営チームからの兄弟コレクションとして「ShitBeast」があり、こちらはOpenSeaの24時間取引高ランキング9位、最低価格は0.54ETH(約11.8万円)となっている。2つ合わせたOpenSeaの取引高は8,400ETH(約18.4億円)で、クリエイター手数料収入は1.38億円以上と見られる。
6月1日にフリーミントで1万個発行されたill poop it nftは、著名なNFTプロジェクトがうんこに埋まっている画像をNFTにしている、皮肉のきいたプロジェクトだ。
たとえば人気ゲームの「STEPN」の靴と思われるNFTや、「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」と思われるNFTが、うんこの中に埋まっている画像となっている。公式Twitterアカウントのプロフィールには「Your NFT is just a piece of shit. (あなたのNFTはただの一片のうんこだ)」といったメッセージが書かれている。

こうした皮肉は、「高額なNFTに本当に価格に見合う価値があるのだろうか?」といった疑問とも取れる。高額NFTがもてはやされ、人々が次の高額NFTを探して熱狂するといったあり方へのカウンターカルチャー(対抗文化)と見ることもできそうだ。高額NFTを焼却して熱狂する「We Are All Going to Die」の世界観とも近いかもしれない。
ill poop it nftは、2つを焼却することで「ShitBeast」のNFTと仮想通貨「$SHIT」を入手できる。今後、「クリーナー」を使ってShitBeastを綺麗にするといった変更も予定されているようだ。
4.フリーミントNFTに参加するときの注意点
低いコストで気軽に参加できるフリーミントNFTだが、その分詐欺も増えている。ミントしようとしてウォレットで許可を行ったら、ウォレットの中身が全て抜き取られてしまったといった被害も発生している。信頼できるか分からない場合や、独自サイトでNFTのミントに参加するときは、必ず捨てアカウントを作り、自分の資産の入ったアカウントとは別のアカウントでミントを行うなど最新の注意を払った方がよいだろう。
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