米MastercardがマーケットプレイスのNFT決済に対応

2022/06/10

クレジットカード大手の米Mastercard(マスターカード)は6月9日、Web3.0に決済ネットワークを導入し、複数のNFTマーケットプレイスでの決済に同社のクレジットカードやデビットカードが使用できるようになったと発表した。暗号資産を購入せずに直接NFTを買うことができる。

NFTの購入プロセスをより簡単で安全にし、NFTのクリエーターの潜在的な顧客層拡大が目的。NFT関連事業会社のImmutable X やNFT販売企業のCandy Digital、香港のブロックチェーン企業Animoca Brands(アニモカブランズ)傘下のNFTゲーム「The Sandbox」、NFTマーケットプレイスのNifty Gateway、Web3.0インフラプロバイダーのMoonPayなどと共同で実施する。

Mastercardが40カ国の3万5000人以上を対象に行った調査結果によると、回答者の45%がNFTの購入経験がある、もしくは購入を検討していると回答。また約半数が、NFTの購入手段や日常の買い物での暗号資産での支払いなど、決済により柔軟性を求めていることがわかったという。

NFT購入時の使用でも、店舗やオンラインでの使用時を同様のセキュリティーツールを使用。商品の安全性の向上とともに、ユーザーデータを保護する。Mastercardは「Mastercardカードは世界には29億枚発行されている。この対応により、NFTのエコシステムに大きな影響を与える可能性がある」と述べている。

Mastercardは2021年以降、暗号資産やNFTなどのデジタル資産関連の取り組みを拡大させており、同年9月には初のNFTを発行。また1月には大手暗号資産交換所の米コインベースと提携し、コインベースが21年10月に立ち上げを発表したNFTマーケットプレイス「CoinbaseNFT」での支払いに、クレジットカード決済の導入を目指すと公表していた。4月には社名やロゴ、「PRICELESS」のキャッチコピーなどを含むメタバース関連の商標15件を申請。Web3.0やメタバース業界に進出する準備とみられていた

競合では、Visa(ビザ)は人気NFTコレクションの「Crypto Punks」の購入や、アートや音楽、映画などの小規模事業者のNFTで事業拡大するために資金や専門知識などを提供し支援する「Visa Creator Program」の提供などを行っている。またAmerican Express(アメリカン・エキスプレス)は3月に商標登録を申請し、NFTマーケットプレイスや暗号資産サービスの提供のほか、メタバースでの旅行代理店サービスやエンターテインメントのコンシェルジュサービスを計画していることが明らかになっている。