瞑想アプリ「TRIPP」が約15億円調達 VR通じヘルスケア

2022/06/09

VRの瞑想アプリ「TRIPP」を提供するTRIPPが、1120万ドル(約15億円)を資金調達したことがわかった。調達した資金は、ARやVRを通じたヘルスケア技術開発に充てる。

資金調達はベンチャーキャピタルのBitkraft Venturesが主導し、AmazonのAlexa Fundやスマートフォン向け半導体開発の米Qualcomm、台湾通信機器の宏達国際電子(HTC)、ARゲームなどを手がける米Nianticなどが参加した。

「TRIPP」は、瞑想を通じてメンタルヘルスケアを行うアプリ。世界保健機関(WHO)によると、2030年にはうつ病が疾病負荷で世界第一位になるといわれており、また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、全世界的なメンタル不調への解決が急務となっている。HTCのPearly Chen氏は投資にあたり「TRIPPのプラットフォームは、世界中の人々のマインドフルネスをサポートし、メンタルヘルスにおけるテクノロジーの役割に重要なステップとなる」と評価している。

またTRIPPはこのほど、クリエーター集団のBeardedEyeの3D空間構築プラットフォーム「Eden」を買収。Edenの活用によって「TRIPP」がカスタマイズできるようになり、ユーザー同士がつながることでコミュニティー主導なメタバースの構築ができるようになったという。TRIPPの創業者で最高経営責任者(CEO)のNanea Reeves氏は「Edenの買収を通じて、真にマインドフルで安全なメタバース構築に一歩近づいた」と述べている。

TRIPPは2017年に設立し、同年に400万ドル(約5億3000万円)を調達している。クロスプラットフォームの消費者向けサブスクリプションサービスを運営しているが、現在は企業向けと臨床向けのサービスの開発中で、今後1年以内の商業化を目指している。また、デザインスタジオのLuminanceと協業し、次世代のウェルネス体験のNFTを開発している。

メタバースをヘルスケアに活用する事例では、国内でデジタルヘルスケア事業を手掛けるcomatsunaが2月、メタバースを利用して医師によるお悩み相談や座談会などを開催するサービス「メタバースクリニック」を開始。メタバース上で匿名のアバターとして参加し、医師による健康医療相談や雑談、人生相談など、テーマや内容を問わずマンツーマンで対話が出来る完全予約制のお悩み相談や、なんらかの障害や問題、悩みを抱えた人々が同様の問題を抱えている他者やその家族とともに当事者同士の自発的なつながりで結びついた自助グループ、座談会などに無料で参加できるヘルスケアコミュニティサービスなどを提供している。