OpenSea部門責任者がインサイダー取引で起訴 暗号資産適応は初

2022/06/02

米司法省は6月1日、大手NFTマーケットプレイスOpenSeaの元従業員、Nathaniel Chastain容疑者をインサイダー取引で起訴すると発表した。暗号資産のインサイダー取引による起訴は初の事例という。

司法省によると、Chastain被告は2021年6~9月ごろ、NFTがOpenSeaで一般公開される前に、どの作品がプラットフォームのトップ画面に掲載されるかの情報を入手し、匿名のOpenSeaアカウントと暗号資産ウォレットを使用して複数のNFTを購入。トップ画面に表示されたNFTは注目されるため価格が上昇する可能性が高いが、Chastain被告は、そのNFTを選ぶ責任者だった。Chastain被告は購入したNFTを2~5倍の価格で売却し、利益を得ていたという。またOpenSeaは9月に、従業員の1人がインサイダー行為を行なったと発表、徹底的に調査し事態の把握に努めると公表していた。

Chastain被告は、インサイダーと併せてマネーロンダリングの罪でも起訴。それぞれ最高で20年の禁固刑が科せられる可能性がある。連邦検事のDamian Williams氏は「NFTは新しいものかもしれないが、この種の犯罪は新しいものではない。株式でもブロックチェーンでも、インサイダー取引は根絶する」と述べている。また、FBIのMichael J. Driscoll副長官は「NFTのような新しい投資ツールが登場したときには、自らの利益のために悪用する者も現れる。FBIは、このように市場を操作することを選択した者は積極的に追及する」とコメントしている。

NFTのインサイダー関連では、現代美術家の村上隆氏による人気NFTプロジェクト「Murakami.Flowers」のリビール(NFTを開封し、特徴やレア度を明らかにするイベント)で、同プロジェクトの関係者が大量のインサイダー取引を行っているのではないかとの推測がインターネット上を騒がせている。「nftMATATABI」というアカウントが、リビール開始直後に平均で1つあたり約33ETH(1320万円)の高額で大量に購入。その中には、レア度の高いNFTが複数含まれており、合計購入金額は832.76ETH(約3.3億円)と推定。また村上氏本人のものではないかとアカウントからの送金記録などから、「nftMATATABI」は関係者なのではないかと臆測を呼んでいる。一方で日本では現状、NFTに金融商品取引法が適用されるのかの明確な基準がなく、違法性を問えない可能性が高い。

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