メタバースのビジネス展示会で実証実験 埼玉県戸田市など

2021年9月の市民イベントの様子

埼玉県戸田市とシステムインテグレーターの伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、6月22~24日に開催するバーチャル空間のビジネス展示会「VIRTUAL EXPO in TODA」の実証実験で基本協定を締結した。バーチャル空間の機能やUX、イベント運営などの改善につなげ、ビジネスにおけるメタバース活用の課題や有効性を確認し、将来に向けた実用化を目指すという。

VIRTUAL EXPO in TODAの参加者は、自宅や職場などからインターネット上のアバターを通して展示会を訪れる。3D空間でアバターを操作して各展示ブースを巡ったり、マイクを使用して音声で会話したりすることもできる。

展示する企業は戸田市の近隣市区などから募り、約30社が出展。企業にとっては密な状況を回避しつつ、リアルの展示会さながらに来場者へPRすることができるという。また、報道関係者用のIDを取得すれば、仮想空間上の取材にも対応する。

開催は、リモート技術を手がける米eXp World Technologies, LLC.の3D仮想空間サービス「Virbela」を利用してCTCが提供するメタバースの施設「CTC Digital Base」で行う。戸田市とCTCは実証実験を通じ、地域企業の産業競争力強化を図るとともに、地域課題解決につながるようDX推進の取り組みで協力する。効果検証を行い、さまざまな課題に対応する地域イベントの新しいあり方を探るほか、全国の自治体でも通用するビジネスモデルの創出を目指す。

戸田市は2021年9月にも、CTC Digital Baseを使った市民イベントを開催。バーチャルでのサッカー体験や花火大会の実施に加え、展示会場には市内の企業14社によるPRコーナーも設け、数百人が参加した。VIRTUAL EXPO in TODAは2回目のバーチャルイベントになる。

地方自治体によるメタバースの取り組みは、熊本県天草市が1月に、メタバース時代をけん引する人材を育成し、地域を元気にするプロジェクト「天草メタバース計画」をスタートしている。バーチャルとリアルを融合させた「VR/AR観光体験ツアー」コンテンツの開発や、メタバース上で接客や案内をする「アバターガイド」の指導、高校生から参加可能な「VRエンジニア」の育成を行い、ブランディング活用や地元の雇用促進を目指すという。