【NFT Weekly】LUNA/UST暴落はなぜ起きたか?/InstagramがNFTテスト/アカツキがWeb3ファンド設立

2022/05/15

NFT Weeklyでは、過去1週間のNFTに関するニュースの紹介と、注目トピックの解説を行う。今週は、LUNAが1週間で99.9%暴落、InstagramがNFT対応テスト開始、暗号資産が軒並み急落、アカツキがWeb3.0特化ファンド「Emoote」発表といったニュースがあった。

注目トピックでは、LUNA/USTの暴落騒動はどのようにして起きたのかについて解説する。

【目次】

  1. 今週の注目トピック:1週間で99.9%暴落 LUNA/UST騒動はどのようにして起きたか
    LUNA/USTとは:ステーブルコインと独自ブロックチェーンを組み合わせた「Terra」の通貨
    暴落はどのようにして起きたのか?
    LUNA・USTは今後どうなるのか?
  2. 今週のNFTニュース
    InstagramがNFT対応、今週からテスト開始
    暗号資産が軒並み急落 BTCは一時25%超下落
    アカツキがWeb3.0特化ファンド「Emoote」、歩いて稼げる「STEPN」などに出資

1.今週の注目トピック:1週間で99.9%暴落 LUNA/UST騒動はどのようにして起きたか 

暗号資産市場は、5月9日ごろから急落した。BTC(ビットコイン)価格は5月8日に1BTC=約480万円だったのが、5月14日現在は約380万円と、20%以上下落している。

背景には、人気ステーブルコイン「UST(TerraUSD:テラユーエスディー)」と、それを支える暗号資産「LUNA(ルナ)」が暴落したことがある。LUNAは4月には時価総額4兆円前後を誇り、1万以上ある暗号資産の中でTOP10に入る程の人気を得ていた(CoinMarketCap調べ)。LUNAの価格は、5月8日の1万円前後から、5月12日には100円、14日現在0.03円へと1週間で99.9%以上急落し、暗号資産市場は阿鼻叫喚の様相を見せた。

5月7日から14日にかけてのLUNAの価格推移(出典:CoinMarketCap

また、「アメリカドル$1と同じ価値を保つ暗号資産」として発行されていたUSTも1ドルを大きく下回った状態が続いており、現在1UST=0.15ドル付近を推移している。

5月7日から14日にかけてのUSTの価格推移(出典:CoinMarketCap

【用語解説】ステーブルコインとは
アメリカドルや日本円などの法定通貨と値動きが連動するブロックチェーン上の通貨を指す。Bitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)といった他の暗号資産よりも値動きの幅が非常に小さい点が特徴。

LUNA/USTとは:ステーブルコインと独自ブロックチェーンを組み合わせた「Terra」の通貨

LUNAとUSTを発行するのは、韓国発の「Terra(テラ)」というプロジェクトだ。Terraは、2018年にド・クォン氏とシン・ヒョンソン氏が立ち上げたTerraform Labs社によって運営されている。

Terraは、ステーブルコインである「UST」と、USTの価格安定化に使われ、かつTerraブロックチェーンの基軸通貨でもある「LUNA」の2つの暗号資産によって成り立っている。

USTの価格は、LUNAを利用した裁定取引アルゴリズムによって1ドルに維持される仕組みだ。

たとえばUSTが安くなり、1UST=0.9ドルとなったとする。このときユーザーはUSTを市場で購入し、Terraの公式サービス「Terra Station」でBurn(焼却:利用不可能にすること)することで時価で1ドル分のLUNAを新規発行できる。0.9ドルで手に入れたUSTを焼却すると1ドル分のLUNAを貰えるため、ユーザーは入手したLUNAを売ることで差額である0.1ドル分の利益を得る。こうした裁定取引が行われることで、市場でのUST購入が促進され、またUSTの供給量がBurnによって減少し需給が調整されるため、UST価格は1ドルに近づいていく。

反対にUST価格が1ドルを超えた場合は、逆の裁定取引が発生し、ユーザーが利益を求めてUSTを発行、売却するためUST価格が下がる。このようにして、裁定取引のインセンティブを与えることでUSTの価格は1ドルと連動するようになっていた。

上記の価格安定化の仕組みに加えて、LUNAとUSTをベースとした独自のブロックチェーンネットワークを構築したこともTerraの特徴だ。Terraブロックチェーンは、イーサリアムやソラナのようにアプリケーションを作るための基盤となっており、Terraを利用したDeFiやゲームも展開されている。

Terraブロックチェーン上で取引を行う際には手数料としてUSTを支払う必要があり、USTの需要が生まれるようになっている。またLUNAは、Terraブロックチェーンの基軸通貨として、マイニング(暗号資産ネットワークの取引承認プロセスに参加し、報酬として暗号資産を手に入れること)のためのステーキング等に利用されていた。

暴落はどのようにして起きたのか?

この価格維持アルゴリズムは、Terraのメインネットが稼働し始めた2019年4月より概ね順調に機能していた。稀にUST価格が1ドルから乖離することもあったが、1~2日で元に戻っていた。

しかし、5月9日に開始した暴落では価格維持アルゴリズムがうまく機能せず、UST価格が1ドルを下回ったまま戻らなかった。それはなぜだろうか?

一言でまとめると、「LUNA/USTに対する市場の信頼が失われ、パニックによる取り付け騒ぎが起こった」というのが要因だ。

まず、5月9日にUSTの価格が下がりはじめ、0.7ドル付近まで急落した。理由は明らかになっていないが、USTが何者かによって大量に売却されたと見られている。

先ほど見てきたように、USTが1ドルよりも安くなった場合は、USTを市場で購入し「Terra Station」で焼却してLUNAを発行するといった裁定取引によって誰でも利益を得られ、これによりUSTが買われて価格が1ドルに近づいていく。9日の急落時も初めはこの仕組みが機能しており、10日未明にはUST価格は0.9ドル付近まで戻っていた。

しかしタイミング悪く暗号資産全体が下落していたこともあって、USTを狼狽売りする人も出てきたため、USTがなかなか1ドルに戻らないという事態が発生した。一説には、「LUNA Foundation Guard」というTerra関連の財団が、USTを買い支える資金を調達しようとして保有していたビットコインを大量に売却したため、ビットコイン価格が下がり暗号資産市場全体のパニックを招いたとする指摘もある。

こうしてUST価格が1ドルを下回った状態が長く続いたため、裁定取引によって「Terra Station」でLUNAが大量に新規発行され売却され続けることでLUNAの供給量が増えて価格が下がっていく。LUNAの価格は、10日には4,000円付近まで急落した。

LUNAの価格下落が続くことで、LUNAやUSTに対する市場の信頼は揺らいでいく。そもそもUSTが1ドルを維持しているのは、1ドル分のLUNAと交換できることが保証されているからであり、担保元となるLUNAの価値が0になったり取引所でLUNAを売却できなくなれば、USTの価値も0になる。LUNAとUSTの価値が0になるかもしれないという恐怖が市場に押し寄せることで、「多少損してでも急いで売ろう」と考える人が増えるためLUNAもUSTも売られ続け、価格が下がっていく。

一方で、USTが1ドルを下回っている状態では裁定取引によりLUNAの新規発行と売却も行われ、さらにLUNAの流通量増加と価格低下が加速する。

本来、USTが1ドルより安いときはUSTが買われLUNAが売られてUSTが1ドルに戻る仕組みになっていた。しかし今回は、パニックによるUSTの投げ売りと裁定取引によるLUNA売却が同時に起こる負のスパイラルが生じてUSTもLUNAが急落していったというわけである。

また、13日にはTerraブロックチェーンが一時停止したり、Binanceなど一部の大手暗号資産取引所がLUNAやUSTの取引を停止したことも、更なる価格下落につながった。

結果として、LUNAの流通量は騒動前の約3.4億から現在約65兆と1.9万倍にも増加し、LUNAの価格は騒動前の約1万円から約0.03円と33万分の1になった。またUST価格は0.15ドルと1ドルを大きく下回ったままだ。

LUNA・USTは今後どうなるのか?

LUNA・USTが崩壊しつつある中で、Terraチームとコミュニティは復興に向けた議論を行っている。

Terra共同創業者のド・クォン氏は、14日未明にTerra復活のための提案を「Terra Research Forum」で行った。概要は、

  • 新しいチェーンを構築し、再出発する
  • 損失を被った人への救済策として、暴落前や暴落中のLUNAやUSTの保有者に新しいチェーンのトークンを配布する

といったものとなっている。

提案には約19時間で2,700ものコメントがついており、Terraの今後について活発な議論が交わされている様子だ。

もしこの提案が採択されれば、TerraコミュニティはLUNA/USTを捨てて、新しいチェーンでの再出発を行うことになる。このとき、LUNAやUSTの価値は完全に0になるだろう。一方で、LUNA/USTを捨てずに供給や価格の調整を行うことで、なんとか既存のチェーンを救済できないかという意見もある。

どのような決定が下されるかについて現時点で確定情報はないが、もしTerraが復興すれば、暗号資産の歴史に残る復活劇が期待できそうだ。

2.今週のNFTニュース

InstagramがNFT対応、今週からテスト開始

米Meta(旧Facebook)傘下の画像共有SNS「Instagram(インスタグラム)」が、今週中にもNFT対応のテストを始めることが5月9日、わかった。最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏が明かした。

米国のクリエーターやコレクターなどの一部のユーザーを対象に、作成や所有するNFTをInstagramで表示されるようにする。まずはイーサリアムとポリゴンチェーン上で発行されたNFTに対応し、以後ソラナとフローにも追加する予定。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/6220

暗号資産が軒並み急落 BTCは一時25%超下落

ビットコインをはじめとする暗号資産の価格は5月9日ごろから急落した。ビットコイン(BTC)約470万円から一時約360万円へと25%以上価格が低下。イーサリアムは約33万円から一時23万円と30%以上の下落率を見せた。

背景には、LUNA/USTの暴落騒動や、アメリカ当局による金融引き締めへの警戒感があると見られている。

7日から14日にかけてのBTC価格の推移(出典:CoinMarketCap

アカツキがWeb3.0特化ファンド「Emoote」、歩いて稼げる「STEPN」などに出資

東証プライム上場のゲーム会社であるアカツキゲーム会社のアカツキは5月12日、Web3.0領域に特化した25億円規模のファンド「Emoote(エムート)」の設立を公表した。すでに、歩くことでトークンを稼げる人気スマホアプリゲーム「STEPN」などグローバルで20以上のプロジェクトに投資しており、今後は国内のスタートアップへ投資とグロース支援を行うという。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/6285