【NFT Weekly】NFTのマーケティング手法とホワイトリスト/NIKEがNFTスニーカー/きゃりーぱみゅぱみゅがNFTステージ

2022/04/24
OpenSeaで販売されているNIKEコラボのスニーカーの一部

NFT Weeklyでは、過去1週間のNFTに関するニュースの紹介と、注目トピックの解説を行う。今週は、NIKEとRTFKTのコラボスニーカーNFTが発表、きゃりーぱみゅぱみゅがコーチェラ・フェスでNFTとステージ披露、ルイ・ヴィトンのブロックチェーンゲーム「Louis: The Game」が新章とNFT追加といったニュースがあった。

注目トピックでは、NFTのコミュニティマーケティングについて、ホワイトリスト制の光と影という観点から解説する。

【目次】

  1. 今週の注目トピック:NFTのコミュニティマーケティング ホワイトリスト制の光と影
    NFTプロジェクトのホワイトリストで得られる恩恵
    宣伝やコミュニティへの協力がホワイトリスト獲得の鍵
    「迷惑」「疲れた」といった声も
  2. 今週のNFTニュース
    NIKEとRTFKTのコラボスニーカーNFTが発表
    きゃりーぱみゅぱみゅがコーチェラ・フェスでNFTとステージ披露
    ルイ・ヴィトンのブロックチェーンゲーム「Louis: The Game」が新章、NFTも追加へ

1.今週の注目トピック:NFTのコミュニティマーケティング ホワイトリスト制の光と影 

「発行当初は1~2万円だったNFTが今や数十万、数百万円」といった話をTVやSNSで耳にすることも珍しくない中、NFTが最初に販売されるタイミングで購入を狙う人も多い。しかし人気のNFTでは競争が激しく、一般販売が始まる前のプレセールで売り切れることも珍しくない。

今回は、NFTの先行販売参加券や割引券となることが多い「ホワイトリスト(WL)」獲得の一般的な方法や、その背景にあるNFTプロジェクトのマーケティング手法を紹介する。

NFTプロジェクトのホワイトリストで得られる恩恵

NFTのホワイトリストには先行販売への参加や割引などの特典が付与されることが多い。

たとえば、先週NFT取引高で第1位となった「新星ギャルバース」では、ホワイトリストを持っている人は先行販売に参加し0.07ETH(約2.8万円)で2つまでNFTを購入できた。先行販売で全てのNFTが売り切れとなったため、一般販売は行われなかった。販売後すぐにOpenSea(オープンシー)での最低価格は0.35ETH(約14万円)程度まで上昇しており、ホワイトリスト所有者のみが1日にして10万円以上の利益を得ることができた。

また、2022年2月に販売があった「Kafafuru NFT」というプロジェクトでは、ホワイトリスト所有者向け先行販売では0.2ETH(約8万円)で購入が可能だった。一般販売では0.5ETH(約20万円)で購入できる仕組みとなっていたが、一般販売では購入希望者が殺到し、イーサリアムのネットワークが混雑。約8ETH(約320万円)と高額なガス代を払わなければ、一般販売では購入できないといった事態が起こっていた。現在、Karafuru NFTの最低価格は約3ETH(120万円)となっており、先行販売参加者は100万円以上の利益が出ている。

このように、人気プロジェクトであれば先行販売に参加するだけでも大きな利益を得ることができる。

宣伝やコミュニティへの協力がホワイトリスト獲得の鍵

ホワイトリストの配り方はプロジェクトによって様々だ。多く見られるやり方は下記のようなものだ。

①提携プロジェクトのNFT保有者への配布や抽選
提携しているNFTプロジェクトのDiscordなどで、NFT保有者限定の抽選や配布が行われる

②TwitterなどSNSでの抽選

Twitterで、リツイート・お気に入り・友達へのメンションなど規定のアクションを行った中から抽選

③Discordなどでのコミュニティへの貢献や活動に応じた配布
Discordでの発言量で上がるレベルや貢献量、アクションに応じて配布。クイズ大会等のゲームを行い勝者に配布されるケースや、応援アートを自作した人に配布されるケースもある。また、Discord・Twitter等のSNSで、名前にプロジェクト名を入れたり、アイコンを当該プロジェクトのNFTにすることが求められる場合もある。

①は提携プロジェクトのNFTを購入する必要があるため、ハードルが高い。一方で②③はSNS上の活動のみで金銭や特別な能力も必要なく、誰でもコツコツと作業を行うことで参加できる。

②③は、結局のところ、NFTプロジェクトの知名度を上げるためにTwitter等のSNSでマーケティング活動に参加したり、Discordで会話を盛り上げたりコミュニティをサポートすると、ホワイトリストを獲得できる仕組みだ。これにより、NFTプロジェクトは、広告費をかけずに宣伝ができたり、人を雇わなくてもコミュニティ内でサポート活動が自然と行われるといった状態を生み出せる。NFTプロジェクトにとっては、低コストで販売や運営を行うための便利な方法というわけだ。

「迷惑」「疲れた」といった声も

一方、ホワイトリストを獲得したい人が行うTwitterでの宣伝が「迷惑だ」という声も少なくない。たとえばTwitter上で「タグ付け」と呼ばれる、他人へのメンションが必要なことも多いため、特にフォロワー数の多いアカウントでは「知らない人からメンションが飛んできて迷惑だ」といった内容のツイートも見られる。

また、Discordでのレベル上げ活動に「疲れた」といった声も見られる。10レベルなど高いレベルが求められると、1日2~3時間、数日間にわたって何百回と書き込みをしなければならない場合もある。

また意味のない雑談をしてとにかくコメントを稼ぐケースや、専用のアルバイトを雇うケースも見られ、本当にDiscordのレベル上げがNFTプロジェクトの発展に寄与するのかは疑問だ。

またNFT市場が冷めているタイミングでは、せっかく苦労してホワイトリストを獲得しても利益が得られないことも増える。あるいは、自分が宣伝したプロジェクトが詐欺だったり、販売や運営がうまくいかないと、「こんなにひどいプロジェクトを宣伝していた人だ」と自分の信用が落ちてしまうリスクもある。

一見地道に努力すれば誰でもチャンスがあるホワイトリスト制だが、デメリットも鑑みて、参加する価値があるのかどうか慎重に判断したい。

2.今週のNFTニュース

NIKEとRTFKTのコラボスニーカーNFTが発表

スポーツブランドのNIKE傘下のメタバースファッションブランド「RTFKT(アーティファクト)」は、4月23日、NIKEコラボのスニーカーNFT「Dunk Genesis CRYPTOKICKS」を公開した。

公式動画によれば、スニーカーに付属品「SKIN VIAL」を装備することで、スキン(見た目)を変更することができ、数千種類のスキンが存在するとのことだ。また、スニーカー同士の交配や、スニーカーの進化といった概念も登場している。

4月23日現在、コラボスニーカーはRTFKTの発行するNFT「MNLTH」の購入か、二次流通で入手することができる。OpenSeaでの流通価格は「Dunk Genesis CRYPTOKICKS」が最低で約3ETH(約120万円)、「MNLTH」は約12ETH(約480万円)となっている。

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きゃりーぱみゅぱみゅがコーチェラ・フェスでNFTとステージ披露

タレントで歌手、ファッションモデルのきゃりーぱみゅぱみゅが4月16日、米カリフォルニア州で行われている世界最大規模の音楽フェスティバル「Coachella Valley Music and Arts Festival(コーチェラ・バレー・ミュージック & アートフェスティバル)2022」に出演し、メタバースNFT「Metaani」とコラボレーションしたステージを披露した。コーチェラ・フェスは2週末連続で開催し、きゃりーぱみゅぱみゅは23日にも出演する。

詳細:https://www.metaverse-style.com/art/6024

ルイ・ヴィトンのブロックチェーンゲーム「Louis: The Game」が新章、NFTも追加へ

フランスの高級ブランド、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のブロックチェーンゲーム「Louis: The Game」が、新章を追加した。8月4日までに抽選で、SNSや他プラットフォームなどでも使用できる新しい10個のNFTも提供する。

Louis: The Game は2021年8月に、ブランドの創業者ルイ・ヴィトンの生誕200周年を祝って制作、リリースされた。ルイが14歳でフランス・ジュラ地方の故郷から2年かけて徒歩でパリまでたどりついた旅にインスパイアを受け、メゾンのマスコット「ヴィヴィエンヌ」とともに冒険しながらルイ・ヴィトンの歴史を解き明かす内容で、これまでに200万ダウンロードされている。

詳細:https://www.metaverse-style.com/fashion/6015