NFT投資に「隠れた金融リスク」 中国銀行業協会などが警告  

2022/04/14
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中国インターネット金融協会、中国銀行業協会、中国証券業協会は4月13日、共同で、NFT投資の「隠れたリスク」について警告する声明を発表した。NFTの取引には過剰な投機やマネーロンダリング、違法行為などの金融リスクが潜んでおり、消費者の権利と利益を保護し業界の健全さを維持するために、中国銀行協会の会員機関はNFTを金融商品のような資産とみなすべきではないと述べている。

3団体は、NFTはブロックチェーンテクノロジーの革新的なアプリケーションで経済を充実させ、文化や創造的な産業の発展を促進する潜在的な価値があると認める一方で、金融リスクが潜むことも指摘。それらを防止するために、NFT製品の価値の保証や消費者による合理的に消費への誘導、価格の高騰を防ぐ必要があると述べた。NFTは証券や保険、クレジットカード、貴金属などのような他の金融商品のような資産とみなすべきではないという。

暗号資産のビットコイン、イーサ、テザーをNFT取引の価格設定や決済に使用してはならず、プラットフォームは実名認証を行い、マネーロンダリング防止要件に従う必要があるとも記した。コンプライアンスを遵守する団体や企業はNFTへの投資や、そのための他者への資金援助をすべきではないという。

また、集中型取引を提供しないことや、所有権の分割や一括作成などで、トークンの唯一性を弱めてはならないなどの点も挙げられた。3団体は「消費者が正しい消費概念を確立し、自己防衛の意識を高め、NFT投機を警戒して違法な金融活動から離れ、自身の財産を守るよう厳重に呼びかける」と述べ、「違法行為を発見した場合は、関連機関に適時に報告する必要がある」と明言している。

中国の規制団体はこれまでも、暗号資産への投資へ警告を行うとともに、会員機関に対してデジタル資産に関する既存の規制条項を遵守するよう呼びかけてきた。中国は2017年、暗号資産取引所のサービス提供を禁止したが、中国人民銀行(中央銀行)が21年に取り締まるまでは暗号資産関連の取引に銀行口座を使用することができていた。同行の調査によると、取り締まる前は世界のビットコイン取引における中国のシェアは90%超だったが、規制後は10%まで下落しているという。

対話アプリ「微信(WeChat)を含む一部のソーシャルメディアサイトは22年にNFTプラットフォームを削除している。しかし、中国のEC最大手のアリババ集団は21年8月にNFTマーケットプレイスを立ち上げており、多くのユーザーがNFTを販売している。