日本IBMと順天堂大、メタバース用いた医療を共同研究

2022/04/14

日本IBMと順天堂大学は4月13日、産学連携の「メディカル・メタバース共同研究講座」の設置を発表した。メタバース技術の活用で、時間と距離を超えた新たな医療サービスの研究や開発に取り組む。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、臨床現場でのオンライン診療が拡がっている。VRやARの技術進化により、それらの活用に向けた研究が進む中、今後は、臨床現場でオンライン診療だけでなくVR、ARに加えて、メタバースの医療への応用が予想されるという。

メディカル・メタバース共同研究講座では、メタバースを使った医療サービスの構築や臨床現場における有効性を検証する。2022年度中に、メタバース空間で順天堂医院を模した「順天堂バーチャルホスピタル」を構築。患者や家族は来院前に、バーチャルで診察を体験できる。

ユーザーがアバターとしてバーチャルホスピタルを訪問し、説明が複雑になりがちな治療を疑似体験することで、治療に対する理解を深めたり不安や心配を軽減したりできるかを検証するという。外出が困難な入院患者が病院の外の仮想空間で家族や友人と交流できる「コミュニティ広場」も構想している。

また、メタバース空間での活動を通じて、心の病の患者の症状の改善が図れるのかについて学術的に検証する計画という。

順天堂大学医学部長・研究科長で、メディカル・メタバース共同研究講座の代表者を務める服部信孝氏は「医療の領域におけるメタバース技術の導入・活用の研究を進め、成果を新たな医療サービスとして実装し、社会に還元していく」とコメント。また日本IBMヘルスケア事業担当執行役員の金子達哉氏「デジタルテクノロジーが人の温かみを届けられる世界を順天堂医院と共同で構築し、一人一人の健康の役にたてられるプラットフォームサービスの提供を目指す」と述べている。