スターバックスが22年中にNFT参入 3度目復帰のCEOが表明

2022/04/08

米スターバックスの実質的な創業者で、4月4日に最高経営責任者(CEO)に復帰したハワード・シュルツ氏が、2022年中のNFT参入を発表した。同日の同社従業員とのオープンフォーラムで新戦略の一つとして明かした。

シュルツ氏は22年秋に選ばれる予定の新しいCEO就任までの“つなぎ”として半年の任期で、3度目のCEOに復帰した人物。同社は新型コロナウイルス感染拡大による収益への打撃や人手不足などから従業員の不満が高まり、労働組合の結成の要求が高まっている。同社は21年10月に総額200億ドル(約2兆4800億円)の配当金と自社株買いの取得枠を設定していたが、シュルツ氏は自社株買いの一時中止を発表。資金は「従業員と店舗のための投資」に振り分けるという。

フォーラムでシュルツ氏はNFTの興隆について触れ、NFTを活用したデジタルイノベーションに取り組んでいると説明。自身もデジタル資産によるビジネスを研究していると述べ、NFT分野に参入することで、顧客が店舗と接する、時代に即した新しいツールを手に入れることができると話した。また、22年末までに独自のデジタル資産を立ち上げることも明かした。シュルツ氏は「デジタルNFTのプラットフォームやビジネスを作ろうとしている企業やブランド、有名人、インフルエンサーを見ると、スターバックスのようにコレクティブルから会社の資産までという“宝”の山を持っている存在はない 。ここに秘密がある」と呼び掛けている。NFTによるイノベーションの詳細は、数週間以内に発表する予定という。

シュルツ氏は1980年代初めにスターバックスに入社。独立後に同社を買収し、87~00年、08~17年の2度、CEOを務めている。20年には、米大統領選挙への出馬を取り沙汰された。

米企業では、衣料品大手のGapが1月、初のNFTコレクションをグローバルに立ち上げると発表。小売り大手のウォルマートも1月に、NFTと独自の暗号資産の発行準備を進めていると報道されている。コロナ禍で収益状況が変化する中で、動画配信大手のNetflix がNFT関連事業への進出をにおわせたり、著名なシェフが収益代替にNFTコレクションを立ち上げるなどの動きがある。一方で、顧客情報管理のSalesforceが表明したNFT市場に参入する計画に対し、全世界の数百人の従業員が「実現したら辞める」と署名するなど反発する企業もある。