米Citiがメタバースレポート、30年までに最大1592兆円市場に

2022/04/04

米銀行大手のCiti(シティ)グループが、「メタバースとマネー」と題したレポートを発表。メタバース市場は2030年までに8兆~13兆ドル(約980兆~1592兆円)、ユーザー数は約50人億に達する可能性があると予測している。

レポートではメタバースは、VRヘッドセットなどのデバイスに依存せずパソコンやゲーム機、スマートフォンを介してアクセスできる、次世代のインターネットと定義。メタバースがWeb3.0の次の開発へと向かう可能性について説いている。ECやメディア、アート、広告、ヘルスケアなどさまざまなジャンルで活用されるため、大規模なエコシステムが実現するという。

しかしそのためには、接続速度の高度化が必要性を指摘。25年までに5G環境にアクセスできるのは世界の人口に5パーセントにすぎないと予測されており、メタバースのコンテンツストリーミング環境は現在の1000倍を超える計算効率が必要となりうるという。コンピューターやストレージ、ネットワークインフラストラクチャ、消費者向けハードウエア、ゲーム開発プラットフォームなど分野への設備投資が重要となると記している。

また、ほとんどのユーザーがスマートフォンからメタバースにアクセスする場合、OSが同じものとなるため、消費者向けのハードウエアの開発者がメタバースへのポータルとなる、潜在的なゲートキーパーになるという。メタバースの集中化と分散化という、技術やビジネスモデルなどで、米国と国際社会、また中国とファイアウォールに基づくメタバースの間で分裂する可能性があるとも予測している。

メタバースでお金として数えられるものの定義も、現在の現実世界でのものとは異なってくる可能性がある。基盤となるブロックチェーンテクノロジー間の相互運用性などが非常に重要になり、法定通貨とともに中央銀行デジタル通貨(CBDC)やステーブルコインも使われると述べている。

法律や規制の観点の課題の多さも指摘。現在のインターネット同様、グローバルな規制当局や政策立案者、政府からの大きな監視を受けることになり、言論や表現の自由、プライバシーなどの課題がメタバースで拡大することになるという。また暗号資産や分散型ファイナンス(DeFi)などに関する法律が確立できていない現状も大きな問題であり、マネーロンダリングの防止規則などに対処する必要があると論じている。