【NFT Weekly】760億円超の暗号資産ハッキング事件/OpenSeaがクレジットカード対応/自民党がNFT提言
NFT Weeklyでは、過去1週間のNFTに関するニュースの紹介と、注目トピックの解説を行う。今週は、OpenSeaがクレジットカード決済対応を発表、自民党がNFTや暗号資産をめぐる税率軽減などを提言、人気NFTゲーム「Axie Infinity」で約764億円相当が不正流出といったニュースがあった。
注目トピックでは、社会に影響を与えた暗号資産ハッキング事件について解説する。
【目次】
- 今週の注目トピック:社会に影響を与えた暗号資産ハッキング事件
マウントゴックス(2014):日本で初めて「仮想通貨」が法的に定義されるきっかけに
コインチェック(2018):日本最大の暗号資産盗難事件、顧客資産の管理強化へ
PolyNetwork(2021):全額が返還されるも、バグ発見の報奨金プログラムなど充実へ - 今週のNFTニュース
OpenSeaがMoonPayとの提携でクレジットカード決済に対応
自民党、NFTや暗号資産めぐる税率軽減などを提言へ
人気NFTゲーム「Axie Infinity」で約764億円相当が不正流出
1.今週の注目トピック:社会に影響を与えた暗号資産ハッキング事件
3月29日、人気NFTゲーム「Axie Infinity」のサイドブロックチェーン「Ronin」から、17万3600 イーサリアム(約6億2500万ドル<約764億6000万円>)相当の暗号資産が不正流出したことが分かった。
被害額は、2021年にクロスチェーンプラットフォーム「PolyNetwork」での6億1100万ドル(約680億円)の流出を超え、暗号資産史上最高額(ドル建)のハッキング事件となった。
暗号資産のハッキングは、取引所やプロトコルのセキュリティ体制や資金管理に大きな影響を与えてきた。今回は、Roninに次いで被害額の大きいトップ3の事件について、事件の概要と、世の中に与えた影響を見ていく。
マウントゴックス(2014):日本で初めて「仮想通貨」が法的に定義されるきっかけに
2014年2月、日本の暗号資産取引所マウントゴックス(Mt.Gox)で、当時の史上最高額となる85万BTC(470億円)のビットコイン流出が発覚した。
マウントゴックスは、トレーディングカードゲーム「Magic:The Gathering(マジック・ザ・ギャザリング)」の交換を目的としてジェド・マケーレブ氏によって2009年に東京で設立されたが、2010年にビットコインの取引所へと事業を転換した。2013年にはマウントゴックスは世界最大のビットコイン取引所となり、世界のビットコイン取引の70%を占めていた。
2011年にマウントゴックスを買い取ったマルク・カルプレス氏は、自身の口座残高の水増しなどのデータ改ざんの罪に問われ、21年1月に懲役2年6ヶ月執行猶予4年の有罪判決が確定した。同氏は、顧客からの預金を着服したとして業務上横領の疑いでも起訴されたが、こちらは無罪判決となった。
2014年の流出発覚時には、ビットコインの仕組みそのものに問題があるのではないかとの噂も流れ、ビットコインは1BTCあたり約9万円から5万円台へと暴落した。実際には、暗号資産交換所の法規制が各国で確立していなかったため、ずさんな管理体制となっていたことが原因だ。
マウントゴックスの事件をきっかけに、世界的に暗号資産関連サービスへの法規制意識が高まった。日本では、2016年5月に公布・2017年4月に施行した改正資金決済法では初めて「仮想通貨」が決済手段として定義され、また同時に利用者保護を目的とした規制が導入された。
【2017年4月施行の改正資金決済法における、暗号資産関連の主な変更点】
- 仮想通貨の売買や交換のサービスを提供する事業者は、金融庁・財務局への登録が必要になった
- 事業者は、資本金の額が1000万円以上かつ、純資産額がプラスである必要がある
- 利用者の資金と事業者の資金を分けて管理する分別管理が義務づけられた
コインチェック(2018):日本最大の暗号資産盗難事件、顧客資産の管理強化へ
2018年1月26日、日本の暗号資産取引所コインチェックでのハッキングにより、約580億円分のNEM(ネム)が盗まれた。コインチェックは和田晃一良氏が2012年に創業した会社だ。2017年12月よりタレントの出川哲朗氏を起用した広告宣伝を行っていたこともあり、事件当初は日本でも大きな注目を集めた。
犯人グループは盗難したNEMを資金洗浄するため匿名性の高いダークウェブを利用してビットコイン(BTC)との交換を行い、これによって追跡が困難になった。またコインチェックは、2018年3月から4月にかけて、自己資金を原資として1NEM=88.549円計算での補償を行った。
事件は、日本の法規制にも影響を与えた。金融庁は、コインチェックが暗号資産をすべてインターネットに接続した状態で資産を管理する「ホットウォレット」で管理していたことを問題視。2019年6月に公布・2020年5月に施行された資金決済法の改正法案では、暗号資産取引所はユーザーの暗号資産移転に必要な情報(秘密鍵)を、インターネットに接続していないコールドウォレットで管理することが原則として定められた。
【2020年6月施行の改正資金決済法における、暗号資産関連の主な変更点】
- 事業者が利用者から預かった金銭を信託銀行または信託会社に対して信託することが義務づけられた
- 顧客の暗号資産を信頼性の高い方法(常時オフライン状態のコールドウォレットなど)で管理することが義務づけられた
- ホットウォレットで管理する顧客の暗号資産については、別途、これに見合う弁済原資(同種・同量の暗号資産)を保持する必要がある
- 暗号資産交換業者の倒産時に、預かっていた暗号資産を顧客に優先的に返還するため、暗号資産交換業者に対する利用者の優先弁済権を認める
PolyNetwork(2021):全額が返還されるも、バグ発見の報奨金プログラムなど充実へ
2021年8月10日、ブロックチェーンをまたいだ暗号資産の移動を可能にするクロスチェーンプラットフォームであるPolyNetwork(ポリーネットワーク)から総額680億円にあたるイーサ(ETH)、バイナンスコイン(BNB)、USDコイン(USDC)が盗まれた。
しかし、PolyNetworkのハッキング事件発表から約24時間後、ハッカーは次々に資金を返還。8月26日には、PolyNetworkより全額が返還されたとの発表があった。
ハッカーは自ら「Mr White Hat(善玉)」と名乗り、8月11日にはイーサリアムのトランザクションに、「ハッキングは遊びでやった :)」「脆弱性を隠して悪用するインサイダーが現れる前に、その脆弱性を暴露する責任を負っている」などといったコメントを残している。ハッカーは、脆弱性を運営チームに伝えると運営チーム内の人間が裏切り、脆弱性を利用して資金を持ち逃げするリスクがあると考え、自らハッキングを行って注意喚起する方法を取ったようだ。
PolyNetworkは、スマートコントラクト(イーサリアムでアプリを動かすためのプログラム)の脆弱性を見つけたハッカーの腕を評価し、今後法的責任を問わないとしたうえで50万ドル(約5500万円)の報奨金と、最高セキュリティ顧問の役職をオファーした。
ハッカーは、このオファーには応えていない様子だ。
PolyNetworkは、8月17日にバグ発見の報奨金プログラムを発表。50万ドル(約5,500万円)の報奨金プールを設置し、有効なバグの発見ごとに10万ドル(約1,100万円)を支払うと述べた。
分散型のプロトコルではスマートコントラクトはオープンソースとなっていることが多く、ハッキングリスクも高いことが改めて認識されるきっかけとなった。
2.今週のNFTニュース
OpenSeaがMoonPayとの提携でクレジットカード決済に対応
世界最大手のNFTマーケットプレイス「OpenSea(オープンシー)」が、4月1日、シンガポールを拠点とする暗号資産決済サービスのMoonPayと提携したことが分かった。
MoonPayは、クレジットカードやデビットカード、銀行振込、Apple Pay、Google Payといった主要な決済手段を用いて、法定通貨と暗号資産を交換できる決済サービスを提供している。
MoonPayは1日、「近いうちに、VISA、Mastercard、Apple Pay、Google Payなどを利用して、OpenSeaでNFTを購入することができるようになる」とツイッターで述べた。
自民党、NFTや暗号資産めぐる税率軽減などを提言へ
自民党のデジタル社会推進本部は3月30日、NFTや暗号資産に関する国家戦略や推進体制の構築、税負担の軽減などを提言するNFTホワイトペーパー案をまとめた。2023年度の税制改正への反映を目指し、近く政府に申し入れる。
NFT政策検討プロジェクトチームがまとめた。ホワイトペーパー案では、NFTとWeb3.0時代の起爆剤と位置づけており、責任あるイノベーションのけん引のためNFTビジネスを新しい資本主義の成長戦略の柱に据える姿勢を打ち出す必要があるという。経済政策の推進や諸外国との連携の司令塔になるWeb3.0の担当大臣や、省庁横断の相談窓口を置くべきと求めている。
詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/5709
人気NFTゲーム「Axie Infinity」で約764億円相当が不正流出
人気NFTゲーム「Axie Infinity」のサイドブロックチェーン「Ronin」から、17万3600 イーサリアム(約6億2500万ドル<約764億6000万円>)相当の暗号資産が不正流出したことがわかった。Axie InfinityとRoninを運営するSky Mavisが3月29日に明らかにした。現在、Roninでの取引は凍結されている。
不正流出したのは 23日で、2550万ドル(約31億円)のステーブルコインも盗まれたという。Sky Mavisの追跡によると、ハッカーは秘密鍵を不正入手して、Roninブロックチェーンとの送受信を検証するネットワークノードを侵害。
ユーザーからの、イーサが出金できないという問い合わせで発覚した。
- アバターでメタバース技術学ぶ「MEキャンパス」来春開校へ 通信制高校提携で高卒資格も
- 「暴走東京」渋谷スクランブル交差点をハック XR×NFTの仕掛け人に聞く
- 【NFTトレンディ】NFTの標準規格「ERC721」「ERC1155」とは何か?
- 台湾の人気アーティストJay Chou、ファッションブランド「PHANTACi」で元旦にNFT発売 約40分で完売
- ニューヨークの空に日本人アーティストの作品が浮かぶ「AR体験会」【NFT.NYC】
- OpenSea、NFTの不正コピー防止システムを導入
- NFT愛好家のためのリアルイベント「NFT ART TOKYO」第2回が9・29開催
- JR九州が販売サイト運営ふくむNFTプロジェクト、7月開始
- NFTとメタバースが「詩」の未来を変える? 詩人・黒川隆介さんに聞く
- 【速報】Animoca Brands と子会社、モータースポーツゲームのFormula DRIFTと提携
- 「暴走東京」渋谷スクランブル交差点をハック XR×NFTの仕掛け人に聞く
- 【NFTトレンディ】NFTの標準規格「ERC721」「ERC1155」とは何か?
- リアル世界と連動する不動産系メタバース「Upland」の魅力に迫る
- エヴァの第3新東京市などを仮想空間化、スモールワールズ TOKYO
- NFTアーティスト「Beeple」初のフィジカル作品「HUMAN ONE」、約32億円で落札 史上2位
- NFT市場は2030年には約32兆円に 米調査会社予測
- Google、リアルタイム翻訳できるスマートグラス試作機を紹介
- 【基礎から解説】ブロックチェーンプラットフォームとは?
- 「新しいパラダイム、作り手として飛び込みたい」 元ライフネット岩瀬氏、香港でNFT事業に挑む理由
- 「アートとは脳の認知革命」村上隆さんのNFT作品を体験できる個展、NYで開催
- 「暴走東京」渋谷スクランブル交差点をハック XR×NFTの仕掛け人に聞く
- 【NFTトレンディ】NFTの標準規格「ERC721」「ERC1155」とは何か?
- 「アートとは脳の認知革命」村上隆さんのNFT作品を体験できる個展、NYで開催
- NFT市場は2030年には約32兆円に 米調査会社予測
- 【基礎から解説】ブロックチェーンプラットフォームとは?
- mixiで流行した「サンシャイン牧場」が遊んで稼げるNFTゲームに
- 日産「GT-R」がNFTに 約2.6億円でオークション終了
- Google、リアルタイム翻訳できるスマートグラス試作機を紹介
- 「新しいパラダイム、作り手として飛び込みたい」 元ライフネット岩瀬氏、香港でNFT事業に挑む理由
- NFTとメタバースが「詩」の未来を変える? 詩人・黒川隆介さんに聞く