米Meta、メタバース計画の中心地スペインに

旧Facebookの米Metaが、今後のメタバースに関する計画の中心地としてスペインを選択したことがわかった。ヨーロッパでの事業拡大の一環として、新しく高度なスキルを備えた仕事を開発し、地元の起業家やテクノロジービジネスを支援していくという。

メタバースサービス「Horizon Worlds」やVR会議ツール「Horizon Workrooms」などのVRプラットフォームを強化する。スペイン・マドリードの既存のオフィススペースを2倍にしたうえで、世界初となる「MetaLab」を作る予定という。Meta Labでは、リモートワーカーが集まり、地元の技術系新興企業や起業家からのサポートを受けるための物理的なスペースを提供する。また、自治州のカスティーリャ・ラ・マンチャに新しいデータセンターも建設している。

今後5年間で、約2000人の採用を予定。Metaの最高成長責任者(CGO) のJavier Olivan氏は「スペインはヨーロッパの技術の最前線に立つことができると信じている。すでに、起業家精神と技術力を豊富に備えた強力な技術ハブを構築しているためだ」と述べている。現地の学術機関や政府機関との連携も視野に入れているとのこと。

地域のデジタルインフラを改善するために、世界初となるペタビット海底ケーブルも建設中。ローカル技術セクター全体の接続性を向上させる投資も行っていくという。MetaはすでにMicrosoftなどを共同で大西洋を横断する海底ケーブル「マレア」を敷設、2019年以来ヨーロッパの経済に毎年180億ドル(約2兆2000億円)の貢献もしている。

ケーブルの敷設により、他の通信事業者と通信容量を共有する必要なくデータを転送できる一方で、欧州連合(EU)の規制当局がユーザーデータの米国への転送を許可しなかった場合、EUからの撤退を検討しなければならない事態にもなっている。EUの執行機関である欧州委員会のマルグレーテ・ベスタエアー委員は2月に、メタバースの規制の枠組みを決める前にメタバースについての理解を深める必要があるという認識を示しており、Metaによる市場の独占を懸念する声があがっている。