著作権侵害で休止の米LimeWire、NFTマーケットプレイスで再始動

2022/03/11

2000年代はじめに人気を博したP2Pファイル共有サービスを手がけていた米LimeWireが、5月からマーケットプレイス運営会社として再スタートすることがわかった。LimeWireは音楽や映画などのファイルを無料でオンライン共有でき、数多くの利用者がいたが、著作権侵害を意図的に助長しているとして 10年に米連邦裁判所から差し止め命令を受けサービスを停止していた。

新しく立ち上げるNFTマーケットプレイスでは、音楽やエンターテインメント関連、アートを中心としたコンテンツを扱うという。サービス開始は22年内の予定とのこと。オーストリア人の起業家で兄弟のPaul とJulian Zehetmayrの両氏が共同で最高経営責任者(CEO)になる。両氏は21年、LimeWireの知財などを買収していた。新生LimeWireは元の会社とは関係ない新しいチームによって運営されることになるという。

両氏は「LimeWireは、アーティストに対してではなく、アーティストのためのプラットフォームとして戻ってきた」とコメント。音楽の共有ではなく音楽を表すNFTを販売することでアーティストを支援し、NFT購入者がミュージシャンと直接つながることを目指すという。音楽業界の主要なアーティストとの提携を公表し、ヒップホップ・グループのWu-Tang Clan(ウータン・クラン)のマネージャーTareef Michael氏がアドバイザーを務める。また提携アーティストの追加リクエストのための独自トークンを、22年後半にリリースする。

LimeWireはすでに主なブロックチェーンと提携済で、イーサリアムとポリゴンに資産を橋渡しできる「メジャーブロックチェーンになる」ことに言及している。3月9日にマーケットプレイスへの参加待ちリストを公開。より多くの知り合いを招待し、ランキングの上位1万人に入った登録ユーザーには、限定NFTを特典として提供する。4月には招待制でトークンの販売を始め、5月に正式公開する。クリエーターも募集中で、登録すると画像や動画、楽曲などのNFTが、専門知識がなくても簡単に販売できるという。

NFTの価格はドル建てで、購入には暗号資産だけでなく、プラットフォームの「Wyre Payments」を活用したクレジットカード決済や銀行送金などにも対応する予定。本人確認対策のため、自前の暗号資産ウォレットは立ち上げないとのこと。