苦境のFCバルセロナ、収益確保へ独自NFTと暗号資産立ち上げ

サッカースペインリーグのFCバルセロナのジョアン・ラポルタ会長が、チーム独自の暗号資産やNFT、メタバースを立ち上げる意向があると明かした。新型コロナウイルスの感染拡大による観客の減少などにより悪化している財政状況を改善して収益を確保し、資金力のある競合チームに対抗するためには、テクノロジーの活用が有効な手段になると論じた。

スペイン・バルセロナで3月3日まで開かれていた世界最大級の通信関連展示会「モバイルワールドコングレス」で公表した。ラポルタ会長はブロックチェーン技術の有用性について触れ、クラブの財政改善策の一つとして、NFT発売を検討。販売されるNFTは「世界にいる3億人のファンと共有できるもの」だという。また、暗号資産関連企業とのスポンサー契約を断ったことにも言及。クラブでメタバースや暗号資産を管理するためで「自分たちでやらなければならないことは理解している。クラブにはこれらを開発するのに十分な才能がある」とも述べた。FCバルセロナは2020年に公式ファントークンを発行しており、2ユーロ(約230円)で販売された60万以上のトークンが2時間以内に完売。21年には初のNFTコレクションを販売する予定だったが、契約していたNFTマーケットプレイス「Ownix」の関係者の逮捕により、契約を解除していた。

NFTや暗号資産などの開発を進めようとする背景には、深刻な財政状況があるという。かつてはチーム創設から100年以上もの間、ユニホームに胸スポンサーを入れていないことが誇りだったが、前会長時代からのずさんな経営などが響くなかで、21年3月に前会長が逮捕され、ラポルタ会長が就任。同年8月、負債額が1730億円であることを明かしていた。また世界的人気プレーヤーのリオネル・メッシ選手が退団し、21年は世界屈指のチケット入手困難な試合の一つだったスペインサッカー伝統の一戦クラシコのチケットがついに売れ残る事態に陥っている。ラポルタ会長は「新しいテクノロジーによって、クラブの歴史と遺産を活用し、(チームの本拠地の)カンプ・ノウ スタジアムに足を踏み入れることがないかもしれない世界中のファン層を取り込むことができる」とコメントしている。

FCバルセロナ以外にもすでに多くのチームがNFT市場に参入している。スペインリーグのレアル・マドリードやセリアAのユベントスなどは、NFTブロックチェーンゲームゲーム 「Sorare(ソラーレ)」と提携し、NFT化した選手のカードを販売。購入したカードはゲームをプレーするだけでなく、売却して利益を得ることもできる。日本でも21年末、神奈川県社会人リーグ2 部の鎌倉インターナショナルFCがNFTを発行している。