JR西日本、無人の野菜販売でアバター接客の実証実験

JR西日本グループの障がい者雇用を推進する特例子会社のJR西日本あいウィルと、オープンイノベーションを推進するJR西日本イノベーションズは3月7日、オフィスビルでの地産地消野菜のアバター接客販売の実証実験を行うと発表した。新たな購買体験の提供や、デジタル技術を活用して障がい者を含む多様な人材が活躍できるフィールドの整備拡大、地産地消の積極的推進を目指す。

大阪大学発のベンチャーでアバターサービス事業を手がけるAVITAと連携し、7~11日と14~18日に、JR西日本本社ビルで行う。あいウィルとイノベーションズが共同で推進する「地産地消」「安心・おいしい」と「障がい者活躍」「農福連携」をキーワードに、近郊の新鮮な野菜を駅で販売する「○○駅の八百屋さん」事業の新たな取り組みで、遠隔地からのリモートアバターの接客サービスによる無人販売形式で野菜を販売する。

リモートアバターの接客サービスは、 2021年にAVITAを設立したロボット研究者で大阪大学教授の石黒浩氏の研究成果などを基にAVITAが開発。同ビル利用者である社員などを対象としているため、今回は一般客の来場は不可とのことだが、今後は駅など一般客も利用できる場所での実施を目指すという。オンラインの事前予約受け付けも、一部の期間中並行して行う。人と技術が融合し、誰もが参画し活躍できる社会と環境の整備を進めるという。

AVITAは21年、人材サービスのパソナグループと提携し、飲食店や宿泊施設で予約受け付けや問い合わせにアバターが対応するサービスを開始。また石黒氏がプロデューサーの一人を務める25年開催予定の日本国際博覧会(大阪・関西万博)でも、アバターの活躍は期待されている。

働く人材不足や高齢化問題、障がい者の就労支援に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛などの影響も受けて、アバターを活用した対人接客や実証実験はNTT、東急ハンズなども展開している。JR東日本も、JR大宮駅の改札に縦長モニターを設置し、駅員のアバターによる遠隔接客の実証実験を21年3月から約1年間行っている。