世界遺産の軍艦島、立ち入り禁止区域の画像などNFT販売

ブロックチェーン技術による企画・開発事業を展開するエクシア・デジタル・アセットは3月1日から、 「軍艦島」の通称で知られる世界文化遺産の長崎市端島のデジタルデータをNFTとして販売するプラットフォーム「Scenery-NFT」の運営を開始した。子会社であるMETASSETを通し、軍艦島を舞台とする映画「軍艦少年」製作委員会と共同で実施する。

映画「軍艦少年」は2021年12月に公開された、講談社「週刊ヤングマガジン」掲載の柳内大樹氏の漫画『軍艦少年』の実写化。長崎県や長崎市などの協力のもと、一般には立ち入りを禁止されている病院や学校などの場所でも撮影が行われ、現在の軍艦島の姿を映す文化的価値もあるものになっている。

第1弾として、立ち入り禁止区域の画像を含むNFTを販売。また映画「軍艦少年」本編の未使用映像やメイキング映像などのNFT販売を予定している。売上金額の一部は長崎市に寄付し、軍艦島の保全活動を支援するという。今後は他の文化財も保全へ各自治体と協力し、ブロックチェーン技術を活用したNFTソリューション事業の展開を目指すという。

軍艦島は15年に、山口県や鹿児島県など8県にまたがる「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の一部として国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された、元海底炭鉱の島。島の端島炭坑は良質な石炭を輩出し日本の高度経済成長期を支え、最盛期には住民の数は5300人にのぼったが、1974年の閉山に伴い無人島となった。当時の建物がそのまま残されており、大正時代に建てられた鉄筋コンクリート造のアパートは日本最古の現存アパートといわれている。「美しい廃墟」として人気だが、建物の老朽化が著しく、一般の見学は桟橋や専用の見学通路からに制限されている。

世界遺産のブロックチェーン技術活用例としては、シンガポールのブロックチェーン技術会社のEnjinが歴史的芸術品のデジタル化事業を手がける米Virtual Worldsと提携してエジプト・ギザのピラミッドやスフィンクスを高精細デジタルレプリカ再現しNFT化、バーチャル空間内に設置できるようにした事例などがある。