三菱UFJ信託銀行が株主優待NFT「Progmat UT」 デジタルアセット用ウォレットも提供

2022/02/22

三菱UFJ信託銀行は2月21日、NFTの技術を用いて、株主優待などの特典や、特定のアセットやサービスに関する利用権や会員権など権利をユーティリティトークン(UT)として発行可能な「Progmat UT(プログマユーティー)」の仕組みとともに、各種デジタルアセットを対象としたウォレットサービスの開発を発表した。

Progmat UTは、優待券や会員証といった紙の券面に伴うアナログ処理を不要とし、デジタル完結で「発行」「利用」「移転」「管理」が可能。 スマートフォンがあれば一元的な手元管理や随時権利行使ができ、異なるアプリケーションサービスをまたいで柔軟に譲渡することもできる。権利提供者にとっては、券面の印刷、配送などに伴うコストを減少でき、ユーティリティトークン(UT)の利用状況や移転状況をリアルタイムで把握できるようになる。Progmat UTの仕組みは特許を出願しており、プラットフォームも提供予定。

また、ブロックチェーンなどの電子情報処理組織を用いて移転することができる有価証券のST投資と組み合わせることで、投資額や保有年数などを踏まえて投資対象に関連するUTを付与する「ファンマーケティング」が可能になるとのこと。各投資家が「投資主兼ファンユーザー」としてロイヤルカスタマー化することで、投資家にとってはUTの利用やUTを譲渡した他者の利用を通じて投資対象の価値向上ができ、STを発行した権利提供者にとっては投資を入り口にエンゲージメントの高い顧客基盤を構築でき、従来のマーケティングに要していたコストを減少することができるという。

Progmat UTは、STの付帯権利のみならず、既存の上場株式などに付随する株主優待や、有価証券の存在を前提としないチケットや会員証についてもUT化することを可能。さまざまな事業者が提供する日常チャネルへの組み込める、開かれた基盤とすることを目標としている。

また、各種デジタルアセット保有者向けのモバイルアプリ「Token Wallet」と、STやブロックチェーンなどを用いて移転可能な、法定通貨と価値の連動などを目指す決済手段であるSC、UT発行体企業向けのWebアプリ「Token Manager」を提供予定。2022年内にβ版をリリースし、まずはUTを対象とした実証実験が可能となる環境を整備する。

同行は19年11月6日付けで設立した「ST研究コンソーシアム(SRC)」を22年4月に改組し、STやSC、NFTなどのエコシステム共創を目指す「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」とすることを発表しており、現在の会員企業数は84社。会員企業間の共創で、資産裏付型STの発行に続き、23年度にはセカンダリ市場確立やブロックチェーンのオープン化とともに、初の信託型ステーブルコイン「Progmat Coin」の提供を予定している。