「実現したら辞める」米SalesforceのNFT構想に400人以上の社員反発

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顧客情報管理の米Salesforce(セールフォース)が表明したNFT市場に参入する計画に対し、全世界の数百人の従業員が反発しているという。Thomson Reuters Foundationが報じた。

Salesforceは前週、従業員に対し、ユーザーがNFTを作成、販売できるNFTクラウドの販売プラットフォームを立ち上げる構想を発表している。Thomson Reuters Foundation が公開したSalesforceの内部文書によると、構想発表後、同社の共同CEOへ向け、NFTは 「規制されていない、非常に投機的な金融資産 」とし、環境や経済に与える影響や顧客の信頼を損なう可能性を懸念していると伝える公開書簡に、400人以上の従業員が署名したとのこと。従業員からの反発が「離職率の上昇につながる可能性がある」とも指摘し、「再考をお願いしたい」と記しているという。

書簡に署名したある社員は、NFT構想が実現したら辞めるとThomson Reuters Foundationに明かし「自分の掲げた価値観を守ってくれる会社を探す」と述べている。また、Salesforceが2月に行われた米プロフットボールリーグNFLのスーパーボウルでの広告で、人気俳優のマシュー・マコノヒーを起用しサステナビリティーへの取り組みをアピールした直後の発表に、ショックを受けた社員もいたという。

一方、SalesforceならNFTのエコシステムを責任を持って拡大し、新興市場において顧客を導くことができると構想を支持する声もあるとのこと。同社の広報担当者は「我々は従業員のフィードバックを歓迎し、従業員が多様な視点を提起することを可能にする信頼の文化を育むことを誇りに思っている」 と述べている。

NFTに批判的な技術専門家は、こうした反発に驚きは見せていないという。ブロックチェーンの環境への影響を研究している経済学者のAlex de Vries氏は、「NFTを検討している組織にはリスクがある」と述べ、環境保護団体の世界自然保護基金(WWF)が2月上旬、環境保護主義者の非難を受けてNFTプロジェクトを断念したことを例にあげている。しかし、エネルギーを大量に消費するブロックチェーンを避け、代わりに消費量がごくわずかな「プルーフ・オブ・ステーク」ブロックチェーンを使用することなどで、NFTを責任を持って構築する方法はあるともコメントしている。