凸版印刷がアバターのなりすまし防ぐ本人確認基盤 ディープフェイク犯罪も防止

凸版印刷は、メタバース上で使用されるアバターの本人証明ができる、生成管理基盤「AVATECT(アバテクト)」を開発、2月から提供している。

アバター本体の管理や本人認証を行うサービスで、NFTや電子透かしも付与する。メタバース市場への関心が高まる一方で課題になりつつある、アバターの不正利用や本人許可のない画像によるなりすましを抑止。プライバシーや著作権を保護するほか、著名人の画像上の顔を書き替え、誤った情報を拡散させたり名誉を棄損したりする「ディープフェイク犯罪」のようなリスクも防ぐという。

写真からアバターを生成する際に、「氏名や身体的特徴、顔写真などのモデル情報」「モデルのアバター生成に対する許諾」「生成ソフトウエア、サービス情報」「アバター生成日時」「アバターの利用権情報」などを記録し管理。アバター本体と紐づけて保管する。生成されたアバターをNFT化することで唯一性を証明し、目視できない電子透かしを埋め込んで、オリジナルかコピーかの判別ができるようになる。

また、同社が2021年から提供している、マイナンバーカードをスマートフォンにかざすだけで非対面で本人確認ができる「本人確認アプリ」との連携を、22年度に実装予定。アバターの登録やアップロード権限を、本人確認された利用者のみに限定させることができる。将来的には、メタバース内で提供される会員・入会申し込みやオンライン決済のような本人確認が必要なサービスで、書類などの確認プロセスを経ずにサービス提供できることを目指す。

凸版印刷は21年11月から、1枚の顔写真と入力した身長、体重をもとに体形までユーザーに似せたリアルな3Dアバターを自動生成するサービス「メタクローンアバター」を提供するなど、メタバース事業に力を入れている。今後はAVATECTをメタクローンアバターやメタバース内でのビジネスを行う事業者へ試験提供し、行動分析やプライバシー保護の有用性の検証。9月までにアバター管理事業を開始し、25年度までにメタバース関連事業で100億円の売り上げを目指すという。