【NFT Weekly】X2Y2に見るNFT取引のリスク/ニューヨーク証券取引所がNFT/AnimocaBrandsが日本進出

2022/02/20

NFT Weeklyでは、注目トピックの解説と、過去1週間のNFTに関するニュースの紹介を行う。今週は、新規NFTマーケットプレイス「X2Y2」がOpenSeaユーザーにエアドロップ、米ニューヨーク証券取引所がNFTマーケットプレイスの商標を申請、香港のWeb3.0企業「Animoca Brands」が日本進出といったニュースがあった。

注目トピックでは、X2Y2にみるNFT取引のリスクについて解説する。

【目次】

  1. 今週の注目トピック:X2Y2にみるNFT取引のリスク
    新興NFTマーケットプレイスの「X2Y2」が登場、エアドロップ実施
    運営が許可なく自分の保有するNFTを移動する危険性
    実はOpenSeaでも同じリスクがある
    Dappsは運営を信用しなくても成立するのか?
  2. 今週のNFTニュース
    米ニューヨーク証券取引所がNFTマーケットプレイスの商標を申請
    英国歳入税関庁がNFTを初押収、約2億1900万円の脱税疑いで逮捕
    香港のWeb3.0企業「Animoca Brands」が日本進出
    マジック・ザ・ギャザリングの発行元企業がNFTプロジェクトに警告

 

1.今週の注目トピック:X2Y2にみるNFT取引のリスクと信用

新興NFTマーケットプレイスの「X2Y2」が登場、エアドロップ実施

2月16日、イーサリアム基盤のNFTマーケットプレイス「X2Y2」がサービスを開始した。最大手NFTマーケットプレイス「OpenSea」のユーザーには、条件付きで独自通貨「X2Y2」のエアドロップ(無償配布)が行われている。

このように、あるサービスのユーザーにエアドロップなどのインセンティブを提供し、ユーザーや資金を吸い取ろうとする手法を「ヴァンパイア・アタック」と呼ぶ。1月にはNFTマーケットプレイス「LooksRare」立ち上げの際にも利用された手法だ。

X2Y2のエアドロップを受け取るためには、保有しているNFTをX2Y2上で売りに出す(リスト)することが必要だ。また、リストするNFTは過去24時間でOpenSea上の取引高が1ETH以上のコレクションである必要がある。

エアドロップの条件が当初から変更され、TwitterをはじめとするSNSで批判も見られるX2Y2だが、プラットフォームにおけるNFTのリストも決して100%安全ではないとの声が上がっている。

今回は、NFTマーケットプレイスをはじめとした分散型アプリケーション(Dapps)を利用する際に潜むリスクについて、X2Y2を例に見ていく。

運営が許可なく自分の保有するNFTを移動する危険性

2月18日、「X2Y2でNFTをリストすると、そのNFTを特定のアカウントが許可なく移動できてしまうリスクがある」という趣旨のツイートがあった。X2Y2でNFTをリストする際に署名する契約内容(「コントラクト」と呼ぶ)を読むと、もしX2Y2の運営に悪意があれば、リスト済のNFTを盗まれてしまう可能性があるとのことだ。

そのため、エアドロップ目的などでNFTをリストする際には十分な注意を払うべきだ、また一度リストした後にはービスとの接続を遮断する「Revoke」と呼ばれる操作をした方が良い、とツイート主の@0xOcean氏は書いている。

実はOpenSeaでも同じリスクがある

他方、「運営がリスト済NFTを許可なく移動できる」という契約内容は実は一般的で、OpenSeaでNFTをリストする際にも同様のコントラクトが走っていると一連のスレッドには記載がある。

OpenSeaは2017年の設立から4年以上サービスを運営しており、一定の実績に基づく信頼があるため表立って問題になることはないが、実は同様のリスクはOpenSeaを利用する際にも発生しているといえそうだ。OpenSeaでも、運営が不正をしようと思えば可能ということだ。

Dappsは運営を信用しなくても成立するのか?

こうしたリスクの存在がコードの読解によって分かるのは、ブロックチェーンならではの特徴だ。OpenSeaなどの分散型アプリケーション(Dapps)では、スマートコントラクトという仕組みによって自動でプログラムが走る。多くの場合コントラクトコードは公開されており、どのような操作をするとどんな条件で何が起こるのかを読み解き検証することができる。

暗号資産やNFTの領域では、匿名の人々が運営するサービスも少なくないが、それはコントラクトコードにそのサービスで何ができるのかが全て書かれており、運営を信用する必要がないからだ。この特徴を示す「Code is law(コードが法だ)」という言葉もある。

しかしイーサリアムの場合、コントラクトは「Solidity(ソリディティ)」というプログラミング言語で書かれており、エンジニアでない一般の人が内容を理解することは難しい。

OpenSeaを利用するときには、筆者も含め多くの人が、「皆が使っているサービスだから大丈夫だろう」「きっと誰かが検証してくれているだろう」と、特に気に留めずに自分の資産を取引しているのが実態だ。

ブロックチェーンやDappsが「信用できる管理者や運営なしで成立する」とはよく言われることだが、コードを読めない人や読む時間が取れない人は、結局は自分以外のコードを読んでくれるエンジニアやコントラクトの監査企業を信用する必要がある。

また、「コントラクトコードを読めば信用できる」と言えるプロジェクトが実際にどれだけあるのか、という点も注意が必要だ。今回、OpenSeaでは運営が不正をしようと思えば可能な内容になっていることが分かった。またある時点では安全と判断されたコードでも、その後のアップデートが可能な場合もある。

こう考えると、実際にはDappsにおいても、運営の信用度は重要な要素だと言えそうだ。

2.今週のNFTニュース

米ニューヨーク証券取引所がNFTマーケットプレイスの商標を申請

米ニューヨーク証券取引所(NYSE)は2月16日、NFTや暗号資産などのオンラインマーケットプレイス「NYSE」の登録を米国特許商標庁に申請した。もしNYSEが新しいマーケットプレイスを立ち上げれば、1月にも資金調達し企業評価額が133億ドル(約1兆5400億円)と評価された大手NFTマーケットプレイスのOpenSeaなどと競合することになる。

詳細:https://www.metaverse-style.com/game/4769

英国歳入税関庁がNFTを初押収、約2億1900万円の脱税疑いで逮捕

英国歳入税関庁(HMRC)は2月14日、140万ポンド(約2億1900万円)を脱税した疑いがあるNFT3個を押収し、関与した3人を逮捕した。英国でNFTが押収されるのは初のケースだという。

英BBCの報道によると、逮捕された容疑者は、偽の身分証明書や盗難証明書、VPNなどを使用していたという。NFTとともに5000ポンド(約78万円)相当の暗号資産も押収された。HMRCのNick Sharp副局長は「HMRCは常に新しい技術に対応し、犯罪者や脱税者の資産隠しを追跡している。この逮捕は、彼らへの警告になる」と述べている。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/4681

香港のWeb3.0企業「Animoca Brands」が日本進出

香港を中心に事業を展開するWeb3.0企業「Animoca Brands」が2月15日、日本に戦略的子会社Animoca Brands株式会社(東京都港区・代表取締役 谷元樹)を設立したと発表した。

Web3.0領域で、マンガ、アニメ、ゲームやアートといった日本のコンテンツの世界進出を支援する。2022 年1月に組成し500 万 USD を調達したIPX1 号ファンドには、講談社、西日本鉄道、三井住友信託銀行などが参画したという。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/4690

マジック・ザ・ギャザリングの発行元企業がNFTプロジェクトに警告

世界で2,000万人以上のプレイヤーを抱えるとみられる人気カードゲーム「マジック・ザ・ギャザリング(MTG)」の発行元である米ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社は、MTGのカードを元にしたNFTゲームを立ち上げようとしているプロジェクト「mtgDAO」に、法的な警告のメールを送信したことが2月11日に分かった。また、メールでは、同社がゆくゆく公式にNFTを発行することもありえると示唆されている。

mtgDAOは、MTGカードをNFT化し遊べるようにするプロジェクトだ。ホワイトペーパーによれば、あるNFTを発行するには同じカードを物理的に所有している必要がある。また、mtgDAOでは各カードの希少性を担保し多様なカードがゲームで利用されるようにする目的で、カードの発行枚数が増えるほど発行コストがかかるような設計となっている。