米経済誌「Forbes」にBinanceが230億円投資 米メディア企業初

2022/02/14

経済誌「Forbes」を傘下に持つ米フォーブス・グローバル・メディア・ホールディングスが2月10日、大手暗号資産取引所Binance(バイナンス)から2億ドル(約230億円)の出資を受けると発表した。暗号資産業界から、米国の伝統的なメディア企業に対する初の大型投資となる。

フォーブス・グローバル・メディア・ホールディングスは民間投資会社L2 Capitalがスポンサーとなった特別買収目的会社(SPAC)のMagnum Opus Acquisition Limitedと、2022年3月末に完了予定の経営統合で、米ニューヨーク証券取引所に上場する。4億ドルの追加資金の確保が必要となっていたが、その半額を Binance が担う。Binance はForbesの2大オーナー企業の一つになり、上場後の取締役会総勢9人のうち2人の占めることになる。

「Forbes」のブランドと企業価値を最大化し、最適化されたコンテンツ提供などによる会員登録や定期購読などを通じて、読者の長期的に囲い込む。Mike Federle 最高経営責任者(CEO)は「フォーブスは、ブロックチェーン技術やすべての新興デジタル資産に関する複雑さを解き明かし、有益な情報を提供することに取り組んでいる。これらの世界に関心を持つ人々のリソースとなっており、この分野の真のリーダーになることができる」と述べている。

バイナンスのChangpeng Zhao(チャンポン・ジャオ)最高経営責任者(CEO)は、ブロックチェーンや暗号通貨の側面をビジネスにどう統合するかを支援し、「Forbes」の報道性などは独立性を保つことを重視すると明かしている。今回の出資の理由は「ブロックチェーンやWeb3.0の広がりで、暗号資産市場が成熟するにつれ、消費者の理解を広げるためにメディアは不可欠な要素」と述べている。

Forbesは、編集長で2度の大統領候補となったSteve Forbesの祖父により1917年に設立。個人資産番付など、ビジネス界の大物達のランキングで知られる。同社は2014年に、香港の投資グループIntegrated Whale Mediaに4億7500万ドルで売却されている。

ジャオ氏はBinanceの創業者で、1月の米Bloomberg通信によると純資産は960億ドルとされる。米CNBCによると、Binanceの投資は、コンテンツ生成がWeb3.0開発の成長分野になると同氏が考えていることの表れという。一方で、 Binance は2017年に中国で設立されたものの、物理的な本社は欠いており、その場所を選定している最中だとも報道されている。