【NFT Weekly】OpenSeaの発行数上限騒動/「國光DAO」発足/ワーナーミュージックも提携「The Sandbox」とは?

2022/01/30
The Sandbox上のイベントの様子(公式HPより)

NFT Weeklyでは、過去1週間のNFTに関するニュースの紹介と、注目トピックの解説を行う。今週は、OpenSeaがNFT発行数に上限を設定したが撤廃、「國光DAO」発足、米ワーナーが「The Sandbox」内に音楽テーマパークを発表といったニュースがあった。

注目トピックでは、「The Sandbox」とはどのようなメタバースプラットフォームかについて解説する。

【目次】

  1. 今週のNFTニュース
    OpenSeaがNFT発行数に上限を設定するも、反発を受け撤廃
    元Gumiの國光氏が「國光DAO」発足 Web3.0・メタバースのユニコーン目指す
    米ワーナーがメタバースプラットフォーム「The Sandbox」内に音楽テーマパーク発表
    自民党が「NFT政策検討プロジェクトチーム」立ち上げ 法律・税制改正法案も視野
    ビートルズ記念品のNFTオークション開催へ
  2. 今週の注目トピック:ワーナーミュージックも提携する「The Sandbox」とは?
    創作・投資・遊びができるメタバース
    競合のDecentralandとの棲み分けにも注目
    2022年後半にはモバイル展開も予定

1.今週のNFTニュース

OpenSeaがNFT発行数に上限を設定するも、反発を受け撤廃

世界最大手のNFTマーケットプレイスOpenSeaは、日本時間1月27日、OpenSeaを利用してブロックチェーン上に発行できるNFTの数を1アカウントあたり最大250個とする制限を設けた。しかしクリエイターやユーザーからの反発を受けて、28日には決定を覆し制限を却下した。

一時は、制限により1アカウントが作成できるコレクションは5つまで、また各コレクションあたり発行できるのは50個までとなった。しかし、クリエイターから「1年間かけて準備してきたプロジェクトが水の泡になった」「まさに今コレクションに作品を追加しようとしていたのに」といった声が相次ぎ、OpenSeaは制限を撤廃した。

OpenSeaの公式ツイッターアカウントは、制限を設けようとした理由について「OpenSea上の発行機能を利用して制作されるNFTの80%以上が盗用や偽物、スパムとなってしまっている」と説明した

元Gumiの國光氏が「國光DAO」発足 Web3.0・メタバースのユニコーン目指す

NFT事業やクラウドファンディングサービス「FiNANCiE」を展開するフィナンシェは1月24日、代表取締役の國光宏尚氏による分散型自立組織「國光DAO」の創設とトークンの発行、販売開始を発表した。

國光DAOは「Web3.0、メタバース領域で日本発、世界で活躍するユニコーンを増やす」というビジョンの下で、集ったメンバーが活動する組織とのことだ。

FiNANCiEの仕組みを利用したトークンを発行し、コミュニティー運営を行う。 コミュニティーのチャンネルを役割ごとに作成し、それぞれで目標設定などを行うほか、DAOでの意思決定はトークン投票で行う。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/4078

米ワーナーがメタバースプラットフォーム「The Sandbox」内に音楽テーマパーク発表

米ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)と香港のブロックチェーン企業Animoca Brands(アニモカブランズ)傘下のNFTゲーム「The Sandbox」は1月27日、共同でThe Sandbox内で初の音楽のテーマパークを立ち上げる予定だと発表した。

コンサート会場も組み合わせ、WMG所属のアーティストによるライブなどが体験ができるようになる。立ち上げを記念し、WBGのテーマパークに隣接する、The Sandboxのメタバース上の土地「LAND」も販売する。

詳細:https://www.metaverse-style.com/music/4231

自民党が「NFT政策検討プロジェクトチーム」立ち上げ 法律・税制改正法案も視野

自民党デジタル社会推進本部は1月26日、NFTの活用策を検討する専門組織「NFT政策検討プロジェクトチーム」を新たに立ち上げた。NFTやブロックチェーンに関係する業界などから意見を聞き、法律や税制改正法案も視野に入れ議論をする。

詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/4234

ビートルズ記念品のNFTオークション開催へ

有名ロックバンド「ビートルズ」のデジタル化された記念品NFTがオークションで販売されることが、1月24日に分かった。ジョン・レノン氏の長男ジュリアン・レノン氏が、NFTマーケットプレイス「YellowHeart」で日本時間2月8日午前3時より販売する。

NFT化される記念品は、ポール・マッカートニー氏の「Hey Jude」創作中の手書きのメモや、ジョン・レノン氏がコンサートで着用していた衣装など全6点。実物はいずれもジュリアン・レノン氏が所有しており、本NFTには付いてこない。NFTは、Polygon(ポリゴン)チェーン上で発行される。

2.今週の注目トピック:ワーナーミュージックも提携する「The Sandbox」とは?

今週、米ワーナーミュージックグループが、「The Sandbox」を利用してメタバース上で音楽のテーマパークを立ち上げたというニュースがあった。12月には、コンサルティングファームのプライスウォーターハウスクーパース(PwC)がThe Sandbox上の土地を購入したことでも話題を呼んでいる。

The Sandboxは、香港のAnimoca Brands傘下のメタバースプラットフォームで、スクウェア・エニックスやソフトバンクグループからも出資を受けている。今回は、The Sandboxとはどのようなものか、ライバルのDecentraland(ディセントラランド)との違い等について解説する。

創作・投資・遊びができるメタバース

The Sandboxは、「Minecraft」に似た創作・投資・遊びができるメタバースだ。メタバースとは他人と交流ができるオンライン上の仮想空間のことで、「あつまれ どうぶつの森」や「フォートナイト」といったゲームでも楽しまれている。

The Sandboxはイーサリアムブロックチェーンを利用しているという特徴を持つ。現在は一部の機能が公開されており、正式リリースは2022年内を予定している。

創作:アートやゲームを誰でも制作し、販売/有料公開できる

専用の無料ツール「Vox Edit」を利用して、誰でも3Dのボクセルアートやアバターの制作が可能だ。制作したボクセルアートやアバターはイーサリアム上のマーケットプレイスでNFTとして販売できる。

また無料ツール「Game Maker」を利用してゲームを作成し公開できる。ゲームは、無料/有料どちらでも設定可能で、有料ゲームを他のユーザーが遊んでくれると、独自通貨「SAND」を入手できる。

ユーザーが制作した家具のボクセルアート作品が販売されている

投資:仮想空間上の土地「LAND」を開発・売買・貸し出しできる

また、The Sandboxには合計166,464個の土地「LAND」が存在する。自分が所有するLANDには自由に建物やオブジェクトを設置でき、またLAND上でコンサートや展示会等のイベントを開催することもできる。

LANDを貸し出して収入を得たりLANDを売買することもでき、まるで実際の不動産のように投資されている。

遊び:他人が作成したゲームで遊んだり、イベントに参加できる

ユーザーは、自分のアバターを動かしてLANDを訪問し、他人が作成したゲームで遊んだり、開催されるイベントに参加できる。またユーザー同士でチャットをして会話を楽しむことも可能だ。

2021年11月から12月には、5,000ユーザー限定で、「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」イベントが開催された。

詳細:https://www.metaverse-style.com/game/2343

2022年後半には、人気ゾンビドラマ・ゲームの「ウォーキング・デッド」とコラボしたゲームも遊べるようになる予定だ。

競合のDecentralandとの棲み分けにも注目

同じようにイーサリアムブロックチェーンを利用している人気メタバースとしては「Decentraland(ディセントラランド)」が挙げられる。DecentralandもThe Sandbox同様に、アイテムやアバターを作成してNFT販売したり、仮想空間の土地を開発したり売買できる。

一方で、The Sandboxはまだ正式にリリースしていないが、Decentralandは既にリリースされており、ユーザーはワールドを自由に訪問し遊べるという違いがある。Decentralanddでは2022年1月にサムスン電子がオンライン展示会を開催するなど、様々なイベントが実施されている。

またThe Sandboxではテキストチャットのみが利用できるのに対して、Decentralandでは音声で他人とやり取りすることもできる。ユーザーが遊び交流するという観点では、2022年1月現在ではDecentralandに軍配が上がりそうだ。

一方で、The Sandboxは2020年に約2億円のクリエイター支援基金を設立するなど、クリエイター支援に力を入れている。正式リリース後にクリエイターコミュニティの活発さや層の厚さという特徴がどう活きてくるのかにも注目だ。

2022年後半にはモバイル展開も予定

The Sandboxの今後のロードマップを見ると、期待2021年第1四半期には、LANDがメタバースとして解放される予定だ。ユーザーがLANDを自由に歩き回り、イベントやゲームで遊ぶことができるようになるとみられる。

また2022年第3四半期にはアーティストDeadmau5、Richie Hawtinによるバーチャルコンサート開催と「ウォーキング・デッド」ゲームリリースを、第4四半期にはモバイル版のリリースを予定している。特にモバイル展開はユーザー拡大において重要な一歩となるだろう。

参考:The Sandboxに関するニュースはこちら