【NFT Weekly】MetaやTwitterがNFT実装報道/プラダ、アディダスは参加型アート/NFTをプロフ画像に設定する意義は?
NFT Weeklyでは、過去1週間のNFTに関するニュースの紹介と、注目トピックの解説を行う。今週は、米MetaがNFT機能を準備、TwitterでプロフィールにNFTを設定・認証する機能が一部公開、プラダとアディダスがNFTアートプロジェクトを開始、ウルトラマンや手塚治虫氏、村上龍氏のNFT販売発表といったニュースがあった。注目トピックでは、SNSのプロフィールにNFTを設定することの意義について解説する。
【目次】
- 今週のNFTニュース
米Metaが「NFT機能」を準備、FacebookとInstagramに
Twitter、NFTを認証しアイコンにできる新機能 サブスク「Twitter Blue」で公開
伊プラダと独アディダスがNFTアートプロジェクト メディアアーティストと共同
楽天のNFTマーケットプレイス「Rakuten NFT」、第1弾はアニメ「ULTRAMAN」の限定作品に
手塚治虫「火の鳥」「ブラック・ジャック」のNFT販売が決定
村上龍が初NFT、『コインロッカー・ベイビーズ』への想いを書き下ろしたエッセイを22日から販売 - 今週の注目トピック:NFTをSNSのプロフィールに設定できることの意義とは?
Twitterで機能公開、Facebook、Instagram、Redditでも準備中とみられる
NFTの所有を証明することで、ステータスの表明やコミュニティ参加が容易になる
将来的には、SNS上アカウントひとつで資金調達や就職ができるようになる可能性も
資産状況が丸見えになるリスクや詐欺に注意
1.今週のNFTニュース
米Metaが「NFT機能」を準備、FacebookとInstagramに
Metaは、ユーザーがNFTを作成して販売できるようにする計画に取り組んでいる。FT(フィナンシャルタイムズ)が報じた。
FTによると、MetaのFacebookとInstagramのチームが、両SNSのユーザーが自分の所有するNFTを自分のプロフィールに表示できる機能を準備しているほか、NFTそのものを作成できるようにするプロトタイプに取り組んでいるという。また、MetaはユーザーがNFTを売買するためのマーケットプレイスを立ち上げることも検討している。
詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/4002
Twitter、NFTを認証しアイコンにできる新機能 サブスク「Twitter Blue」で公開
Twitterは1月20日、NFTの画像をプロフィールアイコンに設定できる機能を、一部ユーザーに向けて公開したと発表した。自身の所有が認証されたNFTが画像設定されたアイコンは従来の円形から六角形になり、タップするとそのNFTの所有者や製作元等の詳細情報を確認することができる。
対象は、2021年6月に発表したTwitterの定額サブスクリプションサービス「Twitter Blue」の利用者で、iOSのユーザー。なお、Twitter Blueは現在、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのみで提供されており、日本では利用できない。
詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/4019
伊プラダと独アディダスがNFTアートプロジェクト メディアアーティストと共同で
イタリアの高級ブランド、プラダと、ドイツ発祥の大手スポーツブランド、アディダスが、世界的なメディアアーティストのザック・リーバーマン氏と共同でNFTアートプロジェクト「adidas for Prada re-source」を始めることが1月21日にわかった。
作品は、3000名の参加者から集めた3000個の画像タイルで1つのキャンバスを作り上げるというものだ。オークションでの売り上げは80%が非営利団体Slow Factoryに寄付され、5%がリーバーマン氏に、15%がタイルを作成した参加者全員に分配される。また参加者は、作品の2次流通以降の売り上げの3%を永続的に受け取れるとのことだ。
詳細:https://www.metaverse-style.com/art/4023
楽天のNFTマーケットプレイス「Rakuten NFT」、第1弾はアニメ「ULTRAMAN」の限定作品に
楽天グループは1月19日、NFTマーケットプレイスおよび販売プラットフォーム「Rakuten NFT」で提供する最初のコンテンツを、円谷プロダクションが製作、販売するアニメ「ULTRAMAN(ウルトラマン)」のNFTアートに決定したと発表した。
Rakuten NFTは2月25日からサービス開始予定。第1弾としてアニメ「ULTRAMAN」より「ULTRAMAN」「SEVEN」「ACE」の限定ビジュアルとオリジナルエフェクトを楽しめるデジタルアートNFT全3種が発売される。購入には楽天IDを使用でき、楽天ポイントを貯めたり、使ったりすることができる。
詳細:https://www.metaverse-style.com/trend/3979
手塚治虫「火の鳥」「ブラック・ジャック」のNFT販売が決定
手塚プロダクションによる公式NFTプロジェクト「From the Fragments of Tezuka Osamu(手塚治虫のかけらたちより)」のシリーズとして、「火の鳥」「ブラック・ジャック」の漫画原稿を元にしたデジタルアートNFTが1月24日より販売されることが分かった。「モザイクアートNFT」「ジェネレーティブアートNFT」の2種類が展開される予定。
12月には同シリーズの第一弾として、「鉄腕アトム」シリーズが販売。1点もののモザイクアートは日本発のアートNFTの1点落札価格として過去最高額となる120ETHで落札され、0.08ETH(約35,000円)で1,000個発売されたジェネレーティブアートは販売開始から1時間で完売したとのことだ。
第一弾「鉄腕アトム」シリーズの詳細:https://www.metaverse-style.com/art/2408
村上龍が初NFT、『コインロッカー・ベイビーズ』への想いを書き下ろしたエッセイを22日から販売
大手出版社の幻冬舎は、村上龍氏の初となるNFT作品の発売を1月21日に発表した。NFTの所有者は、村上龍氏の書き下ろしエッセイ『キクとハシ、その後。』のPDF原稿を読むことができ、また特典として同氏の本作執筆中の場面を収録したオリジナルムービーも閲覧できる。
NFTは、マーケットプレイス「Adam byGMO」で1月22日から1月29日の間、オークション形式で販売される。オークション開始価格は100万円で、日本円でのクレジットカード決済及び銀行振込、イーサリアムのETHでの購入が可能。アイテム数は1点のみで、購入者はNFTを「Adam byGMO」で二次販売することもできる。
2.今週の注目トピック:NFTをSNSのプロフィールに設定できることの意義とは?
Twitterで機能公開、Facebook、Instagram、Redditでも準備中とみられる
今週、Twitterでは、プロフィール画像にNFTを設定する機能が一部のユーザー向けに実装された。Twitterアカウントと暗号資産アカウントを連携し、本人の所有が確認できたNFTをプロフィールアイコンに使用すると、アイコンが通常の円形ではなく六角形に表示される。
またMetaがNFT機能を準備しており、FacebookやInstagramでもプロフィールのNFT設定ができるようになる予定だと報じられた。海外のネット掲示板Redditも同様の機能の実験を開始していると見られている。
しかし、NFTをSNSのプロフィール画像にできたとして、何の意味があるのだろうか?どういった利用方法が考えられるのか?と疑問に思っている方も多いのではないだろうか。今回は、この問いについて考えてみたい。
NFTの所有を証明することで、ステータスの表明やコミュニティ参加が容易になる
まず重要なのは、プロフィールに利用しているNFTを、SNSユーザー本人が間違いなく所有していると証明できる点だ。NFTはブロックチェーン技術を利用しており、NFT認証を得るには、NFTを所有する暗号資産アカウントの持ち主のみが知る秘密鍵を使って署名をする必要がある。そのためアイコンにNFT認証マークが付いていれば、ユーザー自身がそのNFTを所有していることが確実に証明できる。
この機能によって、次のようなことが可能になると考えられる。
・SNS上でステータスや価値観を高い信頼度で表現できる
NFTの所有証明は、アイデンティティの一部として機能するだろう。ロレックスの時計を身につけたりフェラーリに乗ることがステータスや価値観の表明になるのと同様、高額なNFTや人気NFTの所有証明は、「自分はこういう人間である」というアピールになる。また、あるアーティストの初期のファンにのみ配られたNFTがあれば、「自分は古参のファンだ」といった証明もできる。
もちろん従来のSNSでも高級品の写真をアップしたり、ファン限定品をアイコンにするといったアピールは可能だったが、他人の写真や画像をインターネットで拾ってきて勝手に利用することが容易だったため、信頼性は高くなかった。NFTを利用することで、より信頼性の高い
・アーティストやコレクター同士のつながり・交流を強化する
SNSのプロフィール認証機能によって、NFTアーティストやコレクターを見つけ、つながるのが容易になる。Twitterを例にあげると、六角形の認証アイコンユーザーであればNFTを所有していると一目で分かり、また何のコレクションをアイコンにしているのかもプロフィール画面で確認できる。
アーティストが自分の作品NFTを認証アイコンにすればコレクターの目に留まりやすいし、人気NFTコレクションを保有している人をフォローすれば、NFTコレクターのコミュニティに自分をアピールできるかもしれない。SNSは、アーティストとコレクターが互いを発見し、交流する出会いの場としての価値を高めるだろう。
将来的には、SNS上アカウントひとつで資金調達や就職ができるようになる可能性も
NFTの認証機能は、「SNSアカウントと暗号資産ウォレットとの紐づけ」を実現した。暗号資産ウォレットには、所有するアートやファンアイテムの情報だけでなく、保有する暗号資産や資格情報など多様な情報が含まれる。SNSにそうした情報が加わることで、SNSが今より大きな役割を果たすようになることも予想される。たとえば、次のような使い道が考えられる。
・SNSアカウントひとつでお金を借りる
SNSアカウントと暗号資産ウォレットが紐づくと、SNS上で自分が何の資産をどのくらい保有しているのかを証明することができるようになる。SNSアカウントひとつで信用力を証明し、資金調達や借金を行うことが一般的になっていくかもしれない。
・SNSだけで就職・転職する
「オンライン学習サービスPoL」のように、学習履歴や資格・学歴の認定証をNFTの形で発行する試みがある。資格認定や経歴証明のNFT化が一般的になると、SNS上で自分の資格や経歴を証明できるようになる。SNSアカウントひとつで就職・転職するケースが増えていくかもしれない。
・投稿やツイートをNFT作品として保存・販売する
また、Twitterアカウントと暗号資産ウォレットを連携することでツイートをNFTとして保存・販売できる「Valuables」といったサービスもある。過去の投稿のうち、人気のものや重要なものをまとめて展示したり販売することが一般的になれば、SNSでの投稿それ自体が価値ある作品になるような未来もありえる。
資産状況が丸見えになるリスクや詐欺に注意
ただし、SNSと暗号資産ウォレットが紐づいて公開されることのリスクやデメリットももちろんある。たとえば、「高額なNFTを所有しているが暗号資産には詳しくない」といった情報がSNS上で見えてしまい、詐欺や金銭狙いのDMやリプライが殺到する可能性がある。また知人や友人に自分の資産状況や過去の取引履歴が丸見えになってしまうといったリスクもある。
SNS連携する際には、「アカウントの履歴や資産を世界に公開しても問題ないか」を必ず確認するようにしたい。対応策として、Metamaskなど複数のアカウントを作成できるウォレットサービスを利用して、SNS連携するアカウントを切り分けるといった方法もある。
また、SNS認証機能で「NFTを所有していること」は証明できるが、保有しているNFTそれ自体が著作権を侵害した模倣作品や偽物の可能性もある点に注意したい。もちろんNFT発行元の情報をたどれば公式作品かどうかは分かるが、パッと見で騙される可能性は否定できない。
日本でも近いうちにTwitterやFacebook、Instagramなどの大手SNSでNFT認証ができるようになるだろう。こうしたリスクや注意点をわきまえて利用する必要がある。
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