【NFT Weekly】UbisoftがNFT採用もユーザー反発/ユニセフがNFTコレクション/DNPがn次創作物のライセンス実証実験
NFT Weeklyでは、過去1週間のNFTに関する注目トピックをまとめて紹介する。先週はUbisoftが人気ゲーム「ゴーストリコン」でNFTを採用、ユニセフが大規模NFTコレクション販売を発表、大日本印刷がブロックチェーンを利用したn次創作物ライセンスの実証実験を開始といったニュースがあった。
【今週の注目トピックス】
- Ubisoft、NFTプラットフォームを発表し「ゴーストリコン」にNFTを採用
ユーザーからは反発の声も - ユニセフ、75周年を記念してNFTコレクション販売を発表
収益は、世界中の子どもたちのインターネットアクセス向上等に利用される - 大日本印刷、ブロックチェーンを利用したn次創作物ライセンスの実証実験を開始
Creema上でn次創作作品の販売やニーズ調査を行う
1.Ubisoft、NFTプラットフォームを発表し「ゴーストリコン」にNFTを採用
ゲーム内アイテムの一部がNFTとして提供される
「アサシンクリード」などを手がける仏ゲーム大手のUbisoft(ユービーアイソフト)は、7日、NFTプラットフォーム「Ubisoft Quartz」を立ち上げ、同社の人気PCゲーム「ゴーストリコン ブレイクポイント」のWindows版でNFTの扱いを開始すると発表した。
「ゴーストリコン ブレイクポイント」内では、「Digits(ディジット)」と呼ばれる乗り物、武器、装備などのNFTが取得できるようになる。Digitは、外部のNFTマーケットプレイスでも売買可能。ブロックチェーンは電力消費への環境的な配慮からTezos(テゾス)が利用されている。
同社は、NFTを利用することでアイテムの現在・過去の所有者を追跡することができ、またUbisoftから独立した分散型のコミュニティによって運営されるブロックチェーンを利用することで、これまで以上にプレイヤーに主導権を与えることができると利点を説明している。
Ubisoft Quartzのβ版は、米国、カナダ、スペイン、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、オーストラリア、ブラジルで12月9日午後6時から利用可能になり、早期参加者には無料のDigitも配布される。
ユーザーからの反発も
Ubisoftは、7日、YoutubeにてUbisoft Quartsの紹介動画「Ubisoft Quartz: Announce Trailer | Ubisoft [NA]」を公開した。しかし、動画への低評価が相次ぎ、12日現在で動画は235,736 回再生、高評価1583、低評価4万と低評価率が約96%になっている。動画は反発を受けて8日に限定公開となった。
視聴した人々の反感を買った背景には、ゲームに金銭が直結することへの嫌悪感があるようだ。2,600件のコメントがついたRedditの投稿は、下記のように述べている。
私たちは、これが反消費者的な行為であることを企業に伝えなければなりません。
すべての焦点はNFTに置かれるでしょう。良いスキンや装備はすべてNFTになり、お金に余裕のある人だけが人気のアイテムを持てるようになります。それは、コンテンツを切り刻んで余計に売るための手段に過ぎません。
(Ubisoftの)リソースと時間は、質の高いゲームを作ることではなく、不愉快なマーケットプレイスや装備への導線となるような、浅い体験を作ることに投資されるでしょう。
2.ユニセフ、75周年を記念してNFTコレクション販売を発表
ユニセフ(国連児童基金)は10日、創立75周年を記念して、NFTコレクション「Patchwork Kingdoms」の発売を発表した。収益は、世界中の子どもたちが学校を通じてインターネットにアクセスするためのプロジェクト「Giga」をはじめとした支援に利用される。
「Patchwork Kingdoms」ではデジタルアーティスト・データサイエンティストのNadieh Bremer氏がデザインした1,000個のNFTが販売される予定で、販売時期は、2021年末から2022年初めを予定している。発行にはEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンが利用される。
このNFTアートには21カ国の28万校以上のデータが含まれており、各アートはこれらの学校の一部を表している。それぞれのパッチワークには、インターネットに接続されている学校を表す「上」の世界と、接続されていない学校を表す「下」の世界があるとのことだ。
ユニセフは早くからブロックチェーン技術に関心を持ち、積極的に関わっている。2018年には「ユニセフ・イノベーション・ファンド」を通じて、ブロックチェーン技術により世界的な課題を解決するための6つのプロジェクトに30万ドル(約3,360万円)を投資。2019年10月にに国連で最初の暗号資産(仮想通貨)で寄付を受け付ける「ユニセフ暗号資産ファンド」を立ち上げた。
2021年4月には世界的な暗号資産取引所Huobi Globalと提携している非営利団体HuobiCharity Limitedが、ビットコイン等でユニセフに100万ドル(約1億1,200万円)、さらに7BTC(約3,892万円)をユニセフ暗号資産ファンドに寄付している。
3.大日本印刷、ブロックチェーンを利用したn次創作物ライセンスの実証実験を開始
大日本印刷(DNP)は、6日、ブロックチェーン技術を活用した画像ライセンス(利用許諾)販売の実証実験を開始した。
同社によれば、「n次創作物」による顕在的な市場は国内で年間約1兆2千億円と言われている一方で、ライセンス処理ができないために「n次創作物」が販売できない潜在的な市場が年間約1兆4千億円規模になると推測されている。こうした状況に対して、DNPは安全・安心な「n次創作」の活動を支え、コンテンツ関連市場を活性化していくことを目指すとのことだ。
【n次創作物とは】
オリジナル作品から派生して創られた作品群をまとめて指す言葉。YouTubeやニコニコ動画での「踊ってみた」「歌ってみた」作品や、イラスト投稿サイトでの人気アニメやゲーム関連の投稿作品などが身近な例である。三次創作、四次創作…と派生していくにつれて、許諾を取るべき著作者が多くなり、著作権関連の手続きが煩雑になるという問題がある。
実証実験では、名画などのアート画像を個人クリエイター等が利用する際のライセンス処理の負荷軽減が、クリエイターの利便性向上に有効かどうかなどを検証していく予定。
実験は第1弾と第2弾に分けられ、第1弾は株式会社クリーマが提供するハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」にて行われる。Creemaでは、フランス国立美術館連合が保有しDNPアートコミュニケーションズが提供するアート画像を使った創作作品がテスト販売される。これにより、Creemaに登録している人気クリエイターのニーズや、購入者が希望する価格条件や作品ジャンルの需要、サイト利用条件などを調査する予定とのことだ。
2022年春ごろから予定している第2弾では、サイト「イメージアーカイブ・ラボ(Image Archives Lab)」を新たに立ち上げて、ブロックチェーン技術を利用したアート画像のライセンス販売を行う。
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