新経連、NFTのガイドラインなど環境整備を政府に要望

インターネット企業などが加盟する経済団体の新経済連盟(三木谷浩史代表理事)は10月27日、NFTの基盤技術である「ブロックチェーン」の官民推進に関する提言を政府に提出した。ブロックチェーンに関わる政策を所管するデジタル大臣、金融担当大臣、経産大臣にあてたもので、6つの提言の中には「NFTの事業環境の整備」も含まれている。

ブロックチェーンに関する6つの提言

(1)ブロックチェーンを国家戦略に
(2)ブロックチェーン官民協議会の設置
(3)世界一デジタルフレンドリーな法整備
(4)NFTに関する事業環境の整備
(5)STO・ICOに関する会計基準の整備
(6)税制改正

新経連はまず、海外の状況について、各国政府がブロックチェーンを導入する明確な目的意識のもと、スタートアップ企業の育成や金融取引の促進、スマート政府化の動きを加速させていると指摘したうえで、日本政府も「ブロックチェーンに対するビジョンやスタンスを国家戦略として打ち出し、政策的な仕組みを整備すべき」と提言している。

そのうえで、ブロックチェーン官民協議会の設置などとともに、近年急速に関心が高まっている「NFT」(非代替性トークン)に関する事業環境の整備を求めている。

新経連の提言書では、NFTについて「固有の価値をもつデジタルデータの所有が可能となり、新たな市場の形成が期待されている」と評価。その一方で、「法制度上の位置づけは必ずしも明確ではない」と問題点を指摘し、次の2点を要望した。

(1)NFTが表章する価値や権利について、民法や著作権法など法制度上の取扱いを整理し、実際のユースケースや生じうるリスクを類型化したうえで、関連規制への該当性をガイドラインなどで明示すべき

(2)NFTに関する一元的な相談窓口を設置し、「まずやってみる」という事業者の挑戦を許容する政策スタンスのもと、事業環境を整備するべき

ブロックチェーンの可能性については政府も注目している。今年6月に閣議決定された「成長戦略実行計画2021」の中にも、「ブロックチェーン等の新しいデジタル技術の活用」という項目があり、次のように、NFTに関する事業環境の整備の必要性についても触れられている。

サプライチェーンの効率化や官民の様々なサービス間でのID(本人確認)連携など、ブロックチェーン等の新しいデジタル技術の活用方策の検討を行う。また、非代替性トークン(NFT)やセキュリティトークンに関する事業環境の整備を行う。

しかし、ブロックチェーンを基盤技術とする暗号資産(仮想通貨)やNFTへの社会の注目度が急激に高まり、ブロックチェーンの関連市場へ参入する企業が続出するなかで、政府による環境整備が追いついていないのが現状だ。

今回の新経連の提言は、そんな政府に対して「もっと具体的なアクションを」と背中を押すものといえそうだ。