ついに社名変更 Facebookのメタバースは成功するのか
(最終更新:2021年10月29日10:00)

米Facebookは10月17日、メタバース構築のために、今後5年間でEU域内の高度IT人材1万人を採用すると発表した。メタバース開発の中心を欧州に置き、開発を加速させる考えだ。さらに20日には、米メディア「ザ・ヴァージ」が、Facebookが「メタバース」に重点を置くことを示すために、社名変更を計画していると報じた(その後、10月28日に「Meta」に社名変更)。
同社は2014年に、VRヘッドセットのOculus(オキュラス)を20億ドル(約2300億円)で買収し、メタバース空間「Horizon Worlds (ホライゾンワールズ)」の開発を進めてきた。今年8月には、 Oculus を装着して仮想空間内でアバターとして会議に参加できる「Horizon Workrooms(ホライゾンワークルーム)」を発表している。デバイスとサービス双方において、着々とメタバースの構築を進めているのだ。
しかし、果たしてFacebookのメタバースは成功するのだろうか。
■「Horizon Workrooms」にある3つの懸念
様々な観測があるが、GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)は世界をどう変えたのかについて解説したベストセラー「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」の著者Scott Galloway(スコット・ギャロウェイ)氏の考察を紹介しよう。
ギャロウェイ氏はまず「Horizon Workrooms」について、クーリエ・ジャポンに寄稿した「マーク・ザッカーバーグの『メタバース支配計画』がうまくいかない理由」の中で3つの懸念を挙げている。
Facebookはプライベートの会話をどうやって保護するのか?
ビジネスモデルはどうなっているのか?
Horizon Workroomsは他社のハードウェアや仮想空間と統合できるのか?ちなみに、各質問に対する答えはこうなる。
ろくに保護できない。
引用元:https://courrier.jp/columns/264148/
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絶対にありえない。
ギャロウェイ氏の主張は以下のような事実に基づいていると思われる。
まず今年4月、Facebook利用者の大規模な個人情報の流出が報じられた。流出したのは2019年とみられており、世界106カ国、5億3300万人分だったとされる。Facebookはそれ以前にも個人情報関連のインシデントを起こしており、この件でより多くの集団訴訟を抱えることとなった。メタバース内のよりプライベートな会話などについても、同じことが起きないとは限らない。
さらに現在、Facebookのビジネスは広告モデルで成り立っているので、メタバースでもおそらくそれを踏襲する必要がある。そのためには、Facebookログイン(アカウント連携)をするなどして、多くのユーザーに半ば強制的にFacebookを使い続けてもらう必要がある。 Horizon Workroomsの利用にはOculusが必要だが、すでにOculus利用時にはFacebookログインが必要だ。つまり実質「実名制のメタバース」となるわけで、そうすると匿名制の他社のハードウェアや仮想空間と統合するのは難しい――。
ちなみにギャロウェイ氏のコラムには、2014年にFacebookがOculus VRを買収した際の興味深いエピソードも掲載されている。
買収当時、 Oculus の共同創業者だったパルマー・ラッキーは、英語圏で著名なネット掲示板Redditで「Facebookの買収後にOculusを使いたいとき、Facebookのアカウントにログインする必要はない(Oculus利用時にFacebook利用を強制されない)」と発言していた。
しかし2020年8月にラッキー氏らが Oculus を退くと、Oculus利用時にはFacebookログインが必須となった。ラッキー氏はこの変更について 、Redditで以下のように述べている。

”このFacebookの方針変更に関して、私はユーザーやメディアから、すでに非難を浴びている。彼らは、この方針変更は「ラッキーが一貫して『このような(Facebookログインが必須になる)ことは起こらない』と嘘をついていたことの証明だ」あるいは「少なくともラッキーは、彼自身が保証できないことを保証した」と言うのだ。”
”(私が過去に発言していた)これらの約束は、その時点でFacebookによって承認されたものであり、今後もさまざまな理由で承認され続けると信じていた。しかし今にして思えば、私よりも現実世界での経験が豊富な人たちが(OculusのFacebookによる買収について)反対したことは、まさに正しかった。”
■Facebookのやり方はWeb3.0にそぐわない
Facebookのメタバース 「Horizon Worlds」自体 は、発表当初「Facebook Horizon」と自社の名を冠していた。しかし今年10月に「Horizon Worlds」と改称し、Facebookは社名をサービス名から削除した。Facebookのような巨大プラットフォームが権力を握るWeb2.0から、ユーザー個々人にデータをゆだねるWeb3.0時代へ移行しようとしている、とアピールしたかったのかもしれない。
しかしながら、ギャロウェイ氏はコラムのタイトルの通り、Facebookのメタバース計画そのものについてもうまくいかないと予想しているようだ。
その理由として同氏は「‥ブロックチェーン技術が実現するオープンな世界は、ユーザーをFacebookに繋ぎとめようとする試みと相反する」と指摘している。Web3.0時代に、Facebookのような巨大プラットフォームがユーザーを囲い込もうとすれば、反感を買うことは必至。それは旧来の Web2.0型ビジネスモデルに他ならないからだ。
その一方で、ユーザーがFacebookを使わなくても成り立つ仕組みにしてしまうと、今度はFacebookの既存ビジネスが成り立たなくなってしまう。
■「実名メタバース」のほうが安全?
とはいえ筆者は、一周回って、Facebookの「実名メタバース」が支持される日が来るかもしれないと考えている。Facebookが登場する前のインターネットは匿名が当たり前の世界で、不正確な情報や誹謗中傷に溢れていた。「インターネット上の情報はゴミ」とすら言われていたのはそのためだ。
メタバースが夢の仮想空間であるとは限らない。例えばそこで匿名ユーザーから悪質な誹謗中傷を受けた時、現実世界の警察や弁護士がどれだけ対処できるだろうか。
ウォールストリートジャーナル日本版によれば、NFTに関する詐欺もすでに多発しているようだ。
NFTアートの偽造や、クレジットカード情報を盗む目的で立ち上げられた偽の売買プラットフォームのほか、ユーザーのデジタルウォレットのIDやパスワードを流出させるフィッシング詐欺やウイルスまで、多種多様だという。
詐欺などの痕跡を追跡しやすいブロックチェーン上ではなく、別のプラットフォームを介して犯罪が行われているという点も特徴だ。ブロックチェーン技術は最新テクノロジーであるため、理解が難しい側面がある。”とにかく儲かる”というイメージだけが先行しているため、詐欺のきっかけとして使われやすいのかもしれない。
同記事では、英サイバー防衛企業、ダークトレースの脅威調査部門責任者のこんなコメントを紹介している。
「‥テクノロジーに精通していない大勢の人々が突然NFTを作り出し、取引し始めたため、そこにハッカーが押し寄せている」
多くの人々にとっては、Facebookと連動した実名メタバースのほうが安全だった――。そんな結論に至っても、何ら不思議ではないように思う。
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