英HSBC、経営破綻の米銀シリコンバレーバンク英国法人を1ポンドで買収
英金融大手HSBC ホールディングスは3月13日、10日に経営破綻した米銀シリコンバレーバンク(SVB)の英国法人SVB UKを1ポンド(約162円)で買収すると発表した。SVB UK利用者の預金は確保され、通常通りの引き出しなどが可能になる。
市場の不安解消のため、銀行法の特別決議制度に則り英中央銀行のイングランド銀行がSVB UKの株主らの同意を得ない買収を承認した。10日に明らかにしていた破綻手続きの申請は取りやめるという。
SVB UKの融資額は3月10日時点で約55億ポンド(約9000億円)、預金額は約67億ポンド(約1兆900億円)。2022年12月期は約8800万ポンド(約142億8000万円)の税引き前利益を計上していた。SVBの資産や負債は買収対象外。
HSBC グループのノエル・クイン最高経営責任者(CEO)は「SVB UKの買収は、英国における当行の事業にとって優れた戦略的意味を持つ。商業銀行としてのフランチャイズを強化し、英国内外のテクノロジーやライフサイエンス分野を含む成長企業へのサービス提供能力を高めるものになる」とコメントしている。またイングランド銀行は「銀行サービスの継続を確保し、テクノロジー産業への混乱を最小限に抑えるための対応」との声明を発表している。
SVBの売却先の選定は難航しており、12日にかけて行われた競争入札では米銀大手は参加しなかった。米紙などの報道によると、それ以外の1件の入札は米連邦預金保険公社(FDIC)が断り、再入札が実施される方針という。米金融当局は12日、金融不安につながりかねないとして、ドッド・フランク法(金融規制改革法)で定める預金保護上限25万ドル(約3300万円)の例外適用とし、預金額の全額保護を決めている。
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