ナスダックがメタバース投資リポート、サポート需要や目的別プラットフォームに注目

2022/12/22

米ナスダックが12月19日、メタバース投資に関するリポートを発表。2022年はサポート企業への投資が盛んとなり、投資先のテーマの断片化も目立つ潮流になったと述べた。

リポートでは、投資家はオープンメタバースを重視していると指摘。スタートアップよりもすでに事業が成果をあげている企業を優先する傾向がみられ、最も資金を調達したのは香港のブロックチェーン企業Animoca Brands(アニモカブランズ)で、約5億6000万ドル(約7400億円)だった。Animoca Brandsは22年、これまでで最も多くのメタバース案件を手がけており、オープンメタバースのプラットフォームやサポート企業、Web3ゲーム開発者など対象は多岐にわたっている。

22年のベンチャー投資状況を調査すると、メタバースへの投資契約数は216。出資総額は約20億ドル(約2640億円)だった。プラットフォームへの投資よりも、開発者やデザイナー、クリエーター、そしてカスタムメタバースサービスなど、メタバース関連のサポート事業への需要が急増しているという。

大手のメタバースプラットフォームの成功により、目的別やテーマ別のプラットフォームが投資先として注目を集めた。人気は「スポーツ」「アート」「消費者ブランド」の3テーマで、新型コロナウイルス感染拡大による世界的なリモートワークの普及との親和性も一因。また、Web3ゲームが再興隆も目立つという。

一方、年間を通した投資件数は著しく減少している。市場が低迷している“暗号資産の冬”と関連していることに加え、21年の第4四半期と22年第1四半期にかけた投機的な投資から、ユーザーに真の価値を提供できる企業へと投資意欲が転換しているためと分析している。

メタバースへの投資の割合はブロックチェーン投資全体の中では比較的小さいとも指摘。Web3技術固有の相互運用性から、ある分野に利益をもたらす投資は間接的に他の分野にも利益をもたらすため、業界全体が成長への呼び水となっていることの表れだとしている。また、経営破綻した大手暗号資産取引所FTXトレーディングの親会社で、資金を使い込んでいたとみられる投資事業会社のAlameda Research(アラメダ・リサーチ)が破綻前、メタバースに関心を示していたことも記している。

22年の投資傾向から、23年もオープンメタバースが引き続き注目を集めると予想。23年のトレンドとして「アーキテクチャ、AI、アバターなどのサポートサービス」「オープンメタバースのエコシステム拡大のための追加資金」「Web3ゲームが底打ちし、無料で遊べるモデルと新しいPlay to Earn(遊んで稼ぐ)モデルを組み合わせたゲームの増加」などを挙げた。